前回は「宣戦布告通達遅延の甚大な代償〜ハーグ条約違反・猛攻撃する南雲機動部隊と防戦する米太平洋艦隊・「日本に先に攻撃させる」計画・光るハル長官の瞳〜」の話でした。
闘将・山口多聞司令官の矜持
ルーズベルト大統領とハル国務長官が、「いかに米国民を鼓舞して、戦争勝利へ向かうか」を相談している間。
日本海軍による真珠湾への猛烈な攻撃が続きます。
第二航空戦隊の山口多聞司令官。
一度は攻撃隊から外されかけたものの、山本長官に懇願して攻撃隊に加えてもらいました。
ぜひ、第二航空戦隊を
真珠湾奇襲攻撃に加えて頂きたい!
荒くれ者でもともと水雷専門の南雲司令長官とは異なり、山口司令官と山本長官とは気心が合います。
海軍兵学校卒業期 | 名前 | 専門 | 役職 |
32 | 山本 五十六 | 航空 | 連合艦隊司令長官 |
36 | 南雲 忠一 | 水雷 | 第一航空艦隊司令長官 |
37 | 小沢 治三郎 | 航空 | 南遣艦隊司令長官 |
40 | 山口 多聞 | 航空 | 第二航空戦隊司令官 |
40 | 宇垣 纏 | 大砲 | 連合艦隊参謀長 |
41 | 草鹿 龍之介 | 航空 | 第一航空艦隊参謀長 |
そして、同じ「航空派」として海軍を牽引してきている自負がありました。
私が、
日本海軍の将来を担うのだ!
大艦巨砲主義の権化・宇垣纏参謀長
山本長官の補佐役であり、山口と海兵同期の宇垣纏連合艦隊参謀長。
「山本長官とは、あまりウマが合わない」と言われていました。
「山本長官が、宇垣参謀長を嫌っていた」とも言われています。
連合艦隊司令長官・海軍次官の前に、海軍航空本部長の立場で海軍航空隊を育てた山本。
これからは、
空母・航空隊が主軸だ!
戦艦は
不要になる・・・
対して、宇垣参謀長は、もともと「大艦巨砲主義の権化」とも言える存在でした。
戦艦こそが、
海軍の主軸!
宇垣参謀長は軍令部No.3の第一部長だった時、巨大戦艦大和・武蔵の建造推進の急先鋒でした。
軍令部第一部長は「作戦部長」とも呼ばれ、非常に強い権限を持ちます。
そこで、
宇垣が第一部長では、
航空隊への作戦の配慮がなさそうだ・・・
宇垣を第一部長から
どかして、代わりに福留くんが良い・・・
山本長官と宇垣参謀長の仲に関しては、諸説あります。
少なくとも当初は「空母航空派」と「大艦巨砲派」で、「まったく噛み合わない仲」であったのは事実でしょう。
航空派と大艦巨砲主義の軋轢:花の海兵40期
同じ海兵40期卒で、「同期」の山口司令官と宇垣参謀長。
大艦巨砲主義は、
もはや古い!
な、
なんだと!
航空機に
戦艦が沈められるか!
まもなく、
空母・航空機優位の時代になる。
海軍兵学校卒業期 | 名前 | 専門 | 役職 |
40 | 宇垣 纏 | 大砲 | 連合艦隊参謀長 |
40 | 大西 瀧治郎 | 航空 | 航空本部総務部長 |
40 | 福留繁 | 大砲 | 軍令部第一部長 |
40 | 山口 多聞 | 航空 | 第二航空戦隊司令官 |
南雲長官率いる第一航空戦隊は第一航空戦隊・第二航空戦隊・第五航空戦隊の三つに分かれていました。
第二航空戦隊の正規空母蒼龍・飛龍を率いていた山口司令官。
海軍兵学校での同じ成績上位者として、山本長官と共に「知性派」の部類に入る山口司令官。
「これから主体となる空母・航空隊」の主役の一人であり、山本長官の事実上の「航空隊の補佐役」です。
本来、能力と実績からは山口司令官が第一航空艦隊司令長官でもおかしくはないのです。
ところが、日本海軍特有の「先任順序」によって、航空艦隊長官最適任者である小沢治三郎・山口多聞は外されます。
そして、なんとなく決まった南雲司令長官。
年功序列であった先任順序の話を、上記リンクでご紹介しています。
自分でなくても、
せめて小沢さんが航空艦隊長官なら・・・・・
しかし、
もはや仕方ない!
知性派の上に激情家であり、根っからの闘将である山口司令官。
かかれ〜!米艦隊を撃沈せよ!
米空母を叩け〜!
座乗する空母蒼龍司令室で、大いに勇んでいたのでした。
次回は上記リンクです。