前回は「原枢密院議長の「謎の発言」の真意〜日ソ中立条約と独ソ不可侵条約・近衛首相と杉山総長と永野総長のバラバラな説明・御前会議の謎〜」の話でした。
ゾルゲが探知した最高機密「新国策」:改訂の意義が不明瞭な曖昧性

近衛文麿適宜北方問題を解決することは
帝国国防上は勿論、東亜全局の安定上極めて肝要です・・・



帝国は目下支那事変の処理に邁進し、
而も英米との間に機微なる関係にあるますので・・・



諸方策を完全に遂行致し以て南方進出の
態勢を強化することが肝要であると存じます。
近衛首相と、陸海軍統帥のトップであった杉山参謀長と永野総長が昭和天皇に説明した新国策。
第二の二
帝国は自存自衛上南方用域に対する各般の施策を促進す
之が為対英米戦準備を整へ、先づ「対仏印泰施策要項」及「南方施策促進に関する件」に拠り(先づ「南方施策促進に関する件」に拠り)仏印及泰に対する諸方策を完遂し以て南方進出の体制を強化す帝国は本号目的達成の為対英米戦を辞せず
第二の三
独ソ戦に対しては三国枢軸の精神を基調とするも暫く之に介入することなく密かに対ソ武力的準備を整へ自主的に対処す。此の間固より周密なる用意を以て外交交渉を行う。
独ソ戦争の推移帝国の為(極めて)有利に進展せば武力を行使して北方問題を解決し北辺の安定を確保す
第二の四
前号遂行に方り各種の施策就中武力行使の決定に際しては対英米戦争の基本態勢の保持に大なる支障なからしむ


最後に、「事前の根回し」の外にいた原枢密院議長は、



国民は、ソ連を打つことを
熱望している。
「ソ連を打つ」ことを大いに主張しました。
独ソ戦によって、大きく変容することになった「新国策」でしたが、曖昧すぎる内容でした。
これでは、「新たに決議する必要があったのか」が不明であった新国策。





これが、Japanの
新国策か・・・
挙げ句の果てに、当時、近衛首相の側近であった尾崎秀実を通じて、スパイに把握された新国策。
ゾルゲ率いるスパイ軍団に、新国策は、ほぼ完全キャッチされました。
帝國陸海軍未曾有の大動員と関特演:独ソ戦に全て向けたスターリン





Hitlerとの戦いが
始まった以上・・・



南のJapanが、こっち(Soviet)へ
攻め込んでくるのか、来ないのか・・・



それこそが、我がSovietにとって
最重要問題だ!
当時のソ連に密接に繋がっていた共産党の中核が、ゾルゲた一体化して巨大諜報組織を形成していました。



どうやら、Japanは
Sovietへ侵攻はなさそうだな・・・
曖昧だった新国策でしたが、「ソ連へ侵攻の確率が低いこと」は明確でした。
この「ソ連侵攻の確率の低さ」は、直ちにクレムリンへ通報されました。



なに・・・Japanは
こっちに来なそうか・・・



よしっ!
ならば、Hitlerに全力を向けられる!
安心したスターリンは、全力を独ソ戦に向けることが出来ました。
この点では、ゾルゲたちスパイ網の成果はソ連にとって「巨大すぎるもの」でした。
その一方で、「ソ連との戦闘準備」は整えることになった帝国陸海軍。



よしっ!
ソビエトとの戦争に備えるのだ!
帝国陸軍は、関東軍と朝鮮軍を増派を開始し、対ソ戦戦備の強化に入りました。



新たに関東防衛軍を
新設するのだ!
大動員を開始した陸軍は、内地から人馬を大量に満洲と朝鮮に送りました。


「大東亜戦争全史1巻」には、この頃の軍部の動きが詳細な数字とともに紹介されています。
関東軍の総兵力は一気に倍加して70万人にも達し、馬は約14万、航空機約600機となりました。



これは軍事行動
ではない!



特別な演習である
関東軍特別演習である!



我らは略して
「関特演」と呼ぶ!
この満洲への大幅な軍事力強化が「演習ではない」ことは、明白でした。



むむ・・・
Japanは、満洲で大幅軍事力強化をしている・・・



・・・・・



本当に、こちら(Soviet)に
攻め込んでこないのか?
ゾルゲの情報もありましたが、スターリンは大いに疑心暗鬼になったでしょう。
そして、軍事力を一気に強化し出したのは、陸軍だけではありませんでした。



我が帝国海軍は
新たに第五艦隊を新設します!
海軍は、新たな艦隊を新設しました。
新国策が曖昧な内容であったため、満洲における陸軍強化は、様々な可能性を秘めていました。



まずは支那事変を
なんとかしなければ・・・
支那事変へもソ連侵攻の両者の可能性を持っていた陸軍の大規模増派と関特演。



新国策も大事だが、
米国との交渉をなんとかしなければ・・・
ここで、逸る軍部に対して、「米国協調派」であった近衛首相の頭は「米国との交渉」中心でした。

