前回は「日本の航空部隊に不安を感じたリーチ艦長〜落ち着かないフィリップス司令官・航空隊の傘がない英東洋艦隊・インドミタブル座礁の大不運〜」の話でした。
出動命じた小沢南遣艦隊長官:大西瀧治郎から松永貞市へ引き継ぎ
お互いが「近くにいること」を認識していながら、敵の補足が上手くいっていなかった日英の海軍。
Japanの艦隊や
航空隊はどこに、どの程度いるのか?
現在、索敵を
進めております!
早く、Japanの連中の
艦船の種類や数を調べよ!
ははっ!
どうやらJapanには空母は、なさそうです。
この情報は確かでした。
連合艦隊、というよりも山本長官の視線がハッキリ米国に向かっていた当時。
小沢艦隊や松永司令官率いる航空隊と英東洋艦隊が睨み合う中、南雲長官は真珠湾に向かっていました。
そして、南雲長官率いる第一航空艦隊には、正規空母六隻という空前の大部隊がついていました。
さらに、
初期に米太平洋艦隊に致命傷を
与える乾坤一擲の作戦だ!
真珠湾奇襲攻撃に「全てを賭けていた」と言っても良い山本長官。
航空隊の優秀なパイロットは
全員真珠湾攻撃へ!
おそらく、真珠湾攻撃に「優秀なパイロットは総動員」していたでしょう。
これからは戦艦ではなく、
空母・航空隊の時代だ!
海戦の未来を予期していた山本長官は、さすがの慧眼でした。
この頃は、ちょうど「戦艦から空母へ」の時代でしたが、まだまだ「戦艦が主軸」が世界中の海軍の考えでした。
上記リンクでは、山本長官が真珠湾奇襲攻撃に「賭けていた」話をご紹介しています。
我が南遣艦隊には、
空母も戦艦もないが・・・
「空母機動部隊の生みの親」と言われる小沢長官でしたが、率いる艦隊は「空母ゼロ」でした。
重巡を中心とする
我が艦隊も、そろそろ出動だな!
小沢長官は出動を決意しました。
そして、陸上の航空隊を指揮する松永司令官もまた、
英東洋艦隊に関する
確たる索敵結果が少ないが・・・
そろそろ、航空隊の出動を
すべき時だな!
ついに、自らに率いる航空隊の出動を決意しました。
実は松永司令官の前任の司令官は、大西瀧治郎第十一航空艦隊参謀長でした。
航空派の大物であった大西は、山本が真珠湾奇襲攻撃のために引き抜いたのでした。
松永よ!
あとは任せたぞ!
はいっ!
お任せを!
海兵40期卒業の大西は、一期下の松永に陸上航空隊の指揮官を委ねました。
山本とビール賭けた三和義勇の瞳の先:プリンス・オブ・ウェールズ攻撃の行方
そして、山本長官お気に入りの三和義勇 作戦参謀もまた、マレー沖海戦に注目していました。
海軍兵学校卒業期 | 名前 | 専門 | 役職 |
32 | 山本 五十六 | 航空 | 連合艦隊司令長官 |
36 | 南雲 忠一 | 水雷 | 第一航空艦隊司令長官 |
40 | 宇垣 纏 | 大砲 | 連合艦隊参謀長 |
40 | 大西 瀧治郎 | 航空 | 第十一航空艦隊参謀長 |
40 | 山口 多聞 | 航空 | 第二航空戦隊司令官 |
41 | 草鹿 龍之介 | 航空 | 第一航空艦隊参謀長 |
41 | 松永 貞市 | 航空 | 第22航空戦隊司令官 |
48 | 三和 義勇 | 航空 | 連合艦隊作戦参謀 |
48期卒業の三和は小さい頃に父を亡くしており、山本長官とは縁が深い人物でした。
山本長官は、
僕の父同然だ!
そのため、16歳年上の山本長官を「父のように慕っていた」のが三和義勇でした。
戦艦大和が完成間近であり、まだ「連合艦隊の旗艦」であった戦艦長門。
内地の柱島に停泊し、ここに山本長官や三和作戦参謀も一緒にいました。
この頃、「空母を取り逃した」ものの「大成功に終わった」真珠湾奇襲攻撃に湧いていた連合艦隊司令部。
連合艦隊・軍令部など日本海軍全体が「お祭り騒ぎ」状態でした。
その中、山本長官と三和参謀は、じっとマレーを注視していました。
我が海軍航空隊が
間もなく出撃だ・・・
まあ、レパルスならば、
松永の航空隊で撃沈できるだろう・・・
こう推測する山本長官。
だが、流石に
プリンス・オブ・ウェールズは、大破だろうな・・・
ここで、航空隊の雷撃・爆撃に夢を見ていた三和作戦参謀は、
私は、プリンス・オブ・ウェールズも
撃沈できると思います!
むう・・・
そうか・・・
「海軍空母・航空隊の父」である山本は、航空隊を極めて高く評価する三和が可愛く思えました。
ならば、三和よ!
ビールを賭けるか!
はいっ!
賭けます!
ならば、プリンス・オブ・ウェールズ撃沈ならば、
ビールを10ダースやろう!
大破であったら、
ビール1ダース寄越せ!
はいっ!
乗ります!
「16歳年上で長官」である山本は「負けたら10ダース」であり、若手の三和は「負けたら1ダース」という賭け。
ここにも、山本らしい「親心」が感じられます。
絶対に・・・
必ずプリンス・オブ・ウェールズ撃沈だ・・・
若き三和作戦参謀は、こう考えて強い確信を持っていました。
次回は上記リンクです。