ルーズベルト大統領の米議会演説〜推敲を重ねた演説原稿・何度もチェックしたルーズベルト・日本が全く思っていなかった方向へ・野村と来栖の表情の謎〜|真珠湾奇襲攻撃78・太平洋戦争

前回は「唇噛む山口司令官が感じた「嫌な予感」〜戦果ゼロのウェーク島攻撃・和を重視した山本五十六長官・「違う方向を向いていた」連合艦隊司令部〜」の話でした。

目次

推敲を重ねた演説原稿:何度もチェックしたルーズベルト

Franklin Roosebelt米大統領(Wikipedia)

推敲に
推敲を重ねた演説だ!

ハル長官と相談しながら、極めて慎重に作成した演説原稿。

Roosebelt大統領の対日参戦演説原稿(米国 National Archive)

この原稿の作成には、
私の多大なエネルギーと時間をかけた・・・

実際、この原稿作成にルーズベルト大統領は、この数日間全てをかけてきました。

そして、議会演説の直前、最後の最後までチェックを重ねるルーズベルト大統領。

ここは
ちょっと違う表現にしようか・・・

ここは、
こう言った方が伝わるか・・・

ここは、
もう少しシンプルに分かりやすく・・・

ゆっくりと、落ち着いて
聞こえやすい声で話すのだ!

万全の上に、さらに万全を期すルーズベルト大統領でした。

ルーズベルト大統領の米議会演説

真珠湾攻撃の翌日(現地時間8日)に米議会で演説するルーズベルト大統領(歴史人 2021年8月号 ABCアーク)

よし!
行くぞ!

米議会で
演説しよう!

議会へ
向かうぞ!

凄まじい迫力のルーズベルト大統領。

周囲から、迫力が闘気となって身体から発散されているかのような状況でした。

新歴史紀行
真珠湾攻撃の翌日(現地時間8日)に米議会で演説するルーズベルト大統領(歴史街道2021年12月号 PHP研究所)

いよいよ、ルーズベルト大統領が米議会で演説します。

凄まじく険しい形相で演説に臨むルーズベルト大統領。

昨日、
1941年12月7日・・・

この日は、汚名と共に、
記憶されることであろうが・・・

我がUSは、Japanese Empire(大日本帝国)の
海軍・空軍のによる・・・

意図的な
奇襲攻撃を受けました!

事前に、日本の電報を解読していたルーズベルト大統領。

Cordell Hull米国務長官(Wikipedia)

Japanを、
とことん辱めるのだ!

Japanの要請により、
同国政府・Emperorとの対話を続けてきた・・・

昭和天皇は、直接米国とは接していません。

昭和天皇(Wikipedia)

いずれにしても、米国にとっては昭和天皇か東條首相が「日本の代表」です。

最近、ハル国務長官が
送った書簡に対して・・・

駐米Japan大使は、公式回答書を
Hull長官に提出してきた・・・

日本側が「最後通牒」と受け取った「ハルノート」の話です。

しかし、Japanの政府の文書には、
戦争や武力攻撃の警告・暗示は全くなかった!

これは事実でした。

Cordell Hull国務長官と野村・来栖米国大使(歴史街道 2021年12月号 PHP研究所)

「日本の代表」であった野村・来栖米国大使は「米国との対話」のみを求めていたのでした。

その「対話・交渉」において、何か「警告・暗示」は行わなかったのでした。

これは、外交交渉においては、「警告・暗示」をハッキリする欧米の手法とは全く違いました。

日本が全く思っていなかった方向へ:野村と来栖の表情の謎

ホワイトハウスでルーズベルト大統領との会談を終えた野村駐米大使 (左) と来栖特命大使(右):1941年11月27日(Wikipedia)

日本側の野村・栗栖米国大使は米国に対して、あくまで「友好的な姿勢」で交渉していたのです。

実際、真珠湾奇襲攻撃が勃発した10日ほど前のこと。

ホワイトハウスで、ルーズベルト大統領に面談した野村・来栖大使。

その後、野村・来栖大使は上の写真のように「朗らかな表情」を見せていたのでした。

President(大統領)は、
Nomura,Kurusuとどんな話をしたんだ?

「Japanとの戦争が近い」
という話があるが・・・

NomuraもKurusuも
なんだか異様ににこやかだぞ・・・

一体、何がどうなって、
我がUSとJapanはどうなるんだ?

周囲で「怪訝な顔をしている」米国の記者たちとは好対照の「和やかな雰囲気」の二人。

「笑っているのは野村・来栖大使のみ」で、周囲の米記者で笑っている方は一人もいません。

ある意味「異様な雰囲気の写真」です。

実際、野村・来栖両大使が「いつの時点で真珠湾奇襲攻撃を知ったか」は諸説あります。

立場上、いくらなんでも「真珠湾攻撃10日前には知っていた」はずです。

この「朗らかな表情の野村と来栖」は、ルーズベルト大統領の演説の、

Japanは事前に
警告・暗示は全くなかった!

の証拠ともいえるので、「愚か者」でしょう。

ところが、この「愚か者」コンビの野村と来栖が「知っていて、わざとやった演技」かもしれません。

その「野村と来栖の意図的演出」の可能性もあります。

この意味では「愚か者」の野村・来栖両大使は、「かなりの曲者」と言えるレベルかもしれません。

南雲機動部隊のハワイ奇襲攻撃の航路図(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

ハワイと日本の距離を
考えれば・・・

昨日の攻撃は、数日前、あるいは数週間前から
計画されていたことは明らかである!

これも事実です。

ちょうど、ホワイトハウスで野村・来栖両大使がルーズベルト大統領と協議していた11月27日。

日米の時差がありますが、日本時間で11月26日に機動部隊は単冠湾を出撃しているのでした。

この間、日本政府は「持続的平和を希望する」
という偽りの声明と表現で・・・

我がUSを、故意に
欺いてきたのです!

日本側の「断片的ながら事実」を並べ立てるルーズベルト大統領。

そして、合理的に「米国の正当性」を完璧に主張するルーズベルト大統領。

Japanに、
100倍返しだ!

まさに「演説の鑑」とも言えるほどの、非常に分かりやすい演説でした。

真珠湾奇襲攻撃は、日本側の思わぬ方向に進んでいました。

左上から時計回りに、山本五十六 連合艦隊司令長官、南雲忠一 第一航空艦隊司令長官、草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長、山口多聞 第二航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)
新歴史紀行

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次