典型的山城・岡豊城を生み出した長宗我部の想い〜「往時の様子」が把握出来る城跡・訪問客が少ない城跡〜|岡豊城跡3・土佐の輝き

前回は「長宗我部が飛躍した岡豊城〜「宗我部」氏から長宗我部氏へ変名・謎の「長宗我部と香宗我部」・土佐に多数いた宗我部氏の存在〜」の話でした。

目次

「往時の様子」が把握出来る城跡:訪問客が少ない城跡

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岡豊城跡(新歴史紀行)

かつての土佐中央部付近に位置する岡豊城跡を訪問しました。

高知龍馬空港から高知市中心部に向かう途中、少し北東側に逸れた位置にあります。

岡豊城跡の隣には、高知県立歴史民俗資料館が併設されています。

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岡豊城跡(新歴史紀行)

高知県立歴史民俗資料館及び岡豊城跡エントランスには、長宗我部元親像があります。

多数ある戦国武将の銅像の中でも、「威勢が良すぎる」のが長宗我部元親の像です。

筆者は、このように躍動的な戦国武将の銅像を初めて見ました。

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岡豊城跡(新歴史紀行)

現在の岡豊城跡は、鬱蒼として森のようになっています。

夏休みに訪れた岡豊城跡。

このあと高知城や桂浜などを訪問しましたが、多数の観光客がいました。

ところが、ここ岡豊城では、訪問した際に筆者及び家族以外に出会ったのは、一グループのみでした。

そのグループは、男の子と父親であり、

男の子A

ね〜、パパ、
この辺りなら、カブトムシいるかな?

「城を見にきた」のではなく、カブトムシなどの昆虫採集に来ていた方達でした。

大勢の観光客が高知訪問する時期にも関わらず、「純粋に岡豊城跡を訪問」は筆者たちだけでした。

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安土城址(新歴史紀行)

筆者は、かつて安土城跡を訪問したことがありますが、この時も筆者以外ほとんでいませんでした。

安土城跡を訪れた話を、上記リンクでご紹介しています。

「戦国の覇王」織田信長の安土城ですら、「城跡」となると、なかなか人を惹きつけるのは難しいようです。

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小田原城(新歴史紀行)

やはり、現存であれ、再建であれ、「天守閣などが建っている」城が訪問客を惹きつける傾向があります。

小田原城を訪問した話を、上記リンクでご紹介しています。

確かに少し寂しい「城跡」の訪問。

その一方で、筆者は「城跡」の方が、「往時の様子」が把握出来るようにも思います。

典型的山城・岡豊城を生み出した長宗我部の想い

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岡豊城跡(新歴史紀行)

訪問客が少なく「寂しい」感じもしますが、その反面、静かに鑑賞出来るのが良い点です。

岡豊城跡を登ってゆくと、視界が開けてきました。

現在の高知県、当時の土佐の様子が、一目で分かります。

典型的な山城であったと思われる岡豊城。

戦国中期までは山城が多く、戦国後期に向けて平城が多くなる傾向がありました。

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岐阜城:山道からの光景(新歴史紀行)

斎藤道三・織田信長の居城として有名な岐阜城もまた、典型的な山城です。

岐阜城を訪問した時の話を、上記リンクでご紹介しています。

山城のメリットは、なんといっても、「城から領内がよく見える」点にあります。

現代のように、携帯やテレビなどが一切なく、望遠鏡などもなかった室町〜戦国期。

大名X

我が城から
領内がよく見えるのう・・・

大名X

やはり、我が領内の状況が
一目で把握出来る山城が良いな・・・

「領内をよく把握できる」ということは、「攻め込まれた場合」にも大きなメリットがありました。

大名X

万が一、我が城が攻められる時は、
ここから敵の状況がよく分かる・・・

攻める時、攻め込まれる時、いずれの場合も「敵の情報」は最重要でした。

現代のように高いビルがない当時、山城であれば、「攻め込まれた」時に敵情が一気にわかりました。

大名X

そして、領民たちにとっても、
ここに我ら大名がいることが分かる・・・

領民たちにとって、「自分たちを守ってくれる」大名の存在が一目で分かる山城。

不便であるのがただ一つのデメリットくらいであった山城。

建築するのも大変だったはずですが、戦国中期までは、山城が最盛期を迎えたのは当然でした。

この周辺で勃興した長宗我部氏が、ここ岡豊城を拠点にした理由もまた、

長宗我部氏

ここ岡豊城からは、
土佐の長宗我部領が一目で分かる!

長宗我部氏

そして、土佐には我が長宗我部以外に、
一条、本山、安芸など有力大名がいるが・・・

長宗我部氏

岡豊城を頑強に固め、
ここから長宗我部は飛躍するのだ!

岡豊城跡から、当時の土佐の様子を見ていると、長宗我部氏の気持ちが分かる気がしました。

歴史好きには、思う存分「往時の様子」を楽しめる岡豊城跡。

高知県訪問の際には、ぜひ訪れてみてください。

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