徳川幕府の動きを冷静に見守る西郷〜超強硬派のハリスに立ちすくむ幕府・米英仏の熾烈な競争に巻き込まれる幕府・日米の外交権に対する意識のズレ・イライラが募るハリスと井伊大老〜|西郷隆盛5・人物像・エピソード

前回は「日米修好通商条約の行方睨む西郷〜急変する世の中・孝明天皇の拒否・若き公家・岩倉具視の暗躍・「座り込み戦術」で老中撃退〜」の話でした。

西郷隆盛(国立国会図書館)
目次

超強硬派のハリスに立ちすくむ幕府

米国公使 Townsend Harris(Wikipedia)

1853年、1854年と連続して来日してきたペリー提督に続いてやってきた米国公使ハリス。

米提督 Matthew Calbraith Perry(Wikipedia)

Japanの皆さん!
お互いのために和親条約結びましょう!

結ばないなら、江戸湾から
江戸を砲撃するけど、いいのかな?

恫喝外交を展開してきたペリー提督に続き、ハリスもまた、さらなる強行姿勢を展開しました。

お互いのために、
新たな条約結びましょう!

おい!
いつになったら、条約結ぶんだ!

これは、直前のペリー提督のやり方から

他のアジア同様、
Japanには恫喝した方が話が早い・・・

という認識を米国政府高官が持っていたのでしょう。

それに対して、開国派と攘夷派で議論沸騰中の日本。

老中首座 堀田 正睦(歴史道vol.6 朝日新聞出版)

その中、なんとか日米修好通商条約締結の方針でまとめ上げた老中首座の堀田正睦。

反対が多いから、
「天皇が承認した」で、反論を封じ込めよう・・・

大体、尊王攘夷とか言っている
連中なんだから・・・

「尊王の親玉」である天皇が出てきたら、
何も文句は言えまい・・・

こうして、徳川幕府を代表する堀田老中は「万全の策を出した」はずでした。

米英仏の熾烈な競争に巻き込まれる幕府

孝明天皇(Wikipedia)

ところが、孝明天皇にストップをかけられてしまいます。

絶対にNoだ!

完全に想定外の「天皇の猛反対」で、事態は全く進展しない状況になります。

まさか・・・

こんなことになるとは、
思いもしなかった・・・

「単なる儀式」であったはずの「天皇の勅許」が完全に挫折してしまい、堀田の思惑は真逆の結果となりました。

仕方ない・・・
またペリーの時のように、引き伸ばし作戦だ・・・

1853年にペリー提督が来日した際には、

ちょっと、まとまらないので、
また今度・・・

と得意の引き伸ばし作戦に出た徳川幕府でしたが、

「また今度」と言ったので、
来ましたよ!

翌1854年に再来日したペリー提督に和親条約を締結させられることになりました。

あの時と同じで、ハリスにも
引き伸ばし作戦だ・・・

まあ、同じように来年
また来そうだが・・・

1年は引き伸ばせるだろう・・・
その間に・・・

こう考えた堀田老中。

一体、Japanの政権運営は
どうなっているんだ!

イライラしていたハリスに、驚きの情報が届きました。

どうやらUnited KingdomとFranceも
Japanとの通商条約を締結しようとしているようです!

それは、英国とフランスも「日本と通商条約締結を狙っている」情報でした。

英仏それぞれが、幕府に持ちかけようとしていたのです。

What?

United KingdomとFranceが、
我がUSの先を狙っているだと!

ふざけんな!

フランス公使Leon Roches(Wikipedia)

おい!
ちょっと待て!

最初に通商条約を、
幕府に打診したのは米国なんだ!

俺なんだ!

怒り心頭のハリス。

早く、我がUnited Statesと
条約を締結しろ!

日米の外交権に対する意識のズレ:イライラが募るハリスと井伊大老

大老 井伊直弼(Wikipedia)

ここで、幕府は非常職である大老が登場しました。

物分かりの良さそうな
奴が出てきたな!

これで、
条約締結に一気に進むか!

期待するハリス。

後年、「勅許を得ずして、独断で条約締結した」と言われる井伊大老。

実は、井伊大老は、

勅許は
得なければ・・・

という考え方で、「天皇を軽視していた」わけでは無かったのでした。

「頭脳明晰」と前評判の井伊大老就任に喜んだハリスでしたが、

孝明天皇の
勅許を待ってください・・・

という井伊大老にイライラが爆発します。

また、
Emperorか!

だったら、Emperorと
交渉するから、お前たちとはもう交渉せぬわ!

ですから、
日本の外交権は徳川幕府が有しています・・・

「外交権を持っている」という
意味が分かっているのか?

交渉していた米国のハリスはイライラし、大いに焦ります。

Oh!
No!

一体、Japanの外交権の
最高意思決定者は、誰なんだ!

なにを議論しても、「堂々巡り」となります。

さて、徳川幕府は、
どう出るかな?

この頃、江戸で島津斉彬の命を受けて暗躍していた西郷は、幕府の動きを冷静に見守っていました。

新歴史紀行

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