前回は「薩摩の海から 2」の話でした。

戦国末期に、薩摩・島津家は急速に勃興します。
元々、守護の家柄で名家であった島津家。
家柄の良さでは、織田家や上杉(長尾)家の比ではありません。

その精強な軍隊と島津四兄弟などの優れた武将たちのいた島津家。
戦国末期に、猛烈な勢力に拡張し、九州全土を征服する寸前まで行きました。

そこで、豊臣秀吉によって征服され、領土は元の薩摩及び周辺に押し込められてしまいました。

その後、関ヶ原の合戦から江戸時代にかけて、薩摩はその力を恐れられます。
そして、日本国内においては、肥後の細川藩によって、「蓋をされたように」され続けたのです。

そういう環境だからこそ、幕末維新期に、苛烈な薩摩藩士が登場したともいえます。
あたかも、戦国時代そのものを凍結したかのような薩摩藩。
戦国時代から、タイムマシンで移動してきたかのような存在でした。

そして、「日本国内で蓋をされたように」されていたからこそ、海外に目が行き、密貿易によって莫大な富を蓄積しました。
そして、その富・精悍な軍隊、そして西郷隆盛・大久保利通らが登場するに及んで、薩摩は歴史の表舞台に躍り出ます。
幕末まで大いに力を蓄えて、「最強の藩・国家」として登場したのでした。

薩摩の海から、遠くに「見えない海外の国々」に思いを馳せてみました。
すると、江戸期から維新期を駆け抜けた、薩摩藩士たちの思いに少し近づけた気がしました。