Nagumo司令部の意図を深読みしすぎたキング司令官〜発艦指令を出すハルゼー・Nagumo攻撃・ハルゼーの攻撃を止めるスターク総長〜|真珠湾奇襲攻撃60・太平洋戦争

前回は「「赤城直談判」を悩みに悩む山口司令官〜加来・飛龍艦長の献策・飛龍の独断攻撃・不在の米空母の懸念・「もう攻撃完了」の気持ち満タンの赤城司令部〜」の話でした。

目次

発艦指令を出すハルゼー:Nagumo攻撃

William Halsey第二空母戦隊司令官(Wikipedia)

Halsey司令!
発艦準備完了しました!

よし、爆撃機・雷撃機は、
全機発艦せよ!

護衛戦闘機は、
通常の半数!

ははっ!

残りの直掩機は母艦上空で、
Japの来襲に備えよ!

承知しました!
発艦します!

ヤル気満々で、攻撃準備も万端のハルゼー機動部隊。

確かにNagumoの機動部隊は
かなり強力だ・・・

だが、俺様が率いる
US空母部隊は世界最強なのだ!

第二次世界大戦では、日米英独ソにおいて、陸海軍で多数の優れた将校が登場しました。

将官としての才能・適性が抜群の方が多数いましたが、ハルゼーほど攻撃に向いた将軍・提督はいません。

顔つきからして「打撃力最強」のハルゼー司令官。

海戦に限らず、陸上戦でも戦国時代の戦闘でも、このタイプの武将・将軍がいると、非常に強力です。

絵に描いたような闘将であり、

俺は、世界最強の
空母の司令官だ!

と自負していたであろうハルゼー司令官。

そのブル・ハルゼーがついに、南雲機動部隊に向けて襲い掛かります。

Nagumo司令部の意図を深読みしすぎたキング司令官

Ernest King司令官(Wikipedia)

頭脳派で冷静な判断力を持つキング司令官。

Nagumoは
一体何を考えるだろうか?

懸命に、日本海軍の手の内を探ります。

そして、ハワイで攻撃を受けている海軍司令部に照会をかけます。

今、
Nagumoはどうしている?

未だ大きな動きが、
ありません。

うむ・・・
そうか・・・

引き続き、
防戦に努めよ!

Nagumoに動きあり次第、
報告せよ!

ははっ!

Nagumoの動きが、
鈍すぎる・・・

情報によると、Nagumoもかなりの
百戦練磨の将軍・・・

勝機を見誤るとは
思えんが・・・

左上から時計回りに、南雲忠一 第一航空艦隊司令長官、草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長、三川軍一 第三戦隊司令官、山口多聞 第二航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)

南雲長官、
今こそ第二次攻撃を!

第二次攻撃は
不要だろう・・・

俺が赤城へ直談判に
行きたいが、断念する・・・

そろそろ攻撃完了で
内地へ帰還だ!・・・

飛龍だけで
第二次攻撃をしては?

まさか、南雲機動部隊の将軍・提督たちの間で、このような議論が交わされているとは夢にも思わないキング司令官。

海軍兵学校卒業期名前専門役職
32山本 五十六航空連合艦隊司令長官
36南雲 忠一水雷第一航空艦隊司令長官
38三川軍一水雷第三戦隊司令官
40宇垣 纏大砲連合艦隊参謀長
40山口 多聞航空第二航空戦隊司令官
41草鹿 龍之介航空第一航空艦隊参謀長
42加来 止男航空飛龍艦長
連合艦隊幹部の専門・役職・海軍兵学校卒業期(1941年12月)

Nagumoは
何かを意図しているのかもしれぬ・・・

赤城司令部と山口司令官のドタバタ劇を知らない米海軍司令部。

おかしい・・・
おかしすぎる・・・

俺がNagumoなら、
実施している・・・

冷静に南雲機動部隊の動きを見て、指示を検討しますが、どうにも理解に苦しみます。

Nagumoは
さらに重要な作戦をしようとしているのか?

単に優柔不断であった赤城司令部に対して、とことん深読みを続けたキング司令官。

ハルゼーの攻撃を止めるスターク総長

Harold Stark米海軍作戦総長(部長)

どうも、おかしい・・・
解せない・・・

頭脳派のキング司令官は、頭で理解できないこと・納得できないことはやらない性格です。

これは、Nagumoは
真珠湾の第二次攻撃をやらないのではないか・・・

ここで、キング司令官はスターク総長に提言します。

長官。
日本海軍は、石油タンクを攻撃しない可能性があります・・・

そうか・・・

攻撃するなら、もう攻撃を、
開始しているはずです。

あとは、
Halseyが調子に乗り過ぎなければ良いですが・・・

Halseyに、
釘を指すか・・・

空母Lexington(Wikipedia)

空母レキシントン・エンタープライズから間もなく発艦という時、

早く
発艦しろ!

ははっ!

ここでスターク長官から無電が入ります。

Halseyよ。
むやみにNagumoを攻撃するな!

な、
なんですと!

Nagumoと正面切って戦うのは、
危険だ!

少し様子を
見るのだ!

空母Enterprise(Wikipedia)

「攻撃しろ」と言ったと思ったら、
「様子見」だと・・・

この
バカどもめが!

内心怒り心頭ですが、上官の命令は絶対です。

いや、
しかし・・・

すぐに攻撃隊を発艦させねば、
手遅れになりますぞ!

いいから、
準備万端で待ってろ!

はっ・・・

明らかに不満そうな声をしているハルゼー司令官に対して、

これは
命令だぞ!

スターク長官は重ねて指示しました。

おのれ・・・
くっそ〜

おい・・・、
発艦は中止だ!

ははっ!

真珠湾攻撃(歴史人2021 年8月号 ABCアーク)

Nagumoは、何が理由で、
こんなに時間をかけているのだ?

まさか、
他への攻撃を考えているのでは・・・

我々が、考えていない何かを
狙っているかもしれぬ・・・

あるいは、新兵器を装着して、
どこかへ攻撃隊を向かわせるのか・・・

日本海軍の鈍い動きに対して、深読みしすぎて異常に慎重になった米軍司令部でした。

次回は上記リンクです。

新歴史紀行

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