高杉晋作 2〜「過激派養成所」松下村塾・高杉晋作と久坂玄瑞・生麦事件・大名行列の「しきたり」・唖然とする英国・アジアに対する列強の視線〜|能力・人物像

前回は「高杉晋作 1〜幕末を疾風怒濤のごとく駆け抜けた男・書生のような軍神・松下村塾・超過激な吉田松陰・安政の大獄から桜田門外の変へ・上海での衝撃〜」の話でした。

長州藩士 高杉晋作(国立国会図書館)
目次

「過激派養成所」松下村塾:高杉晋作と久坂玄瑞

幕末志士らの年齢(歴史道Vol.6 朝日新聞出版)

高杉が上海へ密かに行った1862年。

当時、英国など列強の植民地同然となっていた清を目の当たりにし、大いに驚愕した高杉。

これはひどい!
中国人が欧米人に、動物の如く扱われている!

このままでは、
次は日本の番だ!

吉田松陰(国立国会図書館)

吉田松陰が松下村塾を設立し、次々に高杉晋作や久坂玄瑞たち「過激派分子」を生み出しました。

いわば「過激派養成所」でもあった松下村塾。

とにかく
「実行すること」のみに価値がある・・・

「言うだけ」は、
なんの意味もない・・・

徳川幕府に目をつけられた「過激派のドン」吉田松陰。

この3年前の、1859年に「安政の大獄」で斬首となりました。

私が吉田先生の遺志を
継ごう!

そして、もう一人、松下村塾には「吉田松陰の遺志を継ぐ者」がいました。

久坂 玄瑞(義助)(国立国会図書館)

高杉と共に「松下村塾の双璧」と呼ばれた久坂玄瑞。

端正な顔立ちに、非常に優れた頭脳を持っていた久坂は、

義助(久坂玄瑞)は、
素晴らしい・・・

ボスの吉田松陰に激賞され、

我が妹を
頼む・・・

吉田松陰の妹を妻にした久坂玄瑞。

当然ながら、

私こそが吉田松陰先生の
後継者!

と考えていました。

いわば「ミニ吉田松陰」とも言える久坂玄瑞。

超過激派だった吉田松陰に引けを取らない「超過激派」だったのでした。

生麦事件:大名行列の「しきたり」

生麦事件(Wikipedia)

この頃、勝手に沸騰し続けている長州藩に比べて、おとなしめだった薩摩藩。

薩摩は、有名な生麦事件を起こしています。

この事件は、幕末のエポックメイキング的な事件でした。

島津久光のいる大名行列の前を、男性3名、女性1名の英国人が騎馬のまま行列の中に入ってしまいます。

無礼者め!

と憤った薩摩藩士。

What?

「無礼者め」と言われても、英国人はなんのことだかサッパリわかりません。

ええい、薩摩藩の
大名行列だぞ!

下馬しろ!
何考えているんだ!

What?

「何か起きた」ことは分かるものの、何も理解できない英国人4名。

当時、大名行列に対しては、「道を譲り、下馬して迎える」のが「しきたり」だったのでした。

そんな「しきたり」など知らない英国人たち。

対して、薩摩藩のボス・久光に藩士は、

久光様!
如何しますか!

と尋ねます。

薩摩国父(藩主の父)島津 久光(Wikipedia)

薩摩藩の武威を、
天下に知らしめるのだ!

当時、徳川幕府に物申し、イケイケドンドンだった島津久光。

一言命じます。

斬れ!

承知しました!
お任せを!

そして、薩摩藩士は、全くの民間人である英国人たち4名に対し、日本刀で襲いかかった事件でした。

唖然とする英国:アジアに対する列強の視線

英国公使 Sir Rutherford Alcock(Wikipedia)

横浜に観光に来ていた英国人リチャードソン達は、剽悍な薩摩藩士たちに一方的に斬られました。

リチャードソンは、死亡します。

他の男性二名は大怪我、女性一名は軽傷でした。

英国公使のオールコックは怒り心頭に達しますが、あまりの野蛮さに絶句します。

民間人に、
日本刀で斬りかかっただと?

・・・・・

一体、こいつら
どうなっているんだ?

そもそも、この頃の大英帝国は、世界最強の国でした。

中国人が、
欧米人に奴隷のごとく扱われている・・・・・

上海は、
まるで欧米列強の植民地だ・・・

上海で、衝撃的な光景を見た高杉。

このままでは、
我が日本も同じになる・・・

当時の欧米列強にとって、アジア人は「その程度の存在」でしかなかったのです。

アジア人など、
我らと同じ人間ではないわ!

アジア人に対して、「上から目線」であった欧州の方々。

近い過去には1840-1842年に、大英帝国が中国にアヘン戦争を吹っかけ、大勝しました。

アヘン戦争(Wikipedia)

この頃、清国(中国)はGDPでは世界最大の大国した。

しかし、戦争では、全く大英帝国に歯が立たなかったのです。

アヘン戦争は、清国の一方的な敗北に終わります。

そして、清国は、英国との間で「屈辱的な講和条約」を結ばされます。

アヘン戦争:英国軍の侵攻(Wikipedia)

オールコックは、強く憤ります。

よりにもよって、我が大英帝国の
民間人に抜刀して斬りかかるとは・・・

一体
何事だ!

ならば、次は
日本に戦争をふっかけてやるか!

そう考えるオールコック。

子供っぽい久光がやらかしたことは、大変な事態へと向かってゆきます。

やはり、
攘夷だ!

新歴史紀行

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