戦艦の戦術と設計を考え続けた「黄金仮面」宇垣纏〜超弩級戦艦に夢を賭けた宇垣・帝国海軍航空隊「育ての親」山本五十六〜|宇垣纏4・能力・エピソード

前回は「大砲に未来を見出した宇垣纏〜超難関校二つ合格した宇垣と草鹿・宇垣が感じた「航空の未来」・帝国海軍の戦艦の最高権威〜」の話でした。

新歴史紀行
宇垣纏 連合艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)
目次

戦艦の戦術と設計を考え続けた「黄金仮面」宇垣纏

New Historical Voyage
戦艦日向(Wikipedia)

小さな頃から優等生であり続け、全国から優秀な生徒が集まる海兵を優等卒業した宇垣少年。

宇垣纏

海軍は、戦艦の砲撃で
敵を叩き潰すのだ!

海兵の生徒だった頃から、「砲撃が海戦を決める」発想だった大艦巨砲主義だった宇垣。

その風貌からして、いかにも戦闘向きであった宇垣に対しては、

帝国海軍

宇垣には、最前線の
指揮官か参謀が最も相応しい・・・

早い時期に、帝国海軍幹部から、「最前線の指揮官か参謀に」という期待が集められたでしょう。

限られた一握りの超エリートだけが進むことが出来る、海軍大学校を卒業した宇垣は、

宇垣纏

今後の戦艦は、
どのような作りがベストか・・・

戦艦を含め、「無限の可能性」がある艦船の設計。

その艦船の設計は海軍省の所轄でしたが、影響力が最も強かったのは、軍令を握る軍令部でした。

海軍大学校(海大)を出た後、海大教官に就いた宇垣は、

宇垣纏

やはり、戦艦は
もっと高速でなければならんな・・・

宇垣纏

このようにして、
戦艦を高速にしてはどうか・・・

「戦艦の高速化」などを一生懸命考えて、具体的なアイデアを練りました。

そして、戦艦日向艦長や第二戦隊参謀などを務めた宇垣。

組織職務
海軍省軍政・人事
軍令部軍令
連合艦隊最前線の海軍戦闘部隊
帝国海軍の組織と職務

海軍においては、大きく分けて、海軍省・軍令部・連合艦隊の三つの組織がありました。

ほとんどの将官は、このうち「二つの組織に属すること」が多かった当時。

帝国海軍

宇垣は、海軍省は
合わないだろう・・・

帝国海軍

とにかく、宇垣には
我が海軍の戦艦を任せたい・・・

頭の良かった宇垣は、海軍省に行けば、「相応の働き」をしたのは間違いありません。

それでも、帝国海軍上層部の意向もあり、宇垣は「戦艦と作戦」を軸とする人生を歩み続けました。

「優しさ」も持っていた宇垣でしたが、外見が強面であったこともあり、

海大生徒P

宇垣さんは、
「黄金仮面」だな・・・

何かとあだ名をつけることが好きな生徒から、「黄金仮面」というあだ名をつけられた宇垣。

「黄金仮面」宇垣は、戦艦の戦術や設計のことをひたすら考え続け、戦艦の第一人者となりました。

超弩級戦艦に夢を賭けた宇垣:帝国海軍航空隊「育ての親」山本五十六

新歴史紀行
戦艦大和(Wikipedia)

順調に、帝国海軍で地歩を固めていた宇垣は、1938年に軍令部第一部長に就任しました。

軍令部第一部長は「作戦部長」であり、軍令部次長に次ぐ「軍令部No.3」です。

宇垣纏

軍令部
第一部長だ!

宇垣纏

ますます戦艦を軸とする
戦略と戦術を練ろう!

「トップはお飾り」であることが多い日本の組織において、

軍令部作戦部長は、海軍省における軍務局長と同等で、極めて強い権限を持ちました。

帝国海軍

宇垣は
軍令部第一部長にうってつけだ!

まさに直接、連合艦隊に対して命令を下す最前線のポストであった第一部長=作戦部長となった宇垣。

宇垣纏

戦艦大和が
昨年起工した・・・

宇垣纏

戦艦大和の巨砲で
敵を全滅させるのだ!

この頃、「大艦巨砲主義の権化」となっていた宇垣は、超弩級戦艦大和・武蔵の建造を推進しました。

宇垣纏

戦艦大和に続き、さらに改良を
加えた戦艦武蔵!

戦艦大和・武蔵の建造は、「最高機密=軍機」の扱いで、極めて秘匿性が強い状況でした。

ランク名称
5軍機
4軍極秘
3極秘
2
1部外秘
日本軍の機密ランク

帝国海軍幹部の中でも「一握りの将官」しか知らなかった戦艦大和・武蔵。

宇垣は当然のことながら「一握りの将官」の一人で、戦艦大和・武蔵の全てを把握していました。

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戦艦武蔵(Wikipedia)

「その秘匿性」から、宇垣の具体的関与は不明ですが、

宇垣纏

戦艦大和の防御は
このあたりに配慮すべきだ・・・

宇垣纏

そして、戦艦大和は、この辺りを
改良して高速にすべきだ・・・

おそらく、宇垣は戦艦大和・武蔵設計に対して、かなり詳細な指導をしたと見られます。

この頃は、航空への視線が高まっていた時代でした。

New Historical Voyage
山本五十六 海軍次官 兼 海軍航空本部長(Wikipedia)
山本五十六

海戦の主流は、
必ず航空となる!

宇垣が軍令部第一部長だった頃、海軍次官兼海軍航空本部長であった山本五十六。

時代背景から「大艦巨砲主義」であった山本は、早々に「航空派」となりました。

山本五十六

我が帝国海軍は、
航空機と空母を整備するのが第一!

そして、帝国海軍航空隊の「生みの親」と「育ての親」を一人で務めた山本五十六。

山本五十六

戦艦などは
無用の長物となるだろう・・・

山本五十六

とにかく航空隊を
強力にするのだ!

空母航空隊への期待を猛烈に高めていた山本次官に対して、宇垣第一部長は、

宇垣纏

山本次官の言う通り、
航空隊は強力となるだろう・・・

宇垣纏

だが、だがだ、
海戦は砲撃でドンと敵を倒すのだ!

宇垣纏

そして、敵の砲撃や魚雷を
喰らっても、不沈である無敵の戦艦・・・

宇垣纏

戦艦大和と武蔵こそが、
連合艦隊の主力であり続けるのだ!

「砲術の第一人者」となった宇垣は、超弩級戦艦大和・武蔵に夢を賭けていました。

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