前回は「内外多発の「民選議院設立」建白と揺れる明治政府〜封建から立憲政体へ・薩摩と長州両派閥を背景とした伊藤博文・明治初期に人材不足に陥った長州〜」の話でした。
日本人の頭脳身体の根幹まで浸透した封建体制:幕府からの政体変化

おそらく伊藤博文が晩年に語った話を中心に編纂した「伊藤公直話」。
伊藤は、大久保利通・木戸孝允・岩倉具視らに関して、赤裸々に語っています。
中でも、大久保利通に対しては、「師匠に対する親愛」が感じられる語り口です。

明治六年の政変で、西郷隆盛・江藤新平・後藤象二郎・板垣退助らが一斉に下野しました。
その後、板垣退助・後藤象二郎は、明治政府と融和路線を歩む時期もありました。
対して、江藤新平は佐賀の乱、西郷隆盛は西南戦争で消えてゆきました。
この中、大久保率いる明治政府は、
伊藤博文大久保公の意見も、つまり君権を定めて、
民権を限るというにあった。
「君権定めて、民権限る」方針で、憲法制定に突き進みました。



けれども、いずれにしても、
まだ、どうも研究が足らぬ。



政体を定めるということは、国体に関係を
持つのであるから、十分に過去を明らかにし・・・



将来を慮って、これならば確かに日本に適し、
国家を利するという安心の出来るまでは・・・



予も容易に左担し
得られなかった。


長く、「征夷大将軍による幕藩体制」が続いてきた当時の日本。



これからは平和の
時代が続くのだ!



そして、その平和な時代は
この徳川家が代々生み出すのだ!
1603年に徳川家康が征夷大将軍に就任し、「徳川幕府」を設立しました。
当時は「幕府」という言葉はなかった説が有力で、「幕府」という言葉は明治初期以降の説が強いです。
まさに江戸時代真っ只中は、徳川将軍は「大公儀」と呼ばれることが多かったようです。
いずれにしても、1868年の明治維新まで270年近く封建体制が続いた日本。
日本の歴史の骨格を大きく形づくり、「封建体制」は日本人の身体の根幹まで浸透していました。
伊藤博文「大久保暗殺は西郷の為の復讐」:混沌とした明治初期の時代





大久保公の紀尾井坂での
刺客の難に逢われたのは・・・



つまり、西郷の為の
復讐であった。
そして、伊藤公直話では、一気に大久保暗殺の話に飛びました。
ここで、はっきりと伊藤は「大久保暗殺は西郷の復讐」と明言しています。


1877年に勃発した西南戦争の翌年、1878年に大久保利通は暗殺されました。
西南戦争に関する話を、上記リンクでご紹介しています。



十年の戦争の時、
西郷に与した徒が、



彼の忠臣を
殺した!



という恨みから来たもので、固より大久保公は、
あんなことになろうとは思っておられなかった。
「政府の挑発」から始まった、と語られることが多い西南戦争。



「ボウズヲシサツセヨ」との
命令を受けた・・・



ふざけるなよ!
お前ら!
最も語られることが多いのは、「シサツ」とは「視察」だったのか「刺殺」だったのか?、です。
| 隠語 | 人物・組織 |
| 坊主 | 西郷隆盛 |
| かつおぶし | 桐野利秋 |
| 花手拭い | 別府晋介 |
| 首長 | 大山綱良 |
| 黒砂糖 | 島津久光 |
| 西の窪 | 大久保利通 |
| 川崎屋 | 川路利良 |
| 一向宗 | 私学校 |
明治政府は、西郷党一派などに対して監視を続け、上記のような隠語で報告していました。
上の隠語は、公式資料ではなく書籍からの引用ですが、筆者は「事実」と考えます。
西南戦争の隠語に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
伊藤は、大久保が「あんなこと(西南戦争)になるとは思っていなかった」と伝えています。
この点は、「大久保党」であり、西郷を大して評価していなかった伊藤の言葉であり、注意が必要です。
その一方で、確かに、あれほど巨大な大内戦になるとは「思ってなかった」のは事実と考えます。
「伊藤公直話」には記載ありませんが、西南戦争勃発時に大久保が、



やむを得ん!
私が西郷と直談判しよう!



それは
おやめ下さい!
「西郷と直談判を望んだ」時に、「大久保・西郷の直談判を止めた」のが伊藤と言う説があります。
この話は、伊藤が「晩年に側近に語った」話として、伝わっています。


この点は真偽は定かでありませんが、多数の資料で、西郷は「決起に反対だった」事実があります。
さらに、西南戦争前年の1876年までは、西郷のみならず、



各地で反乱が起きている今、
今こそ決起すべきです!



今は
その時ではない・・・
桐野・篠原までもが、「部下たちに決起を迫られていた」事実があります。
私学校生徒から「決起を迫られていた」桐野・篠原に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
とにかく、明治十年の頃は混沌としていました。
そして、その混沌から、一気に巨大な大内戦に至ってしまった、のが真相であると考えます。




