前回は「近衛首相提案の「日米トップ会談」〜「一見乗り気」のルーズベルト・大日本帝国に「ほぼ宣戦布告」の米国・太平洋米英軍の大増強〜」の話でした。
近衛文麿の超奇策「昭和天皇へ直接打電+裁可」:支那事変と日米交渉

1941年初頭から、ずっと継続していた日米交渉は、全くと言って良いほど進展がありませんでした。
この点に関しては、「すでに米国は日米戦を決定していた」説もあります。
様々な当時の帝国政府・陸海軍の中心人物の手記などを読むと、根幹の一つは支那事変でした。
ルーズベルト家が代々、支那・中国と親しかったこともあり、
RooseveltこのRooseveltは
China贔屓なのだ!



そのChinaをJapanは
一方的に侵略している!



そして、我がUnited Statesの
Chinaの権益を横取りしようとしている!
支那事変に対して、日本が大きく譲歩しない限り、日米交渉妥結の見込なしの状況だった説もあります。



ルーズベルト大統領!
この近衛とトップ会談しましょう!
ここで、近衛首相は、思い切った提案を米国政府にしました。
「近衛・ルーズベルトのトップ会談」によって、一気に日米交渉を進展させようとしたのでした。
ここで、疑問が湧くのは、ルーズベルト大統領は、外交に係る「最終決定権」があります。
対して、近衛首相は、外交に係る「最終決定権」を持っていない立場でした。



いざとなったら、会談先から
昭和天皇に打電して・・・



そこで裁可を得て、
日米交渉を進めるのだ・・・
近衛首相は、このように「奇策を考えていた」説が有力です。
ただし、この「昭和天皇へ直接打電+裁可」が本当に可能であったか、は疑問です。
「勝ったつもり」のような米英・太平洋憲章:「真珠湾」前に既に「戦後の話」


ちょうど、この「近衛提案」の頃は、ルーズベルト大統領とチャーチル首相は、会談していました。
その結果は「大西洋憲章」として、1941年8月15日(日本時間)に発表されました。
1.米国及び大英帝国は、領土拡大を求めないこと
2.領土の変更は、関係国の国民の意思に反して領土を変更しないこと
3.全ての民衆が民族自決の権利を有すること
4.貿易障壁を引き下げること
5.全ての人によりよい経済・社会状況を確保するために世界的に協力すること
6.恐怖と欠乏からの自由の必要性
7.海洋の自由の必要性
8.侵略国の軍縮と戦後の共同軍縮を行うこと
この「太平洋憲章」は、「米英の目標」でしたが、なんとなく「上から目線」を感じます。
既に「戦後の話」をしている点が、極めて重要です。
この「太平洋憲章」を見ると、どう考えても「米国が参戦する」前提としか考えられません。
1941年8月は、すでに「ほぼ世界大戦状態」だった当時の世界。
その一方で、見方によっては「欧州大戦+東亜大戦」であったのも事実でした。
大英帝国・支那(中国)・ソ連に莫大な武器などを供給し続けていた米国。
事実上「参戦している状況に近い」米国は、表立っては参戦してはいませんでした。



領土の変更は、関係国の国民の意思に
反して領土を変更しない!



侵略国の軍縮と
戦後の共同軍縮を行う!
この太平洋憲章を見ると、米英は「既に勝った気持ちでいる」ようにも感じます。
いずれにしても、「近衛・ル大統領トップ会談」に対しては、



Konoeが
私と直接話したい、と・・・



さて、
それも「アリ」か?
「一見乗り気」だったルーズベルト大統領。





そこで八月二十六日、近衛首相は
ルーズベルト大統領宛次の如きメッセージを発し・・・



日米首脳会談の急速実現を
提案した。
「大東亜戦争全史」には、「近衛メッセージ」が全文掲載されています。
少し長いので、抜粋して紹介します。



現下世界動乱に当たり、国際平和の鍵を握る
最後の二国即ち日米両国が・・・



このまま最悪の関係に進むことはそれ自体
極めて不幸なることたるのみならず・・・



世界文明の没落を
意味するものなり。



我が方が太平洋の平和維持を顧念するは
単に日米国交改善の為のみならず・・・



之を契機として世界平和の
招来に資せんとするに外ならず。
近衛首相の「切実なる思い」が述べられたメッセージ冒頭は、名文でした。
政治家としては「少し物足りない」と表現されることが多い近衛文麿。
この文章を起案したのは、近衛と側近と思われますが、日本側の思いが的確に表現されています。



大所高所より日米両国間に存在する
太平洋全般に亘る重要問題を討議し・・・



時局救済の可能性ありや否やを
検討することが喫緊の必要事です。



時局救済の可能性ありや否やを
検討することが喫緊の必要事です。



当方は会見の期一日も
速やかなることを希望する。
近衛首相は「一日も早く」と、ルーズベルト大統領に要請していました。
この近衛メッセージに対して「一見乗り気」のルーズベルト大統領が、どう応答するか、が注目でした。

