前回は「航空戦に未来を見た山本五十六長官〜「戦艦増派」却下と雷撃機への期待・戦艦も空母もない「貧弱艦隊」南遣艦隊・完全に東を向いていた連合艦隊〜」の話でした。
ハル・ノートに対する日本陸海軍大幹部の視線
山本五十六長官の「乾坤一擲の超大作戦」である真珠湾奇襲攻撃を実行する第一航空艦隊。
その第一航空艦隊が、当時明確な日本領であった択捉島の単冠湾を出港したのが1941年11月26日。
対米戦の正式な開戦が決定した「御前会議の時期」は諸説ありますが、この時は陸海軍の大幹部たちは、
いよいよ、
米国と戦争が始まるのか・・・
あの強大すぎる米国と
戦って勝つには「普通の戦い」ではダメだ！
対米戦へと「腹を括った」状況だったでしょう。
この第一航空艦隊が単冠湾を出港した11月26日と同日に、いわゆる「ハル・ノート」が米国から出されました。
JapanはChinaから
完全に撤兵しなさい！
とにかく、JapanはChinaの大陸における
権益を全て放棄しなさい！
当時の日本が「絶対に呑むはずがない」条件を突きつけてきたハル・ノート。
お、おのれ・・・
中国で我が陸軍将兵が何人死んだと思っているのだ・・・
こんな侮辱的な最後通告を受けて、
「はい、分かりました」など言えるか・・・
この通告に黙って従ったら、
我が国は終わる・・・
日米交渉妥結ならば、
南雲には引っ返してもらうが・・・
これでは、さすがに
妥結は無理だろう・・・
東條首相も山本長官も、「日米戦の現実」を直視せざるを得ない状況でした。
世界を股にかけた空前の超大帝国・大英帝国
当時、盛んに連絡を取り合って、まさに「完全な同盟国」であった米英。
そろそろ、巨大ボイラーである
United Statesが参戦か・・・
チャーチル首相は「米国がいよいよ参戦」する気配を確実に感じていました。
当時世界中に領土を持ち、「日の沈まぬ巨大帝国」であった大英帝国。
世界を股にかけた空前の超大帝国だった大英帝国を率いていたチャーチル首相は、
我がUnited Kigdomの
Asiaの権益は必ず守る！
英国本土で、ヒトラーに猛烈な攻撃を受けていたものの「植民地で運営が成り立っていた」英国。
ここで、我がUKの
経済力を確保し、できればさらに領土を広げる！
こうチャーチル首相は考えていたでしょう。
「かつての弟分」の連合艦隊をみくびっていたフィリップス提督
そして、ここで登場するのが非常に声望の高い英国海軍のフィリップス提督です。
Phillips中将が出てゆけば、
Japanなど一気に壊滅よ！
Phillips中将！
頼んだぞ！
私に
全てお任せを！
「英国海軍の宝」とも言われた「大逸材」であったトム・フィリップス。
かつて、海軍大臣を務めたチャーチルは、
私は英海軍のことを
全て把握している！
Phillips中将は軍令部次長として
最適だが・・・
Phillips中将には
英東洋艦隊司令長官になってもらう！
フィリップス提督を軍令部次長から引き抜いて、英東洋艦隊の司令長官に据えたのでした。
さらに、英国の宝である最新鋭戦艦の戦艦 Prince of Walesを投入したチャーチル。
すでに「勝つのが当然」の状況でした。
Japanは、陸海軍の総力を上げて
USの方を向かざるを得ないだろうが・・・
ここで、一気にJapanを
叩いて、壊滅させてやるのだ！
こう考えていたチャーチル首相に対し、フィリップス提督もまた、
私がJapanの
海軍を潰して見せましょう！
なんと言っても、80年ほど前から
Japanを指導してあげたのが、我がUK!
こう考え、完全に「かつての弟分」の日本海軍をみくびっていました。
Phillips提督！
Japanの艦隊には戦艦はいないようです！
なに？！
まあ、USの方に向かっているんだろうが・・・
そんな貧相な艦隊で
我が東洋艦隊に挑むとは笑止千万よ！
ここで、気になる情報が入ってきました。
Phillips提督！
どうも、Japanは陸上基地に多数の航空機を配備しているようです・・・
なに？！
ふむう・・・
たしかに、航空機による爆撃と
雷撃の威力は近年増している・・・
だが、戦艦に対して
飛行機が挑むのは、無理だ！
Phillips提督！
Japanの航空隊がSaigon基地などにいるようです！
まあ、Japanの航空隊が
どこにいようと大したことはない！
まずは、Japanの目の前の
艦隊を壊滅させるのだ！
超自信満々のフィリップス提督でした。
我が最新鋭戦艦Prince of Walesで、
Japanの艦隊も飛行機も潰して見せよう！
そして、真珠湾奇襲攻撃直前の1941年12月2日、フィリップス提督はマレーに乗り込んできました。
次回は上記リンクです。
