松山城のたそがれ 5〜水軍の将へ〜|秀吉と加藤嘉明

前回は「松山城のたそがれ 4〜本能寺の変と開ける運命〜」の話でした。

松山城(新歴史紀行)

賤ヶ岳の戦いで「七本槍の一人」になった加藤嘉明。

加藤 嘉明(Wikipedia)

着実に武功を上げる嘉明に対して、秀吉は考えます。

羽柴 秀吉(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

加藤・福島も大事だが・・・

嘉明も、羽柴家の柱の
一人にしたい。

しかし、軍を率いて戦うのは、
加藤・福島がいる・・・

加藤 清正(Wikipedia)

知恵者は黒田官兵衛だが、
加藤はやはり武功者だ。

諜報部隊は
小六(蜂須賀)がおる。

蜂須賀 正勝(Wikipedia)

急速な羽柴家の膨張に対して、家臣団の整備を急がなければならない秀吉。

のちに「人材が綺羅星のごとく」いたかに見える羽柴家。

竹中重治(半兵衛)が若くして病死してしまい、この頃はまだ脆弱な組織でした。

この点においては、もともと小さいながらも国主であった徳川家康率いる徳川家よりもはるかに見劣りがしました。

徳川 家康(Wikipedia)

我が徳川家の宝は、
財宝ではありません。

先祖代々からの譜代の
忠誠心溢れる武将たちです。

徳川四天王(左上から時計回りに酒井忠次、本多忠勝、井伊直政、榊原康政)

私は、家康よりも
才覚は上だが・・・

自分には自信がある秀吉。

あの徳川家の
家臣団の層の厚みは羨ましい・・・

成り上がり者の秀吉。

「先祖代々の古参の武将」など一人もいません。

徳川家臣団にいない、
専門の武将が欲しい・・・

野戦では戦国最強の上杉・武田に匹敵する徳川家。

秀吉は、「徳川家にないもの」を求めます。

そうだ!

我が羽柴家には、
水軍を扱える武将が少ない。

嘉明を水軍の大将に
育てよう。

徳川にも、
水軍の将は、ほとんどいないはず。

海に面した駿河・遠江・三河が
本拠地だが、家康は内陸的思考だ。

そう決断した秀吉。

毛利水軍を束ねていた小早川隆景を呼びます。

小早川 隆景(Wikipedia)

隆景よ。
嘉明に水軍を教えてやってくれ。

お任せを。

おい、嘉明よ。

お前を隆景の寄騎とする。

隆景から水軍の采配を
学べ。

ははっ!

当時、織田家には九鬼水軍がおり、他に有力な水軍は村上水軍を支配した小早川家です。

その水軍の本家とも言える小早川隆景に水軍を教わり、成長してゆく加藤嘉明でした。

これで、羽柴家は
武闘派に水軍を束ねて、最強よ!

松山城(新歴史紀行)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次