前回は「闘将・山口多聞司令官の矜持〜燃える大艦巨砲主義の権化・宇垣纏参謀長・航空派と大艦巨砲主義の軋轢・花の海兵40期〜」の話でした。
世界最強だった第一航空艦隊:第一航空戦隊と第二航空戦隊と第五航空戦隊

真珠湾攻撃に向かった、南雲司令長官率いる第一航空艦隊。
「一航艦(いちこうかん)」と略称される第一航空艦隊は、3つの航空戦隊から成り立っています。
第一航空戦隊:南雲忠一司令長官直卒(旗艦:空母赤城)


第二航空戦隊:山口多聞司令官



第五航空戦隊:原忠一司令官


それぞれ一航戦(いちこうせん)、二航戦(にこうせん)、五航戦(ごこうせん)と呼ばれていました。
中心は、南雲司令長官率いる一航戦です。
源田実と淵田美津雄:海兵52期の両雄

そのため、最も戦歴が長いベテランは一航戦に集まる傾向がありました。
出来たばかりの空母翔鶴・瑞鶴を擁する五航戦は、まだ経験の浅いパイロットが多かったのです。
一航戦のベテランパイロットの中には、

俺たちは、
正妻の子!



五航戦は、
「妾の子」だな!
「明らかな差別感」を持っている人が多かったのです。
つまり、



俺たちが正統派であり、
五航戦の連中など格下!
このように、赤城航空隊のパイロットたちは考えていたのでした。
そして、その「異様なまでに高いプライド」の通り、歴戦のパイロットたちの能力は極めて高度でした。
攻撃隊を指揮する淵田美津雄 第一航空艦隊赤城飛行長は、もちろん一航戦所属。



航空戦の指揮で、
私の右に出るものはいない!
もう一人、一航戦には若手の重要人物がいました。


源田実 第一航空参謀です。
実は、淵田と源田は海兵52期の同期です。
海軍兵学校卒業期 | 名前 | 専門 | 役職 |
32 | 山本 五十六 | 航空 | 連合艦隊司令長官 |
36 | 南雲 忠一 | 水雷 | 第一航空艦隊司令長官 |
37 | 小沢 治三郎 | 航空 | 南遣艦隊司令長官 |
40 | 山口 多聞 | 航空 | 第二航空戦隊司令官 |
40 | 宇垣 纏 | 大砲 | 連合艦隊参謀長 |
41 | 草鹿 龍之介 | 航空 | 第一航空艦隊参謀長 |
52 | 源田 実 | 航空 | 第一航空参謀 |
52 | 淵田 美津雄 | 航空 | 第一航空艦隊赤城飛行長 |
しかも、非常にウマがあった二人。



源田は
航空隊の作戦指揮を頼む!



淵田、
前線で攻撃指揮を任せたぞ!
南雲司令長官の第一航空艦隊は、「南雲機動部隊」と呼ばれていました。



第一航空艦隊では、
源田さんが、かなり権限を持っているらしい・・・



「南雲」艦隊ではなく、
「源田」艦隊だな!
源田の影響力の強さから「源田艦隊」と呼ばれたほどでした。
第二航空戦隊の立場:海軍内部のライバル意識


かなり強力な権限を持ち、作戦の中心人物であった源田実。
そして、最前線で体調として指揮していた淵田。
この二人共が第一航空戦隊・一航戦におり、「航空部隊の中核」であることは明らかでした。
そして、「妾の子」と差別されていた第五航空戦隊・五航戦。
第二航空戦隊・二航戦はその間の存在であり、一航戦よりは「格下」という感じです。
負けん気の強い熱血漢の山口司令官。



一航戦に
負けるな!



我が二航戦の恐ろしさを、
見せつけてやれ〜!
座乗する旗艦・蒼龍(後に飛龍に変更)で、雄叫びを上げ続けていました。
次回は上記リンクです。