大人気の坂本龍馬の実像〜維新前夜に非業に倒れた龍馬の不明な足跡・「海から世界を見た」龍馬と薩長同盟・脱藩者と藩士の視点〜|坂本龍馬2・人物像・エピソード

前回は「幕末維新を飛翔させた男・坂本龍馬の実像〜「薩長同盟の立役者」の謎・海の国土佐から世界へ飛躍・太平洋に思い切り開けた土佐〜」の話でした。

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土佐藩士(脱藩) 坂本龍馬(国立国会図書館)
目次

大人気の坂本龍馬の実像:維新前夜に非業に倒れた龍馬の不明な足跡

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桂浜(新歴史紀行)

日本の歴史の中で、人気が高い「3つの時代」があります。

注目される・ファンが多い日本の歴史の時期

・戦国時代:1550年〜1600年頃

・幕末維新:1840年〜1870年頃

・第二次世界大戦:1938年〜1945年頃

上の戦国時代、幕末維新、第二次世界大戦の三つの時代は「歴史雑誌の特集」が最も多い時代です。

これらの中で、「第二次世界大戦」が好きな方、興味がある人は比較的少数派と考えます。

日本が敗戦した事実や、「アジア侵略」など日本に関連する様々な事実から、

日本人A

歴史は好きだけど、
第二次世界大戦は、ちょっと・・・

日本人としては「後ろめたい」気持ち を感じる人も多いでしょう。

さらに、兵器などによって多数の死者が出た事実も、「あまり見たくない」事実かもしれません。

対して、戦国時代・幕末維新も「多数の死者が出た」時代ですが、

日本人B

私は戦国時代が
好きよ!

「戦国時代は好き」という人も多く、戦国や幕末維新が好きな女性も多いです。

2000年代からは、「歴史好きな女性=歴女(れきじょ)」という言葉が生まれたほどでした。

そして、幕末維新では、人気が圧倒的に高い一人が坂本龍馬です。

日本人B

坂本龍馬って
かっこいい!

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左上から時計回りに、明治維新の元勲:木戸孝允、岩倉具視、大久保利通、西郷隆盛(Wikipedia)
維新の四傑(新歴史紀行)

・薩摩:西郷隆盛・大久保利通

・長州:木戸孝允

・公家:岩倉具視

筆者は、幕末維新を「維新の三傑」ではなく、上記の「維新の四傑」でまとめると良いと考えています。

上記の「維新の四傑」は圧倒的知名度であり、人気もありますが、

日本人A

大久保利通は
暗いから好きではない・・・

日本人B

岩倉具視は
有名だけど、黒幕っぽいし・・・

まずは、大久保と岩倉は全くと言って良いほど、人気がありません。

二人とも「裏側で暗躍した」イメージが強く、実際、幕末維新期には、二人して「超暗躍」しました。

残った、西郷と木戸の二人は、それぞれ人気が高く、特に西郷の人気は抜群です。

西郷隆盛

おいどんが、
討幕軍を率いたごわす!

幕末維新のトップでありながら、最後は西南戦争で散っていった西郷には、

日本人B

西郷隆盛は
男らしくて、好き!

木戸は、それほど人気が高くはありませんが、坂本龍馬は一般的には「人気筆頭格」です。

一方で、維新前夜に非業に倒れた龍馬は、実際には不明な足跡が多いのが事実です。

「海から世界を見た」龍馬と薩長同盟:脱藩者と藩士の視点

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左上から時計回りに木戸孝允、坂本龍馬、西郷隆盛、中岡慎太郎(Wikipedia)
坂本龍馬

土佐とか、薩摩とか、
長州ではなく・・・

坂本龍馬

世界を見る
ぜよ!

