「第二次攻撃断念」に悲憤した山口司令官と加来艦長〜「真珠湾攻撃完了」の南雲長官と草鹿参謀長・自らに言い聞かせるようにつぶやいた山本五十六長官〜|真珠湾奇襲攻撃61・太平洋戦争

前回は「Nagumo司令部の意図を深読みしすぎたキング司令官〜・発艦指令を出すハルゼー・Nagumo攻撃・ハルゼーの攻撃を止めるスターク総長〜」の話でした。

目次

「真珠湾攻撃完了」の南雲長官と草鹿参謀長

草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

赤城司令部に「石油タンク・工廠攻撃」を直談判に向かおうとした第二航空戦隊の山口司令官。

蒼龍幕僚A

赤城へ向かっても、
着艦に失敗する可能性があります!

味方戦闘機・米戦闘機が周辺で戦っている中、「赤城行き」は「死と隣り合わせ」の状況でした。

山口多聞

私は
どうなっても良い・・・

山口多聞

赤城へ行くのは
中止だ・・・

こうして、「直談判断念」と言う苦渋の決断をした山口司令官。

左上から時計回りに、南雲忠一 第一航空艦隊司令長官、草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長、三川軍一 第三戦隊司令官、山口多聞 第二航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)
山口多聞

なんとか、赤城司令部に
第二次攻撃するようにもっと強く要請できないか・・・

蒼龍幕僚A

何度も
攻撃要請の無電を出し・・・

蒼龍幕僚A

発光信号も
出しておりますが・・・

蒼龍幕僚A

赤城からは
攻撃命令がありません・・・

すでに何度も何度も山口司令官・三川司令官が要請したものの、却下してきた赤城司令部。

こうなると、もはや南雲長官と・草鹿参謀長の独壇場です。

草鹿龍之介

長官・・・
そろそろ、攻撃完了の指令を!

南雲忠一

うむ・・・

草鹿龍之介

もたもたしていては、米軍から思わぬ
反撃を受けるやも知れませぬ。

南雲忠一

よしっ!
攻撃完了の指令を!

草鹿龍之介

はっ・・・
承知しました・・・

第一航空艦隊旗艦 空母赤城(Wikipedia)
草鹿龍之介

各艦隊へ
無電!

草鹿龍之介

真珠湾奇襲攻撃は
完了。

草鹿龍之介

我が機動部隊は、速やかに
内地(日本本土)へ戻る。

赤城幕僚A

ははっ!

赤城幕僚A

各空母へ
連絡いたします!

「第二次攻撃断念」に悲憤した山口司令官と加来艦長

新歴史紀行
第二航空戦隊 空母蒼龍(Wikipedia)
蒼龍幕僚B

赤城より
無電!

山口多聞 第二航空戦隊司令官(WIkipedia)
山口多聞

・・・・・

唇を噛む山口司令官。

無電の内容は予想できます。

山口多聞

攻撃完了の
指令か・・・

蒼龍幕僚B

無電の
内容は・・・

蒼龍幕僚B

真珠湾奇襲攻撃は完了。
内地(日本本土)へ戻る・・・

山口多聞

・・・・・

加来止男 飛龍艦長(Wikipedia)

ここで、飛龍艦長にして航空隊の本質を理解している加来艦長。

勇躍して、山口司令官に大いに詰め寄ります。

加来止男

山口司令!
もはや蒼龍と飛龍だけで攻撃をしましょう!

山口多聞

・・・・・

加来止男

飛龍に関しては、
艦長の私が責任持ちます!

加来止男

山口司令!
今です!

加来止男

山口司令!
今やらねば、真珠湾の石油タンク攻撃は・・・

加来止男

今やらずに、
真珠湾の石油タンクをいつ攻撃するのですか!

加来止男

軍令違反は、
艦長の私が負います!

山口多聞

・・・・・

悩みに悩む山口司令。

「軍令違反の責任を負う」とまで主張する加来艦長の懇願するような極めて強い要請。

「加来艦長が責任を負う」と言っても、軍令違反の場合は、山口司令官にも罰が下る可能性があります。

山口多聞

私は、
軍令違反となっても構わん!

山口多聞

我が大日本帝国海軍の未来が
開けるならば、私はどうでも良い・・・

空母Enterprise(Wikipedia)
山口多聞

しかし、
米空母はどこにいるのだ・・・

空母Lexington(Wikipedia)

どうしても気になるのは、「不在の米空母の所在位置」です。

山口多聞

米空母が
背後から襲ってきたら・・・

山口多聞

ここで、やりすぎることで、
万が一にでも多くの若者たちが・・

諦観するように目を瞑り、天を見上げる山口司令官。

山口多聞

・・・・・

そして、決断を下します。

山口多聞

艦隊が別行動をして、
米軍に隙を与えてはならぬ・・・

加来止男

では、
諦めるのですか?

山口多聞

・・・・・

苦渋の表情を見せる山口司令官。

山口多聞

うむ・・・

軍令上、第二航空戦隊に所属する加来飛龍艦長は山口司令官の下です。

海軍兵学校卒業期名前専門役職
32山本 五十六航空連合艦隊司令長官
36南雲 忠一水雷第一航空艦隊司令長官
38三川軍一水雷第三戦隊司令官
40宇垣 纏大砲連合艦隊参謀長
40山口 多聞航空第二航空戦隊司令官
41草鹿 龍之介航空第一航空艦隊参謀長
42加来 止男航空飛龍艦長
連合艦隊幹部の専門・役職・海軍兵学校卒業期(1941年12月)

そして、海兵2期後輩で、個人的にも山口司令官を尊敬していた加来艦長。

加来止男

分かりました・・・
非常に残念ですが・・・

加来止男

山口司令の
決断を尊重します・・・

「第二次攻撃断念」に悲憤するも、なんともやるせない山口司令官と加来艦長の二人でした。

自らに言い聞かせるようにつぶやいた山本五十六長官

宇垣纏 連合艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)
連合艦隊幕僚C

赤城より
無電!

宇垣纏

うむ、
なんだ?

連合艦隊幕僚C

真珠湾奇襲攻撃は完了。
我らは内地(日本本土)へ戻る。

宇垣纏

そうか・・・
ふむう・・・

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

この赤城からの報告を横で聞いていた山本長官。

山本五十六

・・・・・

宇垣纏

長官・・・
南雲長官は、第二次攻撃をしませんでしたな。

山本五十六

やむを
やむを得ぬ・・・

山本五十六

南雲は
そういう男だ・・・

真珠湾奇襲攻撃に関する、作戦・人事のドタバタを思い出す山本長官。

山本五十六

・・・・・

山本五十六

やはり、私が生命をかけてでも、
機動部隊を引っ張って行けば良かったか・・・

山本五十六

私が、機動部隊を
直卒していれば・・・

ところが、もはや「後の祭り」でした。

山本五十六

いや、
これでいいんだ・・・

山本五十六

無事に奇襲攻撃が完了しただけで、
よしとしなければ・・・

真珠湾から一転、内地(日本本土)へ針路を変え、戻ろうとする奇襲部隊でした。

山本五十六

これで
良かったのだ・・・

宇垣纏

・・・・・

山本五十六

これで・・・
これで良いのだ・・・

自らに言い聞かせるようにつぶやいた山本長官でした。

次回は上記リンクです。

新歴史紀行

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