前回は「日本海軍の「迎撃ポリシー」を叩き潰して飛躍した山本五十六〜戦艦から空母へ・山本長官の慧眼・日本海海戦を戦った山本少尉〜」の話でした。
演説を準備するルーズベルト大統領:原稿チェックと米国民への思い
米国民を対ドイツ・日本の大戦争へ向かわせるために、演説の内容で頭が一杯のルーズベルト大統領。
最高の民主主義の国である
我がUS!
米国では、政治において、
演説は何より大事なのだ!
米国民を大いに鼓舞して、日本とドイツに向かわせなければなりません。
大統領選挙では
大勝利だったが・・・
その時の公約は「米国の青年を
外国の戦場に送らない」だったのだ!
米国民との約束である公約を最重視していたルーズベルト大統領。
とにかく、我がUSの若者たちが、
勇んでJapanとGermenyに向かうように・・・
US軍の最高司令官である
私が大いなる演説をするのだ!
具体的な戦略は、ハル国務長官に陸海軍との調整を任せます。
具体的なJapanへの
反撃は、ハル長官に陸海軍と相談してもらいたい!
そして、ルーズベルト大統領は何度も何度も演説原稿に手を入れます。
我がUSの国民たちに、
私の思いを届けるのだ!
ドイツ海軍との死闘をくぐり抜けたキング司令官
陸海軍両方大事ですが、目下真珠湾で大損害を受けている米海軍の再起が最優先です。
米海軍のことは、
King司令官と相談せねば!
King司令官の
意見が第一だ!
そこで、後に米海軍の最高責任者となるキング司令官を呼んだのでした。
翌年1942年に米海軍作戦部長(総長)と合衆国艦隊司令長官を兼務するキング。
真珠湾奇襲攻撃時には、哨戒部隊司令官を務めていました。
そして、潜水艦を主軸とするドイツ海軍と「宣戦布告なき戦い」を戦い抜いていたのです。
GermanyのUボートは、
厄介だ・・・
ルーズベルト大統領ら、政権首脳の信任が極めて厚い人物でした。
だが、私がいれば、
Uボートは退治できる。
国務長官室にやってきたキング司令官。
Hull長官、
お呼びでしょうか。
King司令官、
よく来てくれた!
Japanの奴らに対する、政治的なことは、
大統領と万全を期している。
US国民は、JapanとGermanyとの大戦争に、
大いに前向きになるだろう。
まずは、US海軍で
Japanの海軍に大反撃を行うぞ!
大いに勇むハル長官でした。
全く想定外の大損害:米海軍の再建
ところが、ここでキング司令官は答えます。
Hull長官。
お言葉を返すようですが・・・
我がUS海軍の損害は、
全く想定外のレベルです。
我がUS海軍が、即座に大反撃という状況には、
全くありません。
なに?
顔をしかめるハル国務長官。
歴戦の士であり、空母レキシントン艦長も務めたキング司令官。
司令官クラスの年齢でありながら、自らパイロットの資格を持つキング司令官。
いわば、航空部隊を知り尽くした将軍です。
そして、アナポリス米海軍兵学校を4位で卒業(卒業67名)したキング。
非常に明晰な頭脳を持ち、冷静な判断力を持っていたのでした。
その「高い能力・豊富な経験・冷静な判断力」を持つキング司令官は、
我がUS海軍は、まず
立て直す必要があります・・・
と言っています。
ふむう・・・
そうか・・・
まずは立て直しか・・・
キング司令官の思わぬ言葉に、大いに驚くハル長官でした。
次回は上記リンクです。