山本とビール賭けた三和義勇の瞳の先〜プリンスオブウェールズ攻撃の行方・出動命じた小沢南遣艦隊長官・大西瀧治郎から松永貞市へ引き継ぎ〜|Malayの叫び11・マレー沖海戦

前回は「日本の航空部隊に不安を感じたリーチ艦長〜落ち着かないフィリップス司令官・航空隊の傘がない英東洋艦隊・インドミタブル座礁の大不運〜」の話でした。

目次

出動命じた小沢南遣艦隊長官:大西瀧治郎から松永貞市へ引き継ぎ

左上から時計回りに、小沢治三郎 南遣艦隊司令長官、Tom Phillips 英東洋艦隊司令長官、John Leach Prince of Wales艦長、松永貞市 第22航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)

お互いが「近くにいること」を認識していながら、敵の補足が上手くいっていなかった日英の海軍。

Tom Phillips

Japanの艦隊や
航空隊はどこに、どの程度いるのか?

現在、索敵を
進めております!

Tom Phillips

早く、Japanの連中の
艦船の種類や数を調べよ!

ははっ!
どうやらJapanには空母は、なさそうです。

この情報は確かでした。

新歴史紀行
第一航空艦隊(ビッグマンスペシャル 連合艦隊上巻 勃興編 世界文化社)

連合艦隊、というよりも山本長官の視線がハッキリ米国に向かっていた当時。

小沢艦隊や松永司令官率いる航空隊と英東洋艦隊が睨み合う中、南雲長官は真珠湾に向かっていました。

そして、南雲長官率いる第一航空艦隊には、正規空母六隻という空前の大部隊がついていました。

新歴史紀行
山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

さらに、

山本五十六

初期に米太平洋艦隊に致命傷を
与える乾坤一擲の作戦だ!

真珠湾奇襲攻撃に「全てを賭けていた」と言っても良い山本長官。

山本五十六

航空隊の優秀なパイロットは
全員真珠湾攻撃へ!

おそらく、真珠湾攻撃に「優秀なパイロットは総動員」していたでしょう。

山本五十六

これからは戦艦ではなく、
空母・航空隊の時代だ!

海戦の未来を予期していた山本長官は、さすがの慧眼でした。

この頃は、ちょうど「戦艦から空母へ」の時代でしたが、まだまだ「戦艦が主軸」が世界中の海軍の考えでした。

上記リンクでは、山本長官が真珠湾奇襲攻撃に「賭けていた」話をご紹介しています。

小沢治三郎

我が南遣艦隊には、
空母も戦艦もないが・・・

「空母機動部隊の生みの親」と言われる小沢長官でしたが、率いる艦隊は「空母ゼロ」でした。

小沢治三郎

重巡を中心とする
我が艦隊も、そろそろ出動だな!

小沢長官は出動を決意しました。

そして、陸上の航空隊を指揮する松永司令官もまた、

松永貞市

英東洋艦隊に関する
確たる索敵結果が少ないが・・・

松永貞市

そろそろ、航空隊の出動を
すべき時だな!

ついに、自らに率いる航空隊の出動を決意しました。

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大西瀧治郎 第十一航空艦隊参謀長(Wikipedia)

実は松永司令官の前任の司令官は、大西瀧治郎第十一航空艦隊参謀長でした。

航空派の大物であった大西は、山本が真珠湾奇襲攻撃のために引き抜いたのでした。

大西瀧治郎

松永よ!
あとは任せたぞ!

松永貞市

はいっ!
お任せを!

海兵40期卒業の大西は、一期下の松永に陸上航空隊の指揮官を委ねました。

山本とビール賭けた三和義勇の瞳の先:プリンス・オブ・ウェールズ攻撃の行方

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三和義勇 連合艦隊作戦参謀(Wikipedia)

そして、山本長官お気に入りの三和義勇 作戦参謀もまた、マレー沖海戦に注目していました。

海軍兵学校卒業期名前専門役職
32山本 五十六航空連合艦隊司令長官
36南雲 忠一水雷第一航空艦隊司令長官
40宇垣 纏大砲連合艦隊参謀長
40大西 瀧治郎航空第十一航空艦隊参謀長
40山口 多聞航空第二航空戦隊司令官
41草鹿 龍之介航空第一航空艦隊参謀長
41松永 貞市航空第22航空戦隊司令官
48三和 義勇航空連合艦隊作戦参謀
連合艦隊幹部の専門・役職・海軍兵学校卒業期(真珠湾奇襲攻撃)

48期卒業の三和は小さい頃に父を亡くしており、山本長官とは縁が深い人物でした。

三和義勇

山本長官は、
僕の父同然だ!

そのため、16歳年上の山本長官を「父のように慕っていた」のが三和義勇でした。

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戦艦 長門(Wikiepedia)

戦艦大和が完成間近であり、まだ「連合艦隊の旗艦」であった戦艦長門。

内地の柱島に停泊し、ここに山本長官や三和作戦参謀も一緒にいました。

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真珠湾攻撃で損傷を受けた米国艦船(歴史街道2021年12月号 PHP研究所)

この頃、「空母を取り逃した」ものの「大成功に終わった」真珠湾奇襲攻撃に湧いていた連合艦隊司令部。

連合艦隊・軍令部など日本海軍全体が「お祭り騒ぎ」状態でした。

その中、山本長官と三和参謀は、じっとマレーを注視していました。

三和義勇

我が海軍航空隊が
間もなく出撃だ・・・

新歴史紀行
英巡洋戦艦 Repulse(Wikipedia)
山本五十六

まあ、レパルスならば、
松永の航空隊で撃沈できるだろう・・・

こう推測する山本長官。

新歴史紀行
英戦艦 Prince of Wales(Wikipedia)
山本五十六

だが、流石に
プリンス・オブ・ウェールズは、大破だろうな・・・

ここで、航空隊の雷撃・爆撃に夢を見ていた三和作戦参謀は、

三和義勇

私は、プリンス・オブ・ウェールズも
撃沈できると思います!

山本五十六

むう・・・
そうか・・・

「海軍空母・航空隊の父」である山本は、航空隊を極めて高く評価する三和が可愛く思えました。

山本五十六

ならば、三和よ!
ビールを賭けるか!

三和義勇

はいっ!
賭けます!

山本五十六

ならば、プリンス・オブ・ウェールズ撃沈ならば、
ビールを10ダースやろう!

山本五十六

大破であったら、
ビール1ダース寄越せ!

三和義勇

はいっ!
乗ります!

「16歳年上で長官」である山本は「負けたら10ダース」であり、若手の三和は「負けたら1ダース」という賭け。

ここにも、山本らしい「親心」が感じられます。

三和義勇

絶対に・・・
必ずプリンス・オブ・ウェールズ撃沈だ・・・

若き三和作戦参謀は、こう考えて強い確信を持っていました。

次回は上記リンクです。

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