島津の底力「釣り野伏せ」を予期した立花道雪〜耳川での大敗北・決戦早朝に陣立を変更した龍造寺隆信・鍋島直茂が感じた悪い予感・「釣り野伏せ」の準備完了して待つ島津〜|立花道雪14・能力・人物像・エピソード

前回は「島津と龍造寺の戦いを睨む立花道雪〜圧倒的な軍勢を頼みに油断していた龍造寺隆信・島津の秘策・「釣り野伏せ」と過酷な軍法〜」の話でした。

立花道雪(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)
目次

島津の底力「釣り野伏せ」を予期した立花道雪:耳川での大敗北

新歴史紀行
耳川の合戦図(歴史人2020年11月号 KKベストセラーズ)
立花道雪

耳川で、我が大友は
島津の戦略に叩かれた・・・

立花道雪

宗麟様も私も
不在であったが、我が軍勢は大軍だった・・・

立花道雪

それが、完膚なきまで
やられたのだ・・・

立花道雪

島津は
油断ならん!

島津家お得意の「釣り野伏せ」で完膚なきまで叩かれて、大敗北した大友軍。

これが「大友にとって致命傷」となりました。

立花道雪

まさか、島津は、
また「釣り野伏せ」を狙っているのでは・・・

こう島津の意図を推測っていた道雪。

それは「理屈」ではなく、長年の「戦場の勘」からくる洞察でした。

決戦早朝に陣立を変更した龍造寺隆信

戦国大名 龍造寺隆信(Wikipedia)
龍造寺隆信

耳川の時の大友の
失態の最大の原因!

龍造寺隆信

それは、
宗麟が出馬しなかったことだ!

戦国大名 大友宗麟(Wikipedia)

確かに、一大決戦であったにも関わらず、耳川に出陣しなかったのは、宗麟の大失策でした。

龍造寺隆信

俺は宗麟とは
違うぜ!

この「当主自ら出てゆく」ことは確かに士気が高まるので、メリット大きく効果大です。

一方で、「当主の生命が危険に晒される」こともまたデメリットとしてあったのが現実でした。

龍造寺隆信

とにかく、ワシが
出てゆけば、絶対勝てる!

歴戦の猛将であった龍造寺隆信は、こう考えていました。

沖田畷の戦い(歴史人2020年11月号 KKベストセラーズ)

いよいよ合戦が始まろうとします。

当初、山手を進む予定だった龍造寺隆信。

龍造寺隆信

軍勢の少ない島津に、
俺が直接鉄槌を下す!

決戦の早朝に、突然陣立を変更します。

龍造寺隆信

ワシは、中央を
突進するぞ!

龍造寺家重臣A

もうすぐ
開戦です!

龍造寺家重臣A

これからの陣立の変更は、
混乱をきたします。

龍造寺家重臣A

隆信様!
どうぞ、お考え直しを!

龍造寺隆信

なにをっ!
やかましい!

龍造寺隆信

黙って
直ちに実行するのだ!

龍造寺隆信

ワシの命令
なのだ!

鍋島直茂が感じた悪い予感:「釣り野伏せ」の準備完了して待つ島津

龍造寺家重臣 鍋島信生(直茂)(Wikipedia)
鍋島直茂

これは
流石にまずい・・・

この龍造寺隆信の意味不明でしかない命令に対して、龍造寺切っての智将・鍋島直茂は懸念を感じました。

鍋島直茂

隆信様・・・
陣立の急な変更は、お考え直しを!

龍造寺随一、というよりも九州随一の智将であった鍋島直茂。

その判断は的確であったはずで、隆信は義弟・直茂を頼りにしていました。

龍造寺隆信

黙れ!
直茂!

龍造寺隆信

良いから、
ワシの言う通りにせよ!

ところが、この頃増長しきっていた隆信。

龍造寺隆信

このワシの判断が
最も正しいのだ!

義理の弟であり、知将であった直茂の助言を退けました。

沖田畷の戦い図(歴史群像シリーズ12 戦国九州軍記 学研)
鍋島直茂

ははっ・・・
隆信様のおっしゃる通りに・・・

悪い予感を感じていた鍋島直茂。

鍋島直茂

まあ、5倍もの軍勢がいるから、
大丈夫か・・・

実際には、智勇兼備の将・鍋島直茂もまた油断していたのでした。

対して、小勢といえども、決死の態勢で臨む島津家。

迫力がまるで違いました。

島津家久

有馬・島津連合軍は、
沼地を前に布陣を完了!

島津家久

前方は一面、沼地で、中央は
数人が通れるだけの細い道だけだ・・・

島津家久

左右は、深い田が
広がっている!

島津家久

守りを
しっかり固めよ!

島津家久

そして、敵主力を誘い込んで、
挟撃するのだ!

島津は「釣り野伏せ」の準備を完了して、龍造寺を待ちました。

いよいよ、島津と龍造寺の雌雄を決する合戦が始まります。

戦国大名 島津義弘(図説・戦国武将118 学研)

実はこの時、肥後に戦力を集中していた島津家。

当主の島津義久と島津義弘など主力が健在で、仮に「ここで敗北しても、まだ挽回可能」だった島津。

対して、乾坤一擲で「全てを投入して、当主隆信自身が出馬」していた龍造寺。

ある意味「龍造寺隆信の思い切った」戦略は、九州の未来に大きな影響を与えました。

次回は上記リンクです。

新歴史紀行

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