薩摩の海と島津家〜島津薩摩藩と日本の歴史・戦国末期に勃興した名門島津家・四カ国の守護・九州全土制覇寸前から薩摩へ逆戻り・維新でほとばしらせた猛烈なパワー〜|鎌倉・室町・戦国・江戸・幕末・明治

前回は「薩摩の国と海〜広い外洋へ続く薩摩の海・錦江湾と薩摩・海外と国内・薩摩の広大な領域・戦国期から幕末の薩摩と外国〜」の話でした。

目次

薩摩の海と島津家:島津薩摩藩と日本の歴史

鹿児島・桜島(新歴史紀行)

戦国末期に、薩摩・島津家は急速に勃興します。

そして、江戸時代にも「加賀藩に次ぐ大藩」であり、特別な格式と立場でありました。

薩摩藩出身の幕末〜明治の将星: 左上から時計回りに、西郷隆盛、大久保利通、大山巌、東郷平八郎(Wikipedia)

そして、明治維新の原動力となり、日清・日露戦争など明治以降の日本に多大な影響を与えた薩摩。

その薩摩・島津家の力の原動力こそが、「薩摩の前に広がる広大な海」だったのでした。

戦国末期には、鹿児島湾・錦江湾に広がる海を背に、北へ北へと勢力を伸ばした島津家。

戦国末期に勃興した名門島津家:四カ国の守護

戦国大名 島津義弘(図説・戦国武将118 学研)

元々、守護の家柄で名家であった島津家。

戦国初期〜中期には、一時的に一族間の争いなどで没落気味であった島津家。

その島津家の起源は、源頼朝による鎌倉幕府創設にまで遡ります。

鎌倉幕府初代将軍:源頼朝(Wikipedia)

すでに鎌倉幕府創設の時点で、「九州に島津あり!」の武名を轟かせていた島津家。

島津には、
薩摩・日向・大隅の三カ国の守護を任せよう!

なんと、当時9カ国あった九州の国々のうち、1/3である三カ国の守護となります。

さらに、

島津はしっかりしているので、
越前の守護も兼ねてもらおうか・・・

なんと、初期には「薩摩・日向・大隅・越前四カ国の守護」を兼ねた島津氏。

なぜ、九州からはるか離れた越前の守護を島津に任せたのか。

この「頼朝の意図」は不明点が多いですが、

島津には、
京周辺の国も治めてもらおう・・・

ということだったかもしれません。

そのため、島津家は家柄の良さでは、織田家や上杉(長尾)家の比ではありません。

左上から時計回りに、戦国大名 織田信長、徳川家康、上杉謙信、武田信玄(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)

我が織田家は、
尾張守護代・織田家の三家老の家柄!

我が長尾家は、越後守護代の家柄で、
上杉家は関東管領だ!

戦国期に勃興した織田家・武田家・上杉家・毛利家・北条家などとは「比較にならぬほど良い家柄」の島津。

さらに、島津の軍は極めて精強でした。

その精強な軍隊と島津四兄弟などの優れた武将たちのいた島津家。

九州全土制覇寸前から薩摩へ逆戻り:維新でほとばしらせた猛烈なパワー

1586年頃の九州勢力図(歴史人2020年11月号 KKベストセラーズ)

戦国末期に、猛烈な勢力に拡張し、九州全土を征服する寸前まで行きました。

関白 豊臣秀吉(Wikipedia)

そこで、豊臣秀吉によって鎮圧されてしまいました。

領土は元の薩摩及び周辺に押し込められてしまいました。

島津は、
薩摩・大隅に引っ込んでなさい!

おのれ・・・
もう少しで九州制覇であったのに・・・

その後、関ヶ原の合戦から江戸時代にかけて、薩摩はその力を恐れられます。

島津・薩摩は潰して、
禍根を絶っておきたいが・・・

家康!
島津を取り潰したいなら、弓矢で来い!

奴らを叩き潰すのは、
大変な時間とエネルギーがかかる・・・

そして、日本国内においては、肥後の細川藩によって「蓋をされたように」され続けたのです。

西郷 隆盛(国立国会図書館)

そういう環境だからこそ、幕末維新期に、苛烈な薩摩藩士が登場したともいえます。

あたかも、戦国時代そのものを凍結したかのような薩摩藩。

戦国時代から、タイムマシンで移動してきたかのような存在でした。

桐野 利秋(Wikipedia)

そして、「日本国内で蓋をされたように」されてきた島津・薩摩藩。

だからこそ、海外に目が行き、密貿易によって莫大な富を蓄積しました。

そして、その富と精悍な軍隊、そして西郷隆盛・大久保利通らが登場するに及んで、薩摩は歴史の表舞台に躍り出ます。

薩摩の力をば、
見せるごわす!

我が薩摩が
中心になって、新政権を樹立するのだ!

幕末まで大いに力を蓄えて、「最強の藩・国家」として登場したのでした。

鹿児島・桜島(新歴史紀行)

薩摩の海から、遠くに「見えない海外の国々」に思いを馳せてみました。

すると、江戸期から維新期を駆け抜けた「薩摩藩士たちの思い」に少し近づけた気がしました。

その「薩摩藩士たちの熱き思い」こそ、日本史の新たなページを生み出したのです。

新歴史紀行

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