前回は「島津の底力「釣り野伏せ」を予期した立花道雪〜耳川での大敗北・決戦早朝に陣立を変更した龍造寺隆信・鍋島直茂が感じた悪い予感・「釣り野伏せ」の準備完了して待つ島津〜」の話でした。
闘神・島津家久の真骨頂
龍造寺と島津の
正面衝突・・・
これは、
大変見ものだな・・・
道雪もまた、大いに注視していました。
とにかく
突っ込め!
万全の防御態勢でいた島津陣へ、龍造寺軍が突撃します。
大した抵抗も受けずに、龍造寺軍は突進します。
よし・・・
引きつけよ・・・
積極的な「釣り野伏せ」は沼地ゆえできないものの、「静的な釣り野伏せ」とも言うべき戦術です。
「大いに引きつけた」と判断した島津家久。
今だ!
かかれ!
思い切り銃撃を開始し、反撃を始めました。
1584年のこの時、まだ38歳(数え年)だった島津家久は、島津義久・義弘兄弟の末弟(四男)でした。
家久は
極めて優れた武将だ!
家久さえいれば、
我が島津は安泰!
闘将であり、闘神とも言える島津義弘に匹敵するほどの闘将であった島津家久。
考えようによっては、「島津義弘を上回る」軍事能力を持っていた島津家久。
5倍以上の敵を前に、島津家久の真骨頂が発揮される時が近づいていました。
田んぼに足を取られた龍造寺軍:決死の赤星隊
島津軍先陣は、歴戦の勇将・赤星統家。
実は、兼ねて龍造寺隆信に臣従していました。
ところが、隆信の出陣要請を無視したため、人質に出していた子供を隆信に惨殺されていたのでした。
復讐心に燃える赤星統家。
龍造寺軍を
皆殺しにしてやる!
銃撃したのちに、猛烈な白兵戦を龍造寺軍に仕掛けます。
なんだ、
赤星か・・・
舐めてかかった龍造寺軍でしたが、決死の赤星隊の猛烈な勢いに押されました。
おい!
何やってるんだ!
赤星如き奴
相手にどうした!
楽勝と思っていたのに、思わぬ苦戦にイライラする隆信。
全員
命を惜しむな!
とにかく
進め!
ここで、龍造寺軍は、「とにかく前へ前へ」と脇の深い田に入ってでも、前進しようとします。
しかし、深い田に足を取られ、うまく進軍できません。
田んぼに
足を取られて、うまく動けん・・・
どうも、
動きが緩慢になってしまう・・・
早朝の陣立の変更に加え、龍造寺軍は乱れに乱れました。
島津の勢力増強を前に諦観した立花道雪:龍造寺隆信の戦死
これは、
かなりマズイ状況だ!
早々に陣を
立て直すのだ!
奇襲を得意とした鍋島直茂。
大軍勢の大友軍に包囲された「今山の合戦」では、決死隊を率いて活路を開いた猛将・鍋島直茂。
智勇兼備の鍋島直茂は、自軍の乱れに驚愕します。
この状況は早く
収めなければならん!
早く
立て直すのだ!
しかし、乱れた陣はなかなか立ち直りが効かず、さらに士卒が「多勢に無勢」と舐めてかかります。
よしっ!
頃合いはよし!
島津家久は決断して、島津軍の抜刀隊を龍造寺軍に突入させます。
よしっ!
突撃!!!
乱れた龍造寺軍に、決死の島津軍が突進して、隆信の本陣に斬り込みます。
泥田に足を取られた龍造寺軍を、島津軍の鉄砲隊が集中攻撃し、さらに周囲から一気に攻め込みます。
なっ、
なにっ!
隆信の近習が必死に防戦するも、もはや周りは島津兵だらけとなった隆信。
まさか、
こんなことが・・・
「予想のかけら」すらしていなかった事態に、龍造寺隆信は観念しました。
もはや、
負けだ・・・
覚悟を決めた隆信。
敵将・龍造寺隆信と
見た!
・・・・・
お命、
頂戴する!
ぐぁっ!
そして、当主である総大将・龍造寺隆信自身が戦死するという痛恨の大事態に至った龍造寺軍。
「肥前の熊」と恐れられた龍造寺隆信は、あっさり最期を迎えたのでした。
そして、龍造寺四天王など「龍造寺軍の中核」が大勢戦死してしまいました。
まさに、桶狭間の合戦かのような、龍造寺家にとっては大悪夢となりました。
「龍造寺隆信敗死」を聞いた大友宗麟。
龍造寺隆信め、
ざまあ見ろ!
しかし、大友家はそんなことを言っている状況ではなくなっていました。
龍造寺の勢力が、
大いに弱るのは良いが・・・
それは、島津の勢力が大いに
強くなることではないか・・・
大敗北した凋落した龍造寺に対して、島津の勢力増強を強く懸念した立花道雪。
島津の勢力増強を前に諦観するしか他に術がなかった、武雷神・立花道雪でした。
次回は上記リンクです。