ルーズベルト大統領の返礼「対日資産凍結」〜対日戦決意の一手・「平和裡に」領土拡張に成功した陸軍・「印した」進駐の第一歩〜|陸海軍の迷走35・日米開戦と真珠湾へ

前回は「帝国政府「ヴィシー政府圧力」を拒絶したヒトラー〜仏印進駐成功・「野村-豊田」海軍優等生ラインに米交渉託した近衛首相〜」の話でした。

目次

「平和裡に」領土拡張に成功した陸軍:「印した」進駐の第一歩

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左上から時計回りに、近衛文麿首相、Charles de Gaulle少将、Franklin Roosevelt米大統領、Adolf Hitler独総統(国立国会図書館、Wikipedia)

ヒトラーに侵略され、ガタガタだったヴィシー政権に対して、仏印進駐強行した大日本帝国。

パリ陥落直前に、国防次官・少将に就任したシャルル・ド・ゴール少将は、

Charles de Gaulle

おのれ、
Japon(日本、仏語)めが・・・

「格下」と考えていた大日本帝国に、フランス植民地を荒らされ、怒り心頭だったでしょう。

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大東亜戦争全史1(服部卓四郎 著、鱒書房)

「大東亜戦争全史」は、戦争に関することだけでなく、政治に関することも詳細に描写しています。

仏印に関する日仏諒解(1941年7月21日・抜粋)

一、仏国の領土及び主権の尊重を遵守すること

二、攻撃的攻守同盟にあらざること

三、第一項の趣旨を日本政府に於て特に声明すること。右は現地仏印の無抵抗を命ずる為にも必要なること

四、駐屯の必要解消せば撤退せられ度いこと

ほぼ大日本帝国の要望通り、「承認せざるを得なかった」フランス・ヴィシー政府。

かつての大国の見る影もなく、当時のフランスは完全に失墜した国家でした。

大東亜戦争全史

この諒解は七月二十九日、仏印の共同防衛に関する
議定書として正式調印を見るに至った。

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これに基づく進駐に伴う現地細目交渉は、
在仏印大本営現地機関と仏印政庁との間に・・・

大東亜戦争全史

七月二十三日開始せられ、
翌二十四日成立した。

トントン拍子に進んでいた、大日本帝国による仏印進駐。

大東亜戦争全史

大本営陸軍部は七月二十三日、加藤大使より
正式に公文の交換を終了せる旨の報告を得て、

大東亜戦争全史

第二十五軍司令官に対し、七月二十四日以降
三亜を出港し進駐を開始すべき旨発令し・・・

大東亜戦争全史

かくして日本軍は七月二十八日、
平和裡に南部仏印に進駐の第一歩を印した。

ここにある「三亜」とは、中国南方海南島の南部にある都市です。

「平和裡に」進駐を進め、「平和裡に」領土拡大に成功した大日本帝国。

ルーズベルト大統領の返礼「対日資産凍結」:対日戦決意の一手

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Franklin Roosevelt米大統領(Wikipedia)
Roosevelt

Japanが、Indiaの
France植民地に進駐、だと!

Roosevelt

Japanが、領土を拡張し、
Asiaを征服しようとしている意図はよく分かった!

この「平和裡進駐」に対して、ルーズベルト米大統領は激怒しました。

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日本政府は、特に一般的公表に先立ち、七月二十五日、
野村大使をして直接ルーズベルト大統領に対し・・・

大東亜戦争全史

仏印進駐の企図を通告せしめ、
その理由を説明すると共に・・・

大東亜戦争全史

先般来の国交調整は、日本としては
飽くまで努力する考えなることを強調せしめた。

帝国陸軍

南部仏印は戦争ではなく、
平和裡の進駐であり・・・

帝国陸軍

米国は愉快でないかもしれないが、
それほど怒ることはないだろう・・・

このように「米国は怒らないだろう」と考えていた説が強い陸軍。

さらに、「丁重に」公表の前に、ルーズベルト大統領に野村大使に説明させました。

大東亜戦争全史

然るに七月二十六日、
米国は対日資産の凍結を発令し・・・

大東亜戦争全史

英蘭もまた直ちに
これに倣った。

「怒らない」と考えていたルーズベルト大統領は、「怒る」を超えて、激怒してしまいました。

Roosevelt

Japanの資産は
全て凍結!

ルーズベルト大統領による「対日資産凍結」は、宣戦布告に近い意味を持っていました。

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ルーズベルト大統領は、
対日資産凍結発令の直前・・・

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ワシントン民間国防局市民義勇委員会において、
次の如く演説している。

Roosevelt

今ここに日本という
国がある。

Roosevelt

その国がその時その帝国を、
南方に拡大しようという侵略的目的を

Roosevelt

持っていたかどうかはともかくとして、
とにかく彼等は北方に於いては・・・

Roosevelt

彼等自身の為に必要な何等の石油という
ものを持っていなかった。

Roosevelt

故に、若し我々が石油を遮断すると
いうことになれば・・・

Roosevelt

日本は多分蘭領印度に既に
一年前に下って行っただろう。

Roosevelt

そして、我々は
戦争をしたであろう・・・

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ルーズベルト大統領が上にいうところの
石油の遮断は・・・

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資産凍結により、今や
冷厳なる事実となったのである。

この時のルーズベルト大統領の演説は、どう考えても「対日戦争をすでに決断していた」と考えます。

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戦時中の日米の国民総生産比較(太平洋戦争 敗北の責任 別冊歴史読本)

1941年当時、米国は日本の約12.5倍のGDP(GNP)を有していました。

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戦時中の日米の資源比較(太平洋戦争 敗北の責任 別冊歴史読本)

資源では、日米では比較の対象にならず、米国の存在感は際立って異常な存在でした。

石油に至っては、1941年当時で日本の528倍であり、これは700倍程度など諸説あります。

500倍であろうと、700倍であろうと、もはや「無限大倍」に近い感覚だった米国の石油。

「平和裡の仏印進駐」によって、大日本帝国は「超えてはならない一線」を超えてしまいました。

「米国と戦争に至る大いなる一線」を。

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