前回は「大砲に未来を見出した宇垣纏〜超難関校二つ合格した宇垣と草鹿・宇垣が感じた「航空の未来」・帝国海軍の戦艦の最高権威〜」の話でした。

戦艦の戦術と設計を考え続けた「黄金仮面」宇垣纏

小さな頃から優等生であり続け、全国から優秀な生徒が集まる海兵を優等卒業した宇垣少年。

海軍は、戦艦の砲撃で
敵を叩き潰すのだ!
海兵の生徒だった頃から、「砲撃が海戦を決める」発想だった大艦巨砲主義だった宇垣。
その風貌からして、いかにも戦闘向きであった宇垣に対しては、



宇垣には、最前線の
指揮官か参謀が最も相応しい・・・
早い時期に、帝国海軍幹部から、「最前線の指揮官か参謀に」という期待が集められたでしょう。
限られた一握りの超エリートだけが進むことが出来る、海軍大学校を卒業した宇垣は、



今後の戦艦は、
どのような作りがベストか・・・
戦艦を含め、「無限の可能性」がある艦船の設計。
その艦船の設計は海軍省の所轄でしたが、影響力が最も強かったのは、軍令を握る軍令部でした。
海軍大学校(海大)を出た後、海大教官に就いた宇垣は、



やはり、戦艦は
もっと高速でなければならんな・・・



このようにして、
戦艦を高速にしてはどうか・・・
「戦艦の高速化」などを一生懸命考えて、具体的なアイデアを練りました。
そして、戦艦日向艦長や第二戦隊参謀などを務めた宇垣。
組織 | 職務 | ||
海軍省 | 軍政・人事 | ||
軍令部 | 軍令 | ||
連合艦隊 | 最前線の海軍戦闘部隊 |
海軍においては、大きく分けて、海軍省・軍令部・連合艦隊の三つの組織がありました。
ほとんどの将官は、このうち「二つの組織に属すること」が多かった当時。



宇垣は、海軍省は
合わないだろう・・・



とにかく、宇垣には
我が海軍の戦艦を任せたい・・・
頭の良かった宇垣は、海軍省に行けば、「相応の働き」をしたのは間違いありません。
それでも、帝国海軍上層部の意向もあり、宇垣は「戦艦と作戦」を軸とする人生を歩み続けました。
「優しさ」も持っていた宇垣でしたが、外見が強面であったこともあり、



宇垣さんは、
「黄金仮面」だな・・・
何かとあだ名をつけることが好きな生徒から、「黄金仮面」というあだ名をつけられた宇垣。
「黄金仮面」宇垣は、戦艦の戦術や設計のことをひたすら考え続け、戦艦の第一人者となりました。
超弩級戦艦に夢を賭けた宇垣:帝国海軍航空隊「育ての親」山本五十六


順調に、帝国海軍で地歩を固めていた宇垣は、1938年に軍令部第一部長に就任しました。
軍令部第一部長は「作戦部長」であり、軍令部次長に次ぐ「軍令部No.3」です。



軍令部
第一部長だ!



ますます戦艦を軸とする
戦略と戦術を練ろう!
「トップはお飾り」であることが多い日本の組織において、
軍令部作戦部長は、海軍省における軍務局長と同等で、極めて強い権限を持ちました。



宇垣は
軍令部第一部長にうってつけだ!
まさに直接、連合艦隊に対して命令を下す最前線のポストであった第一部長=作戦部長となった宇垣。



戦艦大和が
昨年起工した・・・



戦艦大和の巨砲で
敵を全滅させるのだ!
この頃、「大艦巨砲主義の権化」となっていた宇垣は、超弩級戦艦大和・武蔵の建造を推進しました。



戦艦大和に続き、さらに改良を
加えた戦艦武蔵!
戦艦大和・武蔵の建造は、「最高機密=軍機」の扱いで、極めて秘匿性が強い状況でした。
ランク | 名称 |
5 | 軍機 |
4 | 軍極秘 |
3 | 極秘 |
2 | 秘 |
1 | 部外秘 |
帝国海軍幹部の中でも「一握りの将官」しか知らなかった戦艦大和・武蔵。
宇垣は当然のことながら「一握りの将官」の一人で、戦艦大和・武蔵の全てを把握していました。


「その秘匿性」から、宇垣の具体的関与は不明ですが、



戦艦大和の防御は
このあたりに配慮すべきだ・・・



そして、戦艦大和は、この辺りを
改良して高速にすべきだ・・・
おそらく、宇垣は戦艦大和・武蔵設計に対して、かなり詳細な指導をしたと見られます。
この頃は、航空への視線が高まっていた時代でした。





海戦の主流は、
必ず航空となる!
宇垣が軍令部第一部長だった頃、海軍次官兼海軍航空本部長であった山本五十六。
時代背景から「大艦巨砲主義」であった山本は、早々に「航空派」となりました。



我が帝国海軍は、
航空機と空母を整備するのが第一!
そして、帝国海軍航空隊の「生みの親」と「育ての親」を一人で務めた山本五十六。



戦艦などは
無用の長物となるだろう・・・



とにかく航空隊を
強力にするのだ!
空母航空隊への期待を猛烈に高めていた山本次官に対して、宇垣第一部長は、



山本次官の言う通り、
航空隊は強力となるだろう・・・



だが、だがだ、
海戦は砲撃でドンと敵を倒すのだ!



そして、敵の砲撃や魚雷を
喰らっても、不沈である無敵の戦艦・・・



戦艦大和と武蔵こそが、
連合艦隊の主力であり続けるのだ!
「砲術の第一人者」となった宇垣は、超弩級戦艦大和・武蔵に夢を賭けていました。