多数の鉄砲の展示が楽しめる松本城天守〜「籠城戦の最期」を意識した急勾配の階段・水面に映る天守〜|信濃・松本城5

前回は「鉄砲狭間と矢狭間が多い松本城〜錚々たる松本城城主の歴史・全てを武田流へ変更した家康・軍事の酒井忠次と外交の石川数正〜」の話でした。

目次

多数の鉄砲の展示が楽しめる松本城天守

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松本城(新歴史紀行)

城の規模は、それほど大きくはないものの、とにかく「戦闘向け」の城として築城された松本城。

秀吉が、北条家を滅亡させた1590年に、かつての「深志城」に入場した石川数正(吉輝)。

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戦国大名 石川数正(Wikipedia)
石川数正

松本城を甲斐・信濃で
最強の城にしてみせる!

「徳川家の大番頭」でありながら、秀吉に寝返った「裏切り者」の石川数正。

さらに、その後「パッとしない」人生だった石川数正。

そのため、本来の能力と比較して、石川数正の評価は概ね低い評価です。

石川数正

私は政治や外交に
長けた人物と言われるが・・・

石川数正

実は軍事能力も
際立っていたのだ!

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松本城(新歴史紀行)

天守は多数の柱で頑強に構築され、土台もまた、碁盤目状に配された強固な作りでした。

これらの土台や柱の本数は「多ければ良い」わけではなく、全体的なバランスも重要です。

松本城の普請においては、当然ながら専門の大工や石垣を積む異能集団を動員した石川ですが、

石川数正

秀吉様が、天下を
統一し、当面合戦はない・・・

石川数正

今こそ、この今こそ、
強力な城を築城するのだ!

ちょうど平和になった1591年に築城した、「石川家の本城」松本城。

「徳川家の西三河の棟梁」であり続けた石川数正の「軍事の全て」を注ぎ込んだでしょう。

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松本城(新歴史紀行)

城郭建築だけでも極めて貴重な松本城では、場内で多数の鉄砲などが見学できます。

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松本城(新歴史紀行)

馬に乗りながら鉄砲を放った「馬上筒」の解説などもあり、戦国好きには嬉しい展示内容です。

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松本城(新歴史紀行)

上の図では、足利晴氏が「土豪から戦国大名」という誤ったカテゴリーになっています。

ちょっとしたミスがあり、尼子がいながら大内がいなかったり、ちょっと疑問もありますが、

鉄砲

鉄砲は、日本全国に
このように広がったのだ!

鉄砲伝来と、日本全国に伝わった様子がよく分かります。

鉄砲が伝わった頃は、深志城と呼ばれ、武田家の城であった松本城。

歴代松本城(深志城)主

1.武田家(深志城)

2.織田家(深志城)

3.徳川家(深志城)

4.石川家

5.小笠原家

6.戸田家

7.松平家

8.堀田家

9.水野家

10.戸田家(再度)

「籠城戦の最期」を意識した急勾配の階段:水面に映る天守

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松本城(新歴史紀行)

少し暗めの天守内部から、ふと矢狭間から外を眺めると、信州の山々が見えます。

現代は美しい樹木が並び、当時も整えられた城内だったでしょうが、「戦闘」を常に意識した松本城。

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松本城(新歴史紀行)

他の城郭建築と比較して、柱の間隔が狭く、柱の本数も多い中、多数の展示がうまく配置されています。

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松本城(新歴史紀行)

他の城郭同様に急な階段ですが、松本城内の階段は、さらに勾配が急に感じました。

この急勾配な階段もまた、籠城戦を意識したのかも知れません。

籠城線となって、天守内部に敵に入られたら「終わり」ですが、

松本城

急勾配の階段は、
敵も上がるのが苦労するだろう・・・

松本城

ここで、最後の最後まで、
とことん敵を叩くのだ!

松本城

そして、殿(石川)が
腹を召される時間を確保する!

「敵を撃退する」ことが籠城戦の最大の目的ですが、どうしても勝てない場合があります。

その場合は、「城主が自害する時間」を確保することも家臣にとっては重要です。

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松本城(新歴史紀行)

極めて頑強に普請された松本城は、その柱にも「強さ」が宿っているように感じられます。

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松本城(新歴史紀行)

天守の屋根を作る梁が、縦横無尽にかけられ、頂部はかなり部材の本数が多いです。

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松本城(新歴史紀行)

天守最上部から眺める、信州の山々は、また格別です。

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松本城(新歴史紀行)

訪問したのは初夏でしたが、まだまだ白い雪が残る山が見えました。

世界的に見ても、国土の広さと比較して山が多い日本。

その中でも、信州は「平均海抜(高さ)が日本一」であり、「山の国」です。

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松本城(新歴史紀行)

「山の国」信濃に建つ松本城は、堀の水面に映り込む天守の姿が格別に美しいです。

極めて堅固で、貴重な木造建築を楽しめる松本城。

さらに、城内では貴重な鉄砲をはじめとする多数の展示が見られます。

歴史に興味がある方は、ぜひ松本城を訪問して下さい。

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