前回は「「通告前の奇襲攻撃」に愕然とした山本五十六長官〜懊悩する山本長官・事前計画通りに攻撃した赤城司令部・凱旋帰国した南雲機動部隊・睨み合う宇垣参謀長と草鹿参謀長〜」の話でした。
ルーズベルト大統領の議会演説:全会一致で対日戦へ
真珠湾奇襲攻撃翌日の米議会では、ルーズベルト大統領が大演説を行なっていました。
凄まじい形相で演説を続けるルーズベルト大統領。
もはや、周囲を睨みつけているような状況です。
Hawaii諸島に対する、
Japan海軍の攻撃は・・・
我がUSの海軍に甚大な
損害を与えた!
Japanは、
Hawaiiに加え・・・
香港・グアム・フィリピン・
ウェイクを攻撃した。
私は我がUS陸海軍の
最高指揮官として・・・
あらゆる措置を講ずるよう
命令を下した!
米国民は、正義の力を持ってして、
必ずや勝利をもたらしてみせる!
議会に
対して要請する!
1941年12月7日(現地時間)、Japanの
一方的かつ卑劣な攻撃が開始されたため・・・
我がUSと日本の間に戦争が生じた
ことを認め、 USが参戦することを!
議会で採決が行われ、反対票が一票あったものの事実上「全会一致」で対日戦が決定しました。
念入りに作り上げられたルーズベルト大統領の演説原稿。
そして、ゆっくりと非常に聞き取りやすい声で、堂々と演説したルーズベルト大統領。
比較的短い原稿の中に、対日参戦の大義・経緯などをみっちりと盛り込んだ内容でした。
これで、我がUnited Statesは
堂々と戦争に向かえる!
綿密に推敲された「完璧な原稿」に「威風堂々とした分かりやすいスピーチ」を完璧にこなしたルーズベルト。
よし!
バッチリだ!
Roosebelt大統領の
言う通りだ!
もはや、我がUnited Statesも
戦争せざるを得ない!
米国の第二次世界大戦参戦が決定した瞬間でした。
大喜びのチャーチル首相:巨大ボイラーの米国
この米国の正式な参戦に最も喜んだのは、チャーチル英首相でした。
はっはー!
よしっ!
United Statesという巨大なボイラーが
ついに動き出した!
これで、HitlerもStalinも
Japanも終わりよ!
国家元首が国を動かしていることが、非常にわかりやすい欧米。
「ドイツといえば、ヒトラー」であり、「イタリアといえば、ムッソリーニ」でした。
対して、いつも曖昧な日本。
「最高指導者は昭和天皇」ですが、対外的には「最高指導者は東條首相」でした。
そして、ドイツは「ヒトラー主導」であり、イタリアは「ムッソリーニ主導」という認識のチャーチル。
Japanは主導しているのが
EmperorなのかTojoなのか分からん!
分からんから、JapanはJapanとしか
言いようがないのだ!
天皇と大元帥と大本営:曖昧過ぎた大日本帝国の国家体制
国家元首は昭和天皇でしたが、昭和天皇は作戦指揮を直接指示する立場ではありませんでした。
そして、「どこまで昭和天皇が軍部の作戦内容を把握していたのか」も諸説あります。
陸海軍の統帥権は「大元帥である天皇」であった、大日本帝国の陸海軍。
ところが、「天皇=大元帥」は建前的要素が強く、実際には軍部が軍の指揮をしていたのが現実でした。
ヒトラーやムッソリーニにような独裁者とまで行かなくても、軍の最高指導者であったルーズベルト大統領。
米陸海軍の大事なことは、全て把握しています。
Japanは、
Emperorがいるが・・・
Emperorが、「Japanを動かしている」
状況ではないようだ・・・
だから、Japanの最高指導者が
分からない・・・
「誰が最高意思決定者か不明」な大日本帝国に対しては、
おのれ!
Hitlerめが!
この
Roosebeltめが!
このように誰かの名前で、大日本帝国を指し示すことは出来ないため、
これで、HitlerもStalinも
Japanも終わりよ!
Hitler、Stalinと並んで”Japan”と表現されたのでした。
日本に対する宣戦布告に署名するルーズベルト大統領。
真珠湾奇襲攻撃は、戦術的には米国に大きな損害を与えました。
ところが、「宣戦布告前」となった奇襲攻撃。
戦略的には、日本にとっては「取り返しのつかない事態」をもたらしました。
次回は上記リンクです。