軍令と軍政のトップ兼ねたキング〜ニミッツ新米太平洋艦隊司令長官就任・少将から一気に大将へ昇級・対日戦へ着実に前進続けた米海軍・大打撃に対して超冷静だった米国〜|真珠湾奇襲攻撃82・太平洋戦争

前回は「兜の緒を「ガッチリ締めた」山本五十六長官〜リメンバーパールハーバー・ルーズベルト大統領の「とっておきの言葉」・「お祭り騒ぎ」に苦言呈した山口多聞司令官・「二階級特進」への全否定〜」の話でした。

目次

大打撃に対して超冷静だった米国

Ernest King司令官(Wikipedia)

真珠湾奇襲攻撃に「大成功」し、「大勝利」あるいは「大戦果」に大きく沸く日本。

対して、米国は冷静に対日戦を準備していました。

沈没する米戦艦ウェスト・バージニア(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

そもそも、日本の暗号を傍受・解読して「日本が先制攻撃してくる」ことを予期していた米国。

ところが、真珠湾奇襲攻撃で「想定外の大打撃」を被った米国。

Ernest King

思いの外、
大損害を受けた・・・

Ernest King

今後、どのように対日戦を
戦ってゆくか。

Ernest King

その方針こそが
大事だ!

Harold Stark米海軍作戦総長(部長)
Harold Stark

差し当たって、
Kimmel太平洋司令長官を更迭せなばな・・・

Ernest King

それは、
当然です・・・

Husband Kimmel米太平洋艦隊司令長官(Wikipedia)
Husband Kimmel

私は、以前から
Japanの攻撃の可能性を具申していましたが・・・

Husband Kimmel

そして、Japanの奇襲攻撃に
懸命に奮戦しましたが・・・

キンメル長官は「責任を取らされて」更迭が決まります。

Husband Kimmel

軍人である以上、
やむ得ません・・・

ニミッツ新米太平洋艦隊司令長官就任:少将から一気に大将へ昇級

Chester Nimitz新米太平洋艦隊司令長官
Harold Stark

後任は
Nimitzしかいないな・・・

Ernest King

彼なら、
うってつけでしょう!

Harold Stark

では、Nimitzを
Knox長官に推薦しよう。

Frank Knox海軍長官(Wikipedia)
Harold Stark

Kimmelの後は、
Nimitzが良いかと・・・

Frank Knox

私も
同感です・・・

ノックス海軍長官も即座に「ニミッツ新太平洋艦隊司令長官」案を承認しました。

そして、ニミッツを呼び出して任命します。

Frank Knox

Nimitz少将、
海軍省へ来てもらいたい・・・

Chester Nimitz

はっ!
直ちに向かいます!

Frank Knox

新たに米太平洋艦隊司令長官に
就任してもらいたい・・・

Chester Nimitz

はっ!
お任せください!

旧日本海軍の年功序列的発想の「軍令承行令」に対して、米海軍の人事は非常に柔軟でした。

旧日本海軍では、卒業時の成績で多くは「先任と後任」が決定します。

軍令承行令という「年功序列と成績ランク」によって、人事が決まっていた旧日本海軍。

軍令承行令の話を上記リンクでご紹介しています。

対して、米海軍の数多くの将官たちは、「軍勤務の成績中心」で出世してゆきます。

そして、順調に出世し、遥か上位にゆく方でも一度「少将」でストップします。

実際、ニミッツは米太平洋艦隊司令長官に就任するまで「少将」でした。

米国では、あえて「少将どまりにしておいて、重要なポジションに就任させる際に中将・大将」でした。

そこで、

Frank Knox

ニミッツよ。
大将へ進級だ!

Chester Nimitz

はっ!
懸命に務めます!

一気に中将を飛ばして、大将に進級したニミッツ新米太平洋艦隊司令長官。

この様に「一つ階級を飛ばして進級」は、日本陸海軍では「戦死」以外あり得なかったのでした。

この点だけでも、日本海軍と米海軍の「組織としての成熟度」が大きく異なります。

軍令と軍政のトップ兼ねたキング:対日戦へ着実に前進続けた米海軍

第一航空艦隊(ビッグマンスペシャル 連合艦隊上巻 勃興編 世界文化社)

これで、対日戦の前線司令長官が決定しました。

この後、米海軍内で様々な駆け引きを経て、

Ernest King

米海軍の軍令と軍政のトップが
別という体制は馬鹿げている!

Ernest King

私が米海軍の全てを
統括するのだ!

そして、最終的にキング司令官が海軍作戦部長(総長)と米艦隊司令長官を兼ねます。

Ernest King

しかし、
Nagumoの機動部隊の強さは・・・

Ernest King

航空隊が、あれほどの
戦果を挙げるとは・・・

Ernest King

しかも、
空母六隻を集中運用するとは・・・

Ernest King

さすがの私も、
考えもしなかった・・・

自他共に認める頭脳派のキング司令官。

自らの能力には、大いなる自信を持っていました。

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

それほど山本長官が主導してきた作戦計画は、当時は超斬新であり新鮮でした。

凄まじい威力を発揮した「空母による航空戦」と「空母集中運用による機動部隊」。

Ernest King

Yamamoto・・・
さすがだ・・・

1934年のロンドン軍縮条約に海軍首席代表として出席する山本五十六(Wilipedia)
Ernest King

Yamamotoは、今の世界中の海軍で
最強の将軍の候補になりうるだろう・・・

第一航空艦隊旗艦 空母赤城(Wikipedia)
Ernest King

Japanの空母航空隊の
あの強さは・・・

Ernest King

全く
考えていなかった・・・

第二航空戦隊 空母飛龍(Wikipedia)
Ernest King

Yamamoto,Nagumo,Yamaguchiらの
優れた将軍がおり・・・

Ernest King

強力な空母を多数持ち、
優れた航空隊を持つJapanの機動部隊・・・

左上から時計回りに、山本五十六 連合艦隊司令長官、南雲忠一 第一航空艦隊司令長官、草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長、山口多聞 第二航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)
Ernest King

我がUSは空母増産に向け、
もっと力を入れなければ!

Ernest King

そして、我が海軍もまた、
大きな戦略の変更が必要だ!

「次なる戦い」へ向け、着実に戦略を進める米国でした。

次回は上記リンクです。

新歴史紀行

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