「赤城直談判」を悩みに悩む山口司令官〜加来・飛龍艦長の献策・飛龍の独断攻撃・不在の米空母の懸念・「もう攻撃完了」の気持ち満タンの赤城司令部〜|真珠湾奇襲攻撃59・太平洋戦争

前回は「Nagumoの動きを監視する米海軍〜真珠湾へ急行するブルハルゼー・標的となったNagumo・攻撃隊発艦命令を下すハルゼー司令官〜|」の話でした。

目次

「赤城直談判」を悩みに悩む山口司令官

山口多聞 第二航空戦隊司令官(WIkipedia)

空母赤城に向かって、赤城司令部に「石油タンク・工廠攻撃」を直談判するつもりの山口司令官。

司令官である私が直接
赤城へゆき、南雲長官と直談判する!

草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

事実上の最高意思決定者である草鹿参謀長は、山口司令官の海兵一期後輩です。

海軍兵学校卒業期名前専門役職
32山本 五十六航空連合艦隊司令長官
36南雲 忠一水雷第一航空艦隊司令長官
38三川軍一水雷第三戦隊司令官
40宇垣 纏大砲連合艦隊参謀長
40山口 多聞航空第二航空戦隊司令官
41草鹿 龍之介航空第一航空艦隊参謀長
42加来 止男航空飛龍艦長
連合艦隊幹部の専門・役職・海軍兵学校卒業期(1941年12月)

草鹿なんか、
全然ダメだ!

直接、南雲長官に
第二次攻撃を決断頂くしかない!

直接、飛龍から赤城へ飛行機で自ら向かうつもりですが、

赤城へ向かっても、
着艦に失敗する可能性があります!

赤城へ向かうのは、
ご再考頂けないでしょうか・・・

赤城への直談判を自制するように、懇願する空母飛龍の幕僚たち。

山口司令官が赤城に向かう途中に、搭乗している航空機が撃墜される可能性もあります。

撃墜されれば高い可能性で戦死し、着艦の失敗では自身以外にも他の将兵を巻き込む可能性があります。

赤城に着艦失敗する
可能性・・・

私は
どうなっても良い・・・

だが、着艦の失敗が大惨事を引き起こすことは
絶対に避けねば・・・

ここで、山口司令官は決断しました。

うむ・・・
分かった・・・

赤城へ行くのは
中止だ・・・

加来・飛龍艦長の献策:飛龍の独断攻撃

加来止男 飛龍艦長(Wikipedia)

ここで、悩む山口司令官に、加来・飛龍艦長が近寄ります。

山口司令・・・

風貌からして「典型的な武士」のような人物であった加来艦長。

山口司令官の海兵2期後輩の42期卒業で、空母などの操艦に高い能力を有していました。

山口司令の気持ちは、
とても分かります・・・

ここは、飛龍攻撃隊だけででも、
石油タンクを攻撃しては、いかがでしょうか。

新歴史紀行
第一航空艦隊(ビッグマンスペシャル 連合艦隊上巻 勃興編 世界文化社)

第一航空艦隊は三つの航空戦隊からなり、山口司令官の第二航空戦隊には空母飛龍・蒼龍がありました。

二つの空母を預かる山口司令官ですが、上の南雲長官の指令を振り切って、飛龍・蒼龍に指令を下すことはできません。

いわば、「日本的な中間管理職」のような中途半端な存在であったのが、司令官でした。

加来艦長は続けて、山口司令官に進言します。

責任は、
艦長の私が取ります・・・

第二航空戦隊 空母飛龍(Wikipedia)

うむ・・・

飛龍だけで、
やりますか?

う〜む・・・

唇を真一文字にして、悩む山口司令官。

南雲さんも、草鹿も
第二次攻撃をするつもりはないだろう・・・

飛龍の攻撃隊だけで、
石油タンクと工廠を叩くか・・・?

不在の米空母の懸念:「もう攻撃完了」の気持ち満タンの赤城司令部

真珠湾攻撃(歴史人2021 年8月号 ABCアーク)

ここで、飛龍の加来艦長の献策は非常に有り難く感じる山口司令官。

我が第二航空戦隊だけ、
赤城の司令部の軍令に違反してやるか・・・

はい。
南雲長官は、最近優柔不断です・・・

若い頃は剛勇、というより蛮勇で暴れ回った南雲忠一司令長官。

ところが、年を取るにつれて往年の覇気を無くしてきていることは、周囲にはわかっていました。

ここまで、反対しているところを見ると、
南雲長官は第二次攻撃を指令しないでしょう・・・

うむ・・・

石油タンクは、
引火すれば大爆発を起こします・・・

攻撃隊は数機でも、
非常に大きな戦果となります。

確かに
そうだ・・・

だが、不在の敵空母の奇襲攻撃を、
背面から受ける可能性もある。

ここで、山口司令官の脳裏には、米空母の動きが非常に気になります。

空母Enterprise(Wikipedia)

真珠湾に停泊しているはずで、すでに「撃沈しているはず」だった米空母二隻。

空母Lexington(Wikipedia)

その二隻が満を持して、背後から襲いかかってくる可能性があります。

米空母は
どこにいるのだ?

そうなったら、大変な損害が出てしまうのは明白でした。

真珠湾を「奇襲攻撃している」のに、米空母に「奇襲攻撃される」可能性があります。

ここは、
どうすべきか?

第一航空艦隊旗艦 空母赤城(Wikipedia)

この頃、第一航空艦隊旗艦の赤城では、

南雲長官。
山口司令が、赤城へ来るのを断念した模様です・・・

そろそろ
潮時ですな・・・

南雲忠一 第一航空艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

うむ・・・
そうだな・・・

「もう攻撃完了」の気持ち満タンの赤城司令部でした。

次回は上記リンクです。

新歴史紀行

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