明智光秀叛逆と国替え説〜光秀の夢が詰まった「坂本城」・対浅井朝倉戦に奔走した明智光秀・明智家弱体化の本質・最も損をする信長〜|本能寺の変12・戦国時代の終焉

前回は「織田信長と明智光秀の最先端築城術〜安土城と亀山城・鉄砲隊の代名詞「鉄砲の明智」・鉄砲の名手だった明智光秀・羽柴秀吉と明智光秀の「最強コンビ」〜」の話でした。

織田信長と明智光秀(新歴史紀行)
目次

対浅井・朝倉戦に奔走した明智光秀

近江 浅井・朝倉戦 前半(図説明智光秀 柴裕之編著 戎光祥出版)

光秀が、まだ足利義昭にも仕えていた頃の話です。

近江で、織田家が「浅井氏と鋭く対立した最前線」を光秀は担います。

戦国大名 朝倉義景(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

越前に加え若狭を併呑し、90万石ほどの領土を有した朝倉義景。

元々朝倉家は越前の名門で越前守護代であったため、家柄は信長の織田家の上です。

信長
ごときが・・・

我が朝倉家は
織田家より上なのだ!

対織田戦では、不手際を重ね続け続けた朝倉義景。

共に「信長包囲網」を形成する中、朝倉軍は陣を払って、越前に帰国してしまいました。

ついには、同盟軍であった武田信玄すらキレさせてしまいます。

戦国大名 武田晴信(信玄)(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

おい、朝倉義景よ!
何やってんだ!

一緒に信長を
包囲しているのに、勝手に帰るな!

朝倉の奴は一体、
何考えているんだ?

ちょっと早く
帰国したかったので・・・

「暗愚」とも言われる朝倉義景。

一向一揆に手を焼きながらも、大国を維持するだけの器量はありました。

加えて、若いながら戦闘能力抜群の浅井長政。

戦国大名 浅井長政(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

浅井・朝倉で合わせて120万石ほどの領土を有していました。

そのため、浅井・朝倉合計で動員兵力は30,000人ほどあり、かなり強力な軍隊でした。

所領はそれほど大きくないが、
我が軍勢は精鋭だぞ!

そして、私は軍事的才能が高く、
我が家臣にも軍事力が高いものがたくさんいる!

明智光秀叛逆と国替え説:光秀の夢が詰まった「坂本城」

近江 浅井・朝倉戦 後半(図説明智光秀 柴裕之編著 戎光祥出版)

当時強敵であった、浅井・朝倉との戦いは熾烈を極めました。

さらに日本古来の精神の柱であった延暦寺を焼き討ちする際に、明智光秀は

上様!
お考え直しを!

と「織田信長を諫めた」という説もありますが、この話はどうやら虚構です。

実際の明智光秀は、

ゆけ!ゆけ!
延暦寺を焼き尽くせ!

延暦寺焼き討ちの急先鋒を果たす「織田家の切込隊長」を果たしました。

その苦心惨憺の果てに、やっともらった所領であった坂本城。

坂本城には光秀は、格別に大きな愛着があったでしょう。

坂本城は光秀の縄張りで設計され、光秀の夢が込められた城でした。

坂本城イメージ図(歴史人2020年2月号 KKベストセラーズ)

信長が光秀に対して「近江・丹波を召し上げて、出雲・石見へ領地替えを命じられていた」説もあります。

長年、光秀が慈しんできた近江を取り上げて「まだ毛利領の出雲・石見への転封」は考えにくいです。

現実的であった信長が、この時点では「このような命令をした」のは考えにくいでしょう。

明智家弱体化の本質:最も損をする信長

戦国大名 織田信長(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

光秀や明智家を弱体化させて、一番損するのは誰か?

この時点ではそ、他ならぬ信長本人です。

余は、
合理的なことが最も好きだ。

損する戦略は、
出来るだけ避ける!

将来、惟任日向守である光秀に九州へ侵攻させる際、丹波や近江では遠すぎます。

兵站線等をまとめるために、「一時的に出雲・石見あたりを知行させる」可能性はあったでしょう。

「一時的」であれば、
出雲・石見もやぶさかではないが・・・

「難治の国」丹波を光秀が攻略し、丹波を光秀に与えた信長。

数年もせずに光秀から丹波を取り上げては、混乱するのは明智家だけではありません。

仮に、丹波から明智をどかして、信長の有力家臣を入れたとしても、

明智が我が
丹波を蹂躙したと思ったら・・・

今度は、
違うのが国主かよ!

こんな奴に従いたくないから、
反乱起こそうぜ!

まだ平定間もなく、丹波の赤井・波多野を潰したとはいえ、反乱が起こる可能性があります。

晩年、神を目指した信長。

我は
第六天魔王なり!

「天下統一が見えてきた」とは言え、まだまだ光秀の出番は多いはずです。

やはり、私は京周辺で
必要なのでは?

キンカン頭には、
京付近にいてもらわねばな!

その中、「明智家の根幹を潰す」ようなことを信長は決してしないでしょう。

次回は上記リンクです。

新歴史紀行

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