日本の航空部隊に不安を感じたリーチ艦長〜落ち着かないフィリップス司令官・航空隊の傘がない英東洋艦隊・インドミタブル座礁の大不運〜|Malayの叫び10・マレー沖海戦

前回は「海軍航空隊のエキスパート・松永貞市司令官率いる雷撃隊出動〜雷撃隊の威力に夢を見た三和義勇作戦参謀・動く戦艦と航空隊〜」の話でした。

目次

日本の航空部隊に不安を感じたリーチ艦長:落ち着かないフィリップス司令官

New Historical Voyage
John Leach Prince of Wales艦長(Wikipedia)

英東洋艦隊の旗艦であるPrince of Walesの艦長は百戦錬磨のリーチ大佐でした。

我が艦隊は
超強力なのだが・・・

Japanの航空部隊の
戦力の情報がなさすぎる・・・

英戦艦 Prince of Wales(Wikipedia)

最新鋭戦艦のPrince of Walesは、確かに当時世界有数の強力な戦艦でした。

対する、小沢艦隊には「戦艦も空母もない」貧弱な部隊でした。

その代わり、日本には松永司令官率いる基地航空隊という「不沈空母」部隊がいたのでした。

まだまだ「戦艦主軸」であり、航空部隊の戦力は未知数だった時代。

それでも、付近に日本の航空部隊がいることに対し、リーチ艦長は不安を持っていました。

そして、Phillips長官が
落ち着きがないが・・・

英東洋艦隊司令長官 Tom Phillips(Wikipedia)

そろそろ、Japanの
海軍と戦う時期だが・・・

こちらには航空隊が
一切ないのが不安だ・・・

日本海軍を見下していたPhillips司令長官でしたが、「自軍に航空隊が不在」であることが不安でした。

Winston Churchill英首相(Wikipedia)

我が海軍には
「切り札」がいるのだ・・・

我がGreati Britainの
「切り札」であるPhillips中将!

Churchill英首相の「大のお気に入り」であったPhillips司令長官。

実は、Phillips長官は長らく参謀役を勤めてきたため、実戦の経験が少なかったのでした。

日本海軍でいえば、「ずっと軍令部に勤務してきた参謀」が「突然、最前線の司令長官になった」ようなものでした。

若い頃から成績優秀で、「超エリート」であったPhillips長官に対して、リーチ艦長は、

Phillips長官は
確かに優秀だが・・・

なぜ、Churchill英首相は
もっと実戦慣れした人物を送ってこなかったのか・・・

不安を覚えていたのでした。

航空隊の傘がない英東洋艦隊:インドミタブル座礁の大不運

英空母 Indomitable(Wikipedia)

この頃、「世界最強の航空部隊・空母機動部隊」を持っていた日本の連合艦隊。

実は、空母に着目して最初に運用を実践することにしたのは、当然ながら「海軍の国」大英帝国でした。

その大英帝国には、最新鋭空母Indomitableがありました。

Phillips長官の英東洋艦隊に、
空母をつけてやったほうが良いのでは?

確かにそれもそうだが、
戦艦Prince of Walesに加えて、空母Indomitableを派遣すれば・・・

東洋艦隊ばかりが
強力になって、集中しすぎでは?

だが、Germanyとの戦いは
空軍と陸軍が主力だからな・・・

そして、万一、Japanの連中に負けたら、
マレーやインド周辺の権益を失ってしまう・・・

そうなったら、
我が大英帝国本土が保たない・・・

よしっ!では、まずJapanに思い切り
打撃を与えてやろう!

こうして、空母 Indomitableはマレーに向かいましたが、アフリカ東岸で座礁してしまいました。

Indomitableが
座礁した、だと・・・

そんな、そんな
馬鹿な・・・

この超重要な時に、空母 Indomitableの到着が大幅に遅れました。

この頃、お互い索敵を続けており、お互いが「近くにいる」ことを認識していた日英海軍。

もはや、間もなく決戦となります。

日本海軍の動きを見ていたPhillips長官は、

やむを得ん!
そろそろJapanと戦うぞ!

いよいよ、小沢長官率いる南遣艦隊や日本の陸上攻撃隊と戦うことを決意しました。

我々には
航空機がおりませんが・・・

いわば、「航空機の傘」なしで
出撃でしょうか?

ここで、Phillips長官は、英国の軍令部幹部から聞いた話をリーチ長官にしました。

Leach艦長・・・
どうやら、Japanの航空部隊の攻撃は当たらない、らしい・・・

これを聞いた「百戦錬磨」のリーチ艦長は、

そ、そうですか・・・
それは確実でしょうか?

まあ、Jap(日本人の蔑称)ごときが
何しようと、我が英海軍に勝てるはずはない!

ここで、「戦場の勘」に優れたリーチ艦長は、

Japanの航空部隊の攻撃が
「当たる」か「当たらない」かは、分からないのでは・・・

大丈夫だろうか、
確かにJapanは「大したことがない」のだろうか・・・

空母 Indomitableは艦載機47機であり、連合艦隊の赤城・加賀などと比較すると小さな空母でした。

新歴史紀行
第一航空艦隊旗艦 空母赤城(Wikipedia)

とは言っても、「47機」の攻撃隊・護衛戦闘機が身近に「いる」のと「いない」のとでは全然違います。

まあ、本当は
Indomitableがいた方が良かったのだが・・・

この時、「大不運」があったPhillips長官は、朧げながら「日本軍の航空部隊の戦力」に不安を持っていました。

とにかく、
Prince of Walesの砲撃で・・・

Japanの艦隊を
叩き潰して見せる!

よしっ!
出撃だ!

自分に言い聞かせるように「日本海軍=連合艦隊を叩き潰して見せる」と言い、奮起したPhillips長官。

いよいよ、英東洋艦隊と南遣艦隊+航空隊(第22航空戦隊)の戦いが始まろうとしていました。

次回は上記リンクです。

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