前回は「真珠湾奇襲攻撃 9〜奇襲攻撃指揮官に悩む山本五十六〜」でした。

悩みに悩んだ、山本五十六司令長官。

やはり、南雲には任せられん!
と思い至ります。
山本は思います。



まさに乾坤一擲の奇襲作戦だ!



桶狭間とひよどり越えと川中島を
一度にやるようなものだ!
「桶狭間」は、勢力の小さな織田信長が大勢力・大軍の今川義元を破った戦い。


「ひよどり越え」は一ノ谷の戦いで、源義経が、一気に急峻な崖を駆け降りて平家の大軍を破った戦い。


「川中島」は、武田信玄と上杉謙信の死闘です。


「桶狭間」では自らを織田信長に、「ひよどり越え」では源義経に、なぞらえたのでしょう。
「川中島」は、武田信玄と上杉謙信のどちらか判然としません。
おそらく、上杉謙信になぞらえたのでしょう。
謙信は、第四次川中島の戦いで、武田軍の「キツツキ戦法」に対して、猛然と武田信玄の本陣へ突撃しました。
信長・義経・謙信の能力を全て兼ね備える人間は、日本の歴史上存在しません。
世界史で探しても、いないでしょう。



奇襲部隊の指揮官は、まさに軍神を超越したような人物で
なければならぬ。
しかし、そのような人物は南雲の先任(年上)にいるはずもありません。
少なくとも奇襲攻撃の指揮官は、現時点で(当時)、日本海軍最高の人物でなければなりません。



南雲では無理!



そして、南雲の先任に、このような力の片鱗すらある人物はいない!



ならば・・・
山本は思い至ります。
悩み抜きましたが、すでに禁じ手に踏み切っている山本長官に、怖いものはありません。





ならば、私自身が真珠湾へ行くしかない!
山本長官は、軍令部および海軍省に伝えます。



自ら第一航空艦隊司令長官となり、空母機動部隊を直卒します。



そして、私自ら、ハワイ真珠湾奇襲攻撃に向かいます!