「海の男」坂本龍馬は、「海から世界を見た」と考えられています。

土佐・薩摩・長州などの「当時の国家」の枠を超えた発想と持っていた、と言われます。

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龍馬がゆく:司馬遼太郎(新歴史紀行)

この「海から世界を見た」龍馬のイメージは、司馬遼太郎「竜馬がゆく」の影響が甚大です。

「竜馬がゆく」を読めば、誰でも龍馬ファンになるのは間違いなく、

日本人B

龍馬は、西郷や
木戸とは違う「高い視点」を持っていたのね!

このように、坂本龍馬が「西郷や木戸とは次元が違う高い視点」を持っていた印象を持ちます。

坂本龍馬

日本の中で
争って、どうするぜよ?

坂本龍馬

薩摩と長州が
歪みあって、その間に・・・

坂本龍馬

日本が、メリケンとかから
侵略されても、良いのですか?

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左上から時計回りに、徳川慶喜、榎本武揚、勝海舟、小栗忠順(国立国会図書館、Wikipedia)

後世の視点から見れば、「幕末」と呼ばれる1865年〜1867年頃。

確かに、徳川幕府の影響力は、「往時より遥かに落ちていた」状況でした。

一方で、「徳川幕府=日本政府」であったのは、現実であり、諸大名は諸侯に過ぎませんでした。

土佐・長州・薩摩などは「半独立国」のような状況でしたが、やはり「徳川幕府の一部」でした。

西郷隆盛

確かに、龍馬どんの
言うことも正しいごわすが・・・

木戸孝允

確かに、我が長州は
幕府から攻められ・・・

木戸孝允

外国からも連合軍を組まれて、
攻撃されて、袋叩き状態だ・・・

それぞれ「薩摩ファースト」の西郷と、「長州ファースト」の木戸。

対して、本来は「土佐ファースト」の龍馬であるべきでしたが、

坂本龍馬

私は土佐みたいな
小さな世界から脱したぜよ・・・

坂本龍馬

あんな小さな世界から
脱藩して、自由人になったぜよ・・・

土佐を脱藩し、「脱藩浪士=所属不明」となった龍馬は、「思考の制限」がありませんでした。

この点は、後世の観点から見れば、「思考=藩士の制限がない」ことは「良いこと」です。

坂本龍馬

実際には、守ってくれる
存在もないから・・・

坂本龍馬

徳川幕府の勝先生の
元で、活躍しているのだが・・・

「土佐の枠組」を脱した龍馬は、

勝海舟

土佐脱藩の
坂本龍馬・・・

勝海舟

なかなか機転も効くし、
面白い奴だ・・・

当時、幕閣の超有力者の一人であった勝海舟のことで、海軍や海運の訓練に励みました。

この点では、龍馬の視点は「土佐から徳川幕府に移った」と考えても良さそうです。

ところが、龍馬は「徳川幕府ファースト」には決してならなかった点は、偉大でした。

坂本龍馬

私は自由人ですが、
勝先生、つまり徳川幕府の枠内かも知れん・・・

坂本龍馬

だが、「徳川幕府のため」では
なく、「我が国のため」を考えたい・・・

そして、飛躍して、「我が国のため」を思考した龍馬。

この龍馬の発想こそが、薩長同盟に繋がり、「幕末維新を回天させた」とも言えます。

一方で、この「龍馬の発想」は「脱藩し、どん底に陥った」大きな苦難の結果でもあったでしょう。

土佐藩の上士・下士と郷士

・上士:関ヶ原合戦で新たな国主(藩主)となった山内家の藩士(武士)

・下士と郷士:旧国主の長宗我部系の藩士(武士)

郷士であり、「虫けら同然」の扱いを受け続けた龍馬が脱した世界は、確かに「狭い世界」でした。

この「狭い世界」を脱して、「新たな世界」に踊り出た龍馬。

西郷隆盛

おいどんは、「薩摩抜き」で
考えることは、出来んごわす・・・

それは、「正統派=藩士」であった西郷や木戸とは異なり、

坂本龍馬

もはや藩士ではないから、
違う視点を持つしかない!

「非正統派=脱藩者」だったからこそ得られた「大苦難の果ての視点」だったのでしょう。

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