土佐の海から世界へ〜桂浜と坂本龍馬・「竜馬がゆく」と司馬遼太郎の思い・海から日本を変革する強き意志・薩長同盟の立役者の真実〜|島国四国の幕末・明治1

前回は「薩摩の海と島津家〜島津・薩摩藩と日本の歴史・戦国末期に勃興した名門島津家:四カ国の守護・九州全土制覇寸前から薩摩へ逆戻り・維新でほとばしらせた猛烈なパワー〜」の話でした。

目次

桂浜と坂本龍馬:「竜馬がゆく」と司馬遼太郎の思い

桂浜(新歴史紀行)

維新繋がりで、九州から四国へ移動します。

今回は、坂本龍馬ゆかりの地である土佐・桂浜です。

坂本 龍馬(国立国会図書館)

荒々しい海で、風光明媚で美しい浜です。

「竜馬がゆく」で幕末維新の基本を学んだり、坂本龍馬が好きになる方は多いと思いでしょう。

僕も大学一年生の時に読んで、大変感銘を受けるとともに、単純に非常に面白い小説だと思いました。

作家 司馬 遼太郎(司馬遼太郎の戦国 朝日新聞出版)

後年、司馬遼太郎氏自身が語っている通り、「竜馬がゆく」は架空の話・人物が多く、脚色も多いです。

「竜馬がゆく」の竜馬は
坂本龍馬から生まれた人物であり・・・

竜馬と龍馬は
別の人物であります・・・

実際、幕末維新期に何をしたのかが、不明瞭な点が多い坂本龍馬。

その坂本龍馬から「龍馬」ならぬ「竜馬」を生み出して、幕末維新を駆け巡るストーリーです。

「竜馬がゆく」の「竜馬」を「龍馬」にしなかったのは、「簡単な字」という理由だけではないでしょう。

この「龍馬ではなく竜馬」とした点は、「司馬史観」と言われる独特の歴史観を生み出した司馬ならではの凄さです。

「翔ぶが如く」や「花神」も大変面白いですが、「竜馬がゆく」は最も読みやすい司馬小説です。

面白すぎる内容になっていますが、幕末維新の雰囲気を知るには、大変良い書物です。

海から日本を変革する強き意志

桂浜の坂本龍馬像(新歴史紀行)

桂浜には、もちろん坂本龍馬の銅像があります。

まさに辺りを睥睨するかの迫力です。

中岡 慎太郎(WIkipedia)

幕末には、坂本龍馬が海援隊を、同じ土佐藩の中岡慎太郎が陸援隊を組織し、風雲を駆け抜けました。

俺は
海から歴史を変えて見せる!

海援隊を組織して、
海の国日本を外国から守るんだ!

あまりに厳しい身分制度があった土佐藩。

江戸時代は各藩において、強い身分制度がありましたが、土佐藩の身分制度は筆舌に尽くし難いほど峻烈でした。

「強烈に差別された」郷士出身の龍馬。

しかも、商人出身であり、その郷士すら「郷士株」を買い取った身分でした。

そのため、土佐藩では「地下浪人と同程度」の扱いだったのでしょう。

こんな土佐藩なんか
脱藩してやる!

途中から坂本龍馬は脱藩して、「無国籍の人間」になります。

当時、脱藩は流行りましたが、実際に実行するのは非常に強い意志が必要です。

土佐の世界から
日本全国の世界へ!

そして、薩摩と長州の間に、武士兼商人として入ってゆき、仲をとりもつ一人となります。

薩長同盟の立役者の真実

薩摩藩士 西郷隆盛(国立国会図書館)

幕府を倒すには、
薩長同盟しか、ないぜよ!

薩摩と長州が手を結ぶ、
この究極的な戦略しかない!

それは
そうだが・・・

これは、少し脚色されている面が強いですが、「薩長同盟の立役者」となります。

長州藩士 桂小五郎(木戸孝允)(国立国会図書館)

薩摩と
手を結ぶだと・・・

薩摩の奴らが、私たち長州に何をしてきたのか
理解しているのか?

実際、この薩長同盟は「極めて困難なこと」でした。

そもそも、「薩摩を憎んでいた」桂を西郷たちと「同席させること」すら困難でした。

西郷め・・・

禁門の変では、
西郷は私たち長州藩士を殺戮したのだ・・・

あそこで、久坂は・・・
久坂は・・・

長州藩士 久坂玄瑞(義助)(国立国会図書館)

禁門の変で、長州藩の若手ホープ筆頭の久坂玄瑞は自決してしまいました。

久坂たちを殺したのは、
西郷だ!

「御所を攻める」という「禁じ手」を強行した長州藩。

この点は「長州藩に明らかな非があり、薩摩藩は御所を守ったに過ぎない」のです。

それは、
十分分かっております・・・

我が長州藩は、藩士も農民も
死ぬような思いを続けたのだ・・・

・・・・・

「説得役」から「聞き役」に回る龍馬。

当時、世界最強国・英国と強い関係を持っていた坂本龍馬。

そして、

私は、エゲレス(大英帝国)から武器と軍艦を
購入する方法を持っています・・・

と桂に告げると、

な、なんと!
エゲレスの武器と軍艦!

「大英帝国の力」を背景に持っていることを暗示する龍馬。

長州藩にエゲレスの武器・軍艦を
お売りしても良いですが・・・

そ、それはっ!

「喉から手が出る」ほど、最新式の武器・軍艦が欲しい長州藩。

ここで、一気に龍馬は畳み掛けます。

あなた方が生き残るのは、
それしかないだろう!

・・・・・

非常に強い説得力がありました。

薩長同盟の「長州藩総帥・桂小五郎」を説得した瞬間でした。

そして、幕末の日本にピリオドを打つ役目を果たします。

新歴史紀行

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