日米修好通商条約の行方睨む西郷〜急変する世の中・孝明天皇の拒否・若き公家・岩倉具視の暗躍・「座り込み戦術」で老中撃退〜|西郷隆盛4・出身・人物像

前回は「近世を葬った男西郷の若き日々〜橋本左内 ・梅田雲浜・日米和親条約締結と弱腰の徳川幕府・「勅許」という幕府崩壊の導火線・孝明天皇と徳川幕府〜」の話でした。

西郷隆盛(国立国会図書館)
目次

日米修好通商条約の行方睨む西郷

米国公使 Townsend Harris(Wikipedia)

幕末にペリーに続いて米国から、はるばるやってきたタウンゼンド・ハリス。

Hello!
Japanの皆さん!

お互いのために、
もっと条約結びましょう!

「日本と米国双方のために」という大義名分を掲げながらも、

おい!
いつになったら、条約結ぶんだ!

恫喝を続けるハリス。

はあ・・・
また今度で・・・

「今度」って
いつなんだ!?

「事勿れ主義」で「棚上げ戦略」を続行する徳川幕府は困り果てます。

老中 阿部 正弘(Wikipedia)

勅許を取って、
条約反対派を押し切るしかない・・・

我が徳川幕府にもデメリットがあるが、
やむを得ん・・・

「自ら崩壊の導火線に火をつける」ことを実行してしまった徳川幕府首脳。

「形ばかりの勅許」だから
すぐになんとかなるだろう・・・

開国派と攘夷派で議論沸騰の中、なんとか「日米修好通商条約締結の方針」でまとめ上げた老中首座の堀田正睦。

老中首座 堀田 正睦(歴史道vol.6 朝日新聞出版)

真面目な堀田は、ここで朝廷及び天皇の承認を得て、国論統一を図ろうとします。

反対が多いから、
「天皇が承認した」で、反論を封じ込めよう。

この「天皇の権威」を持ち出した徳川幕府。

本来は「幕府こそが権威であり、天皇の権威を否定し続けてきた」徳川幕府。

幕府が「天皇の権威」を
持ち出したごわすか・・・

越前藩士 橋本左内(Wikipedia)

西郷隆盛たち若き志士たちは、

幕府が「自分の政治決断のために勅許を得る」
のは大きな変化だ!

その大いなる変化をじっと見つめていました。

孝明天皇の拒否:急変する世の中

孝明天皇(Wikipedia)

ところが、想定外の事態に陥ります。

なんと、「一応承認を得る」くらいの気持ちだった孝明天皇が

メリケン(米国)との
同盟など絶対ダメだ!

「No!」を突きつけてきたのです。

夷狄と条約など、
もっての外!

それも、駆け引きではなく攘夷超推進派の孝明天皇は、

絶対に、絶対に
認められない!

と言ってきます。

徳川幕府は、
一体何考えているんだ!

は?
なんで?

いくら天皇とはいえ、外交権は幕府にあります。

幕府の決定事項に関して、天皇や朝廷が「何か主張してくる」ことは想定していなかったのです。

徳川 家康(Wikipedia)

朝廷や天皇が「政治に口出さない」ように、徳川家康は禁中並公家諸法度を策定しました。

天皇や朝廷に、政治・外交に口出させては
ならない!

天皇や朝廷は、
公家らしく生活して居ればよい。

全ては、
徳川幕府に任せよ!


家康は明確に「政治・外交は幕府がやるから、朝廷は黙ってなさい」という意思表示したのです。

幕府の政治力を確立していたのもの、長州藩らの協力によって自信を持った朝廷と天皇は、公然と幕府に反論します。

しかも孝明天皇は、かなりの自信家でした。

私は
天皇なのだ!

と、強硬姿勢を鮮明にしてきます。

若き公家・岩倉具視の暗躍:「座り込み戦術」で老中撃退

岩倉具視(Wikipedia)

天皇が反対しても、
公家をなんとか籠絡して「勅許を得る」のだ!

「天皇は認めてくれない」と考えた、堀田正睦は「公家から勅許を得る」という裏技に走ります。

ところが、

ちょっと
待ったぁ〜!

若き公家・岩倉具視が登場しました。

みんなで座り込みをして、
老中・堀田殿を追い出すぞ!

なんと「座り込みをして、老中を妨害する」という初歩的かつ実用的な反撃に出ました。

これでは、
勅許を得られない・・・

「老中」という「大臣格のまとめ役」の立場でありながら、堀田正睦はスゴスゴと江戸へ帰りました。

・・・・・

いつ、条約締結に
なるんだ?

交渉していた米国のハリスは、イライラしたでしょう。

一体、この国の最高意思決定者は
誰なんだ?

Shogunなのか?
Emperorなのか?

どっちなんだ!

混迷に次ぐ、混迷となりました。

Japanは、
なぜこんなにも曖昧なのだ!

誰がトップなのだ?

写真の通り、傲岸な性格だった米国の外交官タウンゼント・ハリス。

米国のハリスは、
随分、高飛車な姿勢だ。

徳川幕府は、
事態をまとめられるのか?

新歴史紀行

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