わざわざ主人を殺害に向かった光秀〜特異すぎる本能寺の変・最大受益者である羽柴秀吉・謀反続発の織田家・松永久秀と荒木村重〜|本能寺の変6・戦国時代の終焉

前回は「本能寺の変当時の織田家の組織〜光秀の実年齢・日本の権力中枢の肖像・織田信長と有力家臣団の年齢・万全の織田家家臣団の体制から崩壊へ〜」の話でした。

目次

最大受益者である羽柴秀吉

本能寺の変(歴史道vol.13 朝日新聞出版)

本能寺の変に関しては、たくさんの書物が出ており、以前2冊をご紹介しました。

今回は、歴史道13号の「本能寺の変と光秀の最期」(朝日新聞出版)をご紹介します。

歴史道 No.13(朝日新聞出版)

歴史道は900円程度という手頃な価格で、オールカラーで沢山の情報が詰め込まれた非常に密度の濃い書籍です。

コンパクトにわかりやすく纏められており、おすすめです。

織田家重臣 明智光秀(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

昔から「謀反の黒幕」として、羽柴秀吉・徳川家康などが挙げられてきました。

あるいは、近衛前久などの朝廷関係者など数多くの人物が挙げられています。

いずれも確証はなく、推測の域を出ません。

確証は未来永劫出て来ることはなく、「推測するしかない」のでしょう。

最も多くの利益を得た人物の羽柴秀吉。

織田家重臣 羽柴秀吉(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

「秀吉が黒幕」という説もありますが、僕は「秀吉は白」と考えます。

私が
黒幕?

冗談では
ないわ!

謀反続発の織田家:松永久秀と荒木村重

戦国大名 松永久秀(Wikipedia)

謀反が続発した織田家。

信長なんかに
ついてゆけるか!

大きな謀反は、松永久秀や荒木村重などが引き起こした謀反です。

信長に従ってやったが、
そもそも俺は信長以前の天下人・三好を支えたのだ!

戦国時代を語る際には、軽く扱われがちな三好長慶。

新歴史紀行
戦国大名 三好長慶(Wikipedia)

畿内から瀬戸内海を支配した三好家は、信長以前の天下人と言って相応しい存在でした。

俺が
三好を作ったのだ!

信長は三好の後釜になった
だけだろう!

織田家重臣 荒木村重(Wikipedia)

摂津池田家出身ながら、もともと身分が定かではない荒木村重。

その高い戦闘能力から、信長に買われて、摂津国主までのし上がりました。

ところが、

信長様は
尊敬するし、ついてゆきたいが・・・

あのやり方は
過激すぎる・・・

戦国時代という超過激な時代とはいえ、「さらに輪をかけて過激」だった信長。

それについてゆく家臣団も大変だったでしょう。

信長にはついてゆけん!
毛利と組んで、織田家を瓦解させよう!

彼らの謀反は、「自分の領土や居城で反乱を起こして、織田家を内部から壊滅させる戦法」でした。

こうした謀反・叛逆は、戦国時代の当時、日常茶飯事でもありました。

織田家の謀反は「多い方」ですが、上杉家なども「謀反が多かった」のです。

わざわざ主人を殺害に向かった光秀:特異すぎる本能寺の変

本能寺の変(歴史道vol.13 朝日新聞出版)

本能寺の変が、これらの謀反と根本的に異なる点があります。

それは、「軍勢を率いて、わざわざ主人である信長を殺しに行っている」点です。

信長様・・・
ではなく、信長めを殺せ!

必ず
信長の首を獲るのだ!

信長は、
生かしておいてはいけない存在なのだ!

この違いは非常に際立っています。

のちに天下人となる羽柴秀吉が「本能寺の変に関わっていた」ならば、主殺し独特の暗さが跡を引いたでしょう。

謀反が日常茶飯事でしたが、謀反を起こした後は、なかなか共鳴を得ることができず、滅んでゆくケースも多い。

大内義隆に叛逆した陶晴賢も、大内家内を固めることができず、毛利元就の台頭を許します。

江戸時代のような道徳観念がないとはいえ、主殺しは「暗い」のです。

そうした「暗さ」「陰影」は皆に分かるもので、生涯消えません。

そう!
私が上様を殺すことに加担するはずがない!

もし秀吉が「関わっていた」ならば「人はついて来なかった」と考えます。

いくら秀吉に神がかった能力があり、莫大な財力と軍事力を持っていたとしても、社会は人で成り立つのです。

謀反が日常茶飯事であった中、「天下人織田信長を葬った」だけでも極めて重大事件であるこの事件。

信長を
殺しにゆくのだ!

「わざわざ主人を殺すために大軍勢で攻め寄せた」点など、「全てにおいて異例ずくめ」の超異常事態。

それが、本能寺の変でした。

次回は上記リンクです。

新歴史紀行

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