井伊直弼が想定しなかった展開〜「やむを得ない時」と岩瀬忠震の判断・誠実な岩瀬に感動したハリス・アロー戦争の衝撃・巨大国家清国を蹂躙していた欧米列強〜｜井伊直弼15・能力・人物像・エピソード

前回は「「勅許取得」を最優先していた井伊直弼〜アロー戦争を利用するハリス・「日本の兄貴分」清国の大惨敗・「どうしようもない時」の解釈と「日本的曖昧さ」〜」の話でした。

アロー戦争の衝撃：巨大国家清国を蹂躙していた欧米列強

隣国の清国（中国）で勃発したアヘン戦争とアロー戦争。

日本の兄貴分的存在であり、世界最大の人口とGDPを持っていた清国は、大惨敗を喫しました。

そして、欧米列強は清国に不平等条約を押し付けて、清国全土を蹂躙していました。

幕府有数の明晰な頭脳を持つ岩瀬は、日本の危機を正確に感じ取っていました。

こう考えた、強面ながら繊細な交渉術を持っていたハリス。

強硬で押しが強いハリスに対して、岩瀬は一定の親近感と信頼感を持ちます。

「やむを得ない時」と岩瀬忠震の判断

一方のハリスもまた、岩瀬を高く評価していました。

そして、岩瀬に好感を持っていたハリス。

当時、徳川幕府の中には開国主義の人物もそれなりにいました。

その中でも、「全く鎖国的臭いがしなかった」と言われる岩瀬忠震。

ここで、岩瀬は井伊大老からもらった「やむを得ない時」の言質を使うことを考えます。

具体的に前に進もうとする岩瀬でしたが、具体的内容を検討する能力はありません。

一気にテンションが上がったハリス。

ここで、岩瀬は思い切ったことをハリスに言います。

強面で百戦錬磨のハリスが、大いに驚きました。

井伊直弼が想定しなかった展開：誠実な岩瀬に感動したハリス

あまりに意外な進展に深読みするハリス。

これまで、幕府の役人の牛歩戦術のようなやり方に怒りを感じていたハリス。

幕府重役の目付である岩瀬の思い切った提案。

この提案に半ば呆れ、半ば感動したハリス。

後年、ハリスが日本滞在時に莫大な財産を築いたことが判明しています。

その意味では「かなり曲者」のハリスですが、岩瀬の嘘偽りのない姿勢に感動しました。

澄んだ瞳でハリスを見つめる岩瀬。

この頃、井伊大老は、

岩瀬の独断で、事態が進展しているとは夢にも思わずに、江戸で待っていました。

次回は上記リンクです。