前回は「中世を抹殺した男・織田信長〜武田討滅戦・信長が考えた「新たな世」と「日本という国家の姿」・天皇と信長・中世の権威・朝敵〜」の話でした。
近世を葬った男:幕末の諸外国との折衝
織田信長が「日本の中世を抹殺した人物」であるならば、幕末維新期に「日本の近世を葬った男は誰か?」という話。
それは西郷隆盛でしょう。
大河ドラマ「西郷どん」は、演じた鈴木亮平さんが大変良くて、共感呼びました。
鎖国といっても、長崎をはじめ、海外との交流は「ある程度あった」江戸時代。
幕末には、欧米がアジアに進出してきて、諸外国との交流が急速に多くなった時期でした。
幕末維新期にかけて、英国・ロシアなどとの関係が出てきます。
そして、米国からペリーがやってきて「日米和親条約締結」に至ります。
我がUnited Statesと
和親同盟を結んでください。
「結んでください」というよりも、
「結べ!」だ!
東京湾に最新式の軍艦を4隻浮かべ、恫喝したペリー。
現代ならば、原子力空母4隻を東京湾に配置された様なもので、江戸城の幕閣は大混乱に陥りました。
我が国は、
検討するのに時間がかかるので・・・
OK!
来年また来ましょう!
もう
来なくていいのだが・・・
日本得意の「棚上げ」「先送り」で、とりあえずペリーを追い返すことに成功した幕府。
来年来ないかも
しれないし、ひとまず安心・・・
と思っていたら、一年後に
Hello!
また来ました!
本当に
再度江戸に来た・・・
一年待ったんだし、もう一度
はるばる来たんだから、条約結べ!
分かりました・・・
当時の日本と米国の国力の差では、反論もできず、1854年に日米和親条約締結となります。
不平等条約を強行したハリス
ペリーがアメリカに帰ってくれたと思ったら、4年後に今度はハリスがやってきます。
そして、幕府に日米修好通商条約締結に迫ります。
Hello!
引き続き「日米修好通商」締結しましょう!
我がUnited Statesと
同盟結べば、Japanは安泰ですよ!
この「日米修好通商」締結の問題は、日本に強烈な衝撃をもたらしました。
この問題が火種となって、「幕末維新の導火線に火がついた」と言っても過言ではないでしょう。
日本中が外国との関係に揺れた時期でした。
幕末に颯爽と登場した西郷と大久保
そこに、西郷隆盛があたかも「日本の近世と徳川幕府を葬るため」に颯爽と登場します。
当時、小さい頃から親しく付き合い「兄弟同然の仲」であった大久保とともに一気に世に出てきました。
西郷隆盛を好き・尊敬する日本人は多数おり、実情家や政治家の方々にも多いです。
ところが、西郷隆盛という人物は「分からないころが多すぎる」感じです。
当初は同士で、後に袂を分ち相討つことになる大久保利通は、西郷とは対照的に不人気です。
大久保は、西郷に比べると非常に分かりやすいでしょう。
西郷同様「謎が多い大人物」に、坂本龍馬がいます。
坂本龍馬は「実際に何をやって、どのような活動をしていたのか」自体が謎です。
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」は僕も大好きです。
10〜20代の若者はあの本を読んで、誰しも
俺も
竜馬のようになりたい!
と胸を熱くします。
一方で、司馬氏自身が
「竜馬がゆく」の竜馬は、
坂本龍馬を元にしたフィクション・・・
と、言及しています。
謎多き坂本龍馬の人生に様々な脚色をしている「竜馬がゆく」。
その「竜馬」は、坂本龍馬をもとに創作した「別人物・人格」と思って良いでしょう。
対して「何をやって、どのように活動したか」がほぼ明確になっている西郷隆盛。
その西郷ですが、この人の考えていることは、良く分からない。
よく分からない西郷という人物
おそらく大久保利通や木戸孝允も、同じように感じたのでしょう。
西郷の本心が、
さっぱりわからない。
そもそも、
西郷は
大嫌いだ!
の木戸は、「西郷の心を測る気」もしなかったかも知れません。
島津薩摩藩の下級役人を務めていた西郷。
西郷登場のきっかけは、さまざまな建白書を書き、藩主島津斉彬の目に止まったという話です。
これは、島津斉彬の方が薩摩藩の中央進出に対して「使える人間を探していた」のが実情だったでしょう。
座右の銘は
「敬天愛人」だ!
人を愛した、人徳ある人間だったかのように考えられています。
若い頃の西郷はそんな殊勝な人間ではなかったようで、かなりアクが強かったようです。
ともすると同僚から毛嫌いされる傾向があったようです。
西郷は、
私でなければ使えない。
それくらい、普通の人とは違う扱いづらさがある人間だったのでしょう。
西郷の若き頃の実像は、「非常に有能で魅力がある一方で、態度も大きくアクが強いかなりの曲者」であったと考えます。
むしろ、それくらいアクが強く、ともすれば悪党にもなれる人物でなければ不可能でしょう。
徳川幕府という「現政権を武力でブチ倒す」ことは。
斉彬の元、江戸など政治の中心で薩摩藩の代理とも言える役目を務め、橋本左内や梅田雲浜らともつながります。
諸外国と地道に折衝を続けるも、屋台骨がグラグラ揺れてきている徳川幕府。
薩摩藩はどのように
時代を切り抜けてゆくべきか・・・
島津斉彬の秘書として、諸士と密謀とも言える話し合いを重ね、中央政界で西郷隆盛は一躍飛躍してゆきます。
次回は上記リンクです。