非常職・大老設置を決意した将軍家定〜小さい頃から病弱だった徳川家定・徳川家慶の懸念・将軍になりかけた一橋慶喜〜｜井伊直弼7・出身・人物像・エピソード

前回は「木に埋もれた人生から一気に躍り出た井伊直弼〜ペリー来航の大激震と日米和親条約締結・困惑する幕府・大揉めの将軍継嗣問題・一橋慶喜が大嫌いな将軍家定〜」の話でした。

小さい頃から病弱だった徳川家定：徳川家慶の懸念

1824年生まれの徳川家定は、第十二代将軍であった徳川家慶の後継者です。

子沢山だった徳川家慶は、なんと「14男13女」を設けました。

つまり「27人も子どもがいる」という大家族でしたが、

代々世襲の徳川幕府将軍は、「後継者不在」となると大変なことになります。

実は「後継者不在の危機」を感じたのは、家慶の四代前の第八代将軍徳川吉宗の時代でした。

徳川時代に、諸侯の中で「別格」扱いであった尾張・紀伊・水戸の徳川御三家。

石高のみでは、加賀102万石、薩摩77万石より劣るものの全国有数の大大名であった御三家。

これら徳川御三家は、江戸城などにおける待遇・扱いが「別格」でした。

そして、この「別格」の御三家は「将軍を出すことが出来る」数少ない家柄でした。

将軍吉宗は、

と考え、御三家に準じる家格として「将軍を出すことが出来る」御三卿を新設しました。

御三卿の石高は、仲良く「みんな10万石」で合わせました。

享保の改革で有名な徳川吉宗は、徳川宗家のためには最も大事な仕事の一つ「後継者不在解消」を実施しました。

「14男13女」の子どもを抱えた徳川家慶でしたが、

なにかの身体的問題があったのか（詳細は不明）、成人まで成長したのは家定のみでした。

さらに家定は小さい頃から病弱で、

将軍になりかけた一橋慶喜

ここで、小さい頃から身体頑健で英米の誉が高かった一橋慶喜。

逡巡する家慶でしたが、最後には「我が子が可愛かった」のでしょう。

こうして、第十三代将軍に内定した家定。

第十三代将軍に「なりかけた」慶喜は、二代後の第十五代将軍=最後の将軍となりました、

そして、家慶死去の後に、

家定は1853年、現代の19歳の時に正式に第十三代将軍となったのでした。

少し病弱でしたが、若々しい青年将軍が誕生しました。

非常職・大老設置を決意した将軍家定

家定が将軍に就任した1853年には、ペリーがやってきました。

黒船来航の19日後に将軍となった家定。

そして、徳川幕府はペリー提督に対しては「先延ばし作戦」で臨みました。

こう思った幕閣が甘く、翌1854年には、

しかも、前年は４隻だった軍艦を９隻に増強して、江戸湾に乗り込んできたペリー。

こうして、日米和親条約を締結させられた徳川幕府。

そして、リーダーシップ不在に悩む、第十三代将軍 徳川 家定。

悩んでいるところに、さらに1858年には米国からハリスがやってきます。

ハリスは、日米和親条約に続く条約を迫ってきて、事態が急展開します。

外交問題がさらに増えました。

その中、条約の責任者であった老中　堀田正睦は朝廷との折衝に失敗します。

悩む将軍家定。

時は1858年で、明治維新まで、あと残すところ9年でした。

徳川幕府の屋台骨がグラグラ揺らいでいることを肌で実感していた将軍家定。

米国だけでも相手をするのが大変なのに、英国・仏国と急に大勢やってきました。

事態は収集どころか、もはや何がなんだか「訳がわからない状況」になります。

健康に問題があり、将軍就任後は体調が悪化していた家定は、悩みに悩みます。

家定は、非常職の大老設置を決意します。

次回は上記リンクです。