滝川一益 10〜光る一益の瞳〜|北条家の猛将と

前回は「滝川一益 9〜真田昌幸の離反〜」でした。

滝川一益(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

いやいや織田家に従属していた北条氏政。

北条氏政(Wikipedia)

信長のいない織田家など、怖くもないわ!

息巻く北条氏政は、50,000という大軍勢を動員して、滝川軍に襲い掛かります。

優れた武将がキラ星のごとくいた織田家・武田家。

あるいは謙信ばかり目立つものの、猛将が大勢いた上杉家と比較して地味な北条家。

北条早雲・氏綱・氏康までは名将といわれるものの、氏政もまた少し地味な扱い。

北条氏康(Wikipedia)

当主以外では、高い軍事的能力を有する武将としては、北条綱成など、非常に限られていたように描かれることが多い。

しかし、上杉謙信・武田信玄と長年戦い、関東を制覇していた北条家。

実は、多数の優れた武将がいました。

柴田勝家(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

柴田勝家や山県昌景のような華のある武将は少ないとしても、相応の軍事的能力・統率能力を持つ武将は、大勢いたのです。

山県昌景(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

その北条軍団総力を上げての戦いを迎えることになった、滝川一益。

上野周辺に強固な地盤を持ち、相応の軍事力と優れた頭脳を持つ真田昌幸がいました。

真田昌幸(Wikipedia)

真田をあてにしていたものの、真田はあっさり滝川一益を捨てます。

どう戦っても、滝川に勝ち目はない。

関東管領格となった滝川一益ですが、まだ入国してまもなく、寄騎は少ない状況。

風魔一族を抱え、諜報組織が強い北条家は、「真田が滝川に従わぬ方向」という情勢を掴みます。

そして、遂に念願の北関東奪取向け、北条氏政は滝川軍むけて、猛烈な勢いで進撃します。

久々に北関東を、
我が北条の手に!

一益には、上野周辺の小大名・国衆が全く支援してくれません。

事実上、自らのかつての領国の伊勢衆のみを率いて、滝川一益は北条家に挑みます。

一説には滝川軍18,000対北条家50,000とも言われ、平地の多い上野付近で、この兵力差は、如何ともし難い軍事力の差です。

神流川周辺(歴史群像シリーズ51 戦国合戦大全 下巻 学研)

しかも、上野は「かつては北条家の領国であった地域」です。

平坦な土地で、3倍の軍勢に対して敵国で戦う。

さらに、北条家には周辺の地理を熟知した将兵が大勢いたでしょう。

こうなっては、もうどうにもなりません。

謙信・信玄が、滝川一益と同様の立場であったら、どうしたか、とも思います。

絶体絶命の中、滝川一益は唇を噛みます。

これは、まずい。
非常にまずい状況だ。

歴戦の武将は、直感的に最悪の状況であることを把握します。

しかし、織田家において四天王とも言われた滝川一益。

ここで奮起して、瞳を光らせます。

我こそは、織田家、そして信長様を
長年支えた滝川一益だ!

北条ごときに舐められてたまるか!


一益は、北条軍を迎撃することを決断します。

負けるかもぬ。
しかし、ただでは負けぬぞ!

自らの人生の総決算を考え、滝川軍の総力を上げて迎撃体制を整える指示を出す一益でした。

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