前回は「井伊直弼 10〜奮う直弼〜」の話でした。

井伊直弼自身が、信じられない「大老就任」という展開でした。
今の時代に例えれば、次のような感じでしょう。
歴史ある大企業 株式会社井伊商事の代表者兼大株主の名家井伊家に生まれた直弼くん。
生まれた時はすでにお兄ちゃんが社長。
他に多くのお兄ちゃんや親族もいるので「直弼は勉強していれば良いよ。」という感じ。
何不自由ないながらも、勉強に励んでいました。

他の兄達は「井伊商事の親族なら」と他の会社の重役に抜擢されていましたが、直弼くんは残っていました。

僕だけ残ってしまった・・・
すると社長だった兄は病死してしまい、他のお兄ちゃんたちは他家に行っています。
直弼以外に、井伊商事を継ぐ人がいなくなってしまいました。
社長になるのは、直弼しかいない。
そして、直弼くんが急遽社長となりました。



えっ?
本当?
直弼くん、びっくり。



よし俺が、井伊商事を
世界に飛躍させてみせる!
張り切って、凄まじく意気込みます。
今度は突然、日本政府から超重要な役職への就任を要請されます。
なんと、
あなたに副総理・財務大臣・外務大臣・総務大臣を
兼務する特別大臣になって頂きたい。
と日本政府が懇願します。
しかも、
場合によっては、他の大臣にも命令できる
超強力な権限を持ちます。



・・・・・
「え?」と思いながらも、その特別大臣に就任した直弼。
これでハイテンションにならない人はいないでしょう。



よし、俺が徳川幕府を再興させてみせる!
一種異常なまでの高いテンションで、江戸城へ登城した井伊直弼。
この頃、橋本左内・吉田松陰ら優れた頭脳を持つ人物たちが、日本の行末を案じていました。


学者として生き続ければ、きっと優れた業績を残し、さらに数多くの著作を残したであろう人物たち。


このハイテンションがやがて、混迷を極める時期において次々と大きな事件に繋がってゆきます。
彼らの運命の歯車が、いよいよ噛み合ってきました。
そして、井伊直弼自身の運命は急速に開けた後に、幕末の風雲の中に揉まれてゆくのです。
学者の人生を続けていたら、幸せだったであろう志士たち。
それは井伊直弼も同様だったかもしれない。