飛武神・柴田勝家の奮戦〜武闘派の帝王の風格・上杉謙信との死闘・手取川の大敗戦・本願寺一向一揆との死闘〜|柴田勝家4・人物像・軍事能力

前回は「北陸を猛烈な勢いで突破した柴田軍〜際立った軍事力・戦闘能力・統率力・秀吉と二人三脚だった勝家・織田家最強最凶軍団北陸方面軍司令長官・猛将たちを統括〜」の話でした。

柴田勝家(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)
目次

武闘派の帝王の風格

左上から時計回りに、本多忠勝、吉川元春、山県昌景、島津義弘(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)

戦国時代における、武闘派武将たちを考えましょう。

本多忠勝、吉川元春、山県昌景、立花道雪、島津義弘、北条綱成・・・・・

島津義弘は戦国大名ですが、兄・島津義久が長らく島津家の当主でしたので、「部将的役割」も演じました。

そもそも、大軍勢を率いた将たちは「武闘派」であり、羽柴秀吉・小早川隆景たちも「武闘派」の一人です。

そして、上杉謙信・武田信玄たちもまた、「武闘派」の一人となります。

織田信長は「武闘派」最強と言っても良いでしょう。

左上から時計回りに、戦国大名 武田信玄、織田信長、毛利元就、上杉謙信(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)

上杉謙信は兄から家督を継いだ、いわば「生まれながらの大名」です。

武田信玄も織田信長などの諸大名も、様々な家柄・家格がありますが、おおむね「相応の出身」です。

その中、部将・家臣団の中で「誰かが、思い切って敵陣に突っ込む」役割を果たす必要があります。

この「敵陣に突っ込む」能力において卓抜たる能力を有し、大軍勢をも采配した柴田勝家。

柴田勝家は、突出した軍事能力と、「武闘派の帝王」たる風格を持っていたと言って良いでしょう。

上杉謙信との死闘:手取川の大敗戦

柴田勝家の北陸侵攻(歴史群像シリーズ51 戦国合戦大全下巻)

柴田勝家率いる北陸方面軍による、北陸侵攻戦の地図です。

北陸方面軍が、越前から北陸をズババッと猛烈な勢いで、突き進んでいる様子が分かります。

この突破力は、柴田率いる佐々・佐久間・前田たちの軍勢のみが、成し得る力です。

精鋭揃いの織田家といえども、成し遂げることは不可能だったでしょう。

織田家筆頭の、戦国最強の私だからこそ
出来たのだ!

織田家家臣 佐々成政(歴史人2016年12月号 KKベストセラーズ)

手取川の戦いで上杉謙信に惨敗していますが、他の戦闘では概ね勝利を収めています。

相手が謙信とはいえ、手取川の戦いでの惨敗は「勝家らしくない」敗北っぷりでした。

戦国大名 上杉謙信(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

戦国最強は、
私なのだよ!

北陸の入口である加賀・越前は、他の国や地域との大きな違いがあります。

一時的とはいえ「本願寺・一向宗の占領する国になった」ことがあることです。

飛武神・柴田勝家の奮戦:本願寺一向一揆との死闘

本願寺法主 本願寺顕如(Wikipedia)

武田や上杉も強敵ですが、宗教の力によって束ねられ、数多くの鉄砲を持つ本願寺勢力。

「敵としては悪すぎる」相手です。

仏敵・織田信長を
滅亡させよ!

それこそが、
天国へゆける手段なのだ!

織田軍を倒せば、
天国へ行ける!

俺たち、悪いこともやったけど、
信長を倒せば良いんだ!

そうだ!
我が一向宗を心から信じ、信長めをブチ倒すのだ!

そして、皆で
天国へゆこう!

よしっ!
俺は、命をかけて織田を討滅するぜ!

俺もだ!
織田軍を殺しまくれ!

宗教だからこそできる、この一種異様な結束力。

そして、「宗教しかできぬ」一致結束した爆発的な力を持つ一向宗門徒たち。

・・・・・

戦場での猛烈な突破力は、織田家にとって「なくてはならない武の要」でした。

それは、西の立花道雪と伍する武の帝王でした。

この「誰もが出来れば戦うのを避けたい」一向宗の門徒たち。

当時、一揆は頻発していましたが、総合的な軍事力において、単なる一揆とは隔絶した一向一揆。

一向一揆たちをねじ伏せる「北陸司令官」として、

権六(勝家)よ!
行ってこい!

はっ!

織田家の中において、最強の武闘派指揮官として柴田勝家が選ばれました。

仮に秀吉や光秀が、北陸方面司令長官だったとしたら、どうだったでしょうか。

織田家重臣 明智光秀(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

彼らの能力ならば、大きな成果を挙げたでしょう。

調略するにも相手が一向宗門徒では調略しようがないでしょう。

織田家重臣 羽柴秀吉(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

一向宗門徒に
調略はなかなか・・・

そして、秀吉・光秀お得意の包囲戦では「かなりの長期戦」となったでしょう。

1580年の織田家勢力図(別冊歴史人 「戦国武将の全国勢力変遷地図」KKベストセラーズ)

いわば「柴田勝家にしか成し得ない」大いなる仕事を、信長に任された柴田勝家。

あの一向宗門徒どもと戦うのは、
権六(勝家)しか出来ぬわ!

猿やキンカンアタマ(光秀)では、
無理だ!

武田家・上杉家・徳川家などより、比較的智将肌の武将が多かった織田家。

信長様。
拙者にお任せを!

一向宗門徒を叩き潰し、
織田の世をつくるのだ!

その織田家において、飛ぶように突き進む凄まじく高い戦闘・采配・軍事能力を持った勝家。

勝家を戦国時代の「飛武神」と呼びたい。

新歴史紀行

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