大いにぼやく「凱旋将軍気分」の草鹿龍之介〜南雲長官が指揮した「史上初」の作戦・遥か遠くに出撃した空母機動部隊・連合艦隊司令部と赤城司令部の猛烈な軋轢〜|真珠湾奇襲攻撃69・太平洋戦争

前回は「「Nagumo攻撃命令」にミッドウェーへ急行するハルゼー〜先読みするキングと大いなる”Yamamoto”という存在・何度もハルゼーに釘を刺すスターク〜」の話でした。

目次

大いにぼやく「凱旋将軍気分」の草鹿龍之介

左上から時計回りに、山本五十六 連合艦隊司令長官、南雲忠一 第一航空艦隊司令長官、草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長、山口多聞 第二航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)
草鹿龍之介

奇襲攻撃作戦完了!
大勝利だ!

草鹿龍之介

俺たちは
大戦果を挙げたんだ!

草鹿龍之介

まさに、歴史上の快挙であり、
凱旋将軍だ!

「凱旋将軍気分」で意気揚々だった草鹿参謀長。

新歴史紀行
宇垣纏 連合艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

ところが、

宇垣纏

機動部隊は、続けてミッドウェー島を
攻撃せよ!

突然、連合艦隊司令部は「ミッドウェー島攻撃」を指示してきました。

草鹿龍之介

だから、宇垣さんは
大嫌いなんだ!

草鹿龍之介

口の利き方って
もんがあるだろう・・・

草鹿龍之介

そんな馬鹿な
話があるか!

草鹿龍之介

確かに、山口司令官他が
ハワイ真珠湾以外の攻撃を主張していた・・・

草鹿龍之介

しかし、それは「そういう計画も考えられる」程度の
話だったはずだ!

草鹿龍之介

いくらなんでも、
これは・・・

大いにぼやく草鹿参謀長。

南雲忠一 第一航空艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

重責を背負って、攻撃が完了した気持ちの南雲長官。

南雲忠一

そうだ!
その通りだ!

南雲忠一

連合艦隊司令部は
勝手すぎる!

南雲長官が指揮した「史上初」の作戦:遥か遠くに出撃した空母機動部隊

真珠湾を攻撃する日本軍(歴史街道2021年12月号 PHP研究所)

実際は「奇襲攻撃」ではなく、「騙し討ち」になってしまった真珠湾攻撃。

ところが、当時の山本司令長官・南雲司令長官・草鹿参謀長全員が「このこと」を知る由もありません。

そもそも、単冠湾から延々と真珠湾まで攻撃に行くだけでも、大変な苦労でした。

南雲忠一

大変な苦労をして、
ここまでやってきたのだ・・・

南雲忠一

内地から、はるばる遠い
史上初の空母による攻撃だったのだ・・・

南雲機動部隊のハワイ奇襲攻撃の航路図(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

確かに、日本国内(内地)から、はるばるハワイ真珠湾へ攻撃に向かうだけでも大変な苦労でした。

この意味では、南雲長官の指揮能力は際立っていたでしょう。

南雲忠一

この苦労が、内地の柱島にいて、
分かるもんか!

しかも、

山本五十六

日米交渉妥結の際には、
途中で引っ返してこい!

「途中で引き返す可能性がある」という無茶な要求までされた南雲長官と草鹿参謀長。

「日米交渉妥結時には、引き返す」という異例の任務を考えると、

南雲忠一

腹を括って出撃した後に、
「途中で引き返す」かもしれない状況だった・・・

異常な緊張感の中、攻撃に向かっていた南雲機動部隊でした。

真珠湾まで「発見されずに粛々と攻撃に向かった」のは、南雲長官の統率力による点が多かったのです。

そして、山本司令長官・宇垣参謀長たちは「命令を出すだけ」で、日本国内にいたのです。

連合艦隊司令部と赤城司令部の猛烈な軋轢

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)
南雲忠一

山本長官は、
何もわかってない!

南雲忠一

いつ、戦死しても
おかしくはない環境だ!

南雲忠一

非常な緊張の中、
懸命に真珠湾へ行ったのだ!

草鹿龍之介

前線で航空戦を戦う若者も
大変な苦労だが・・・

草鹿龍之介

我々、空母で作戦指揮する者も
大変な気苦労なのだ!

「凱旋将軍」の南雲長官・草鹿参謀長は、「新たな任務」に憤ります。

草鹿龍之介

山本長官は、長く海軍省にいたから、戦争を
分かってない!

それは、事実だったのでした。

戦艦三笠に座乗する東郷平八郎連合艦隊司令長官(Wikipedia)

若き少尉の頃に、日本海海戦を戦った山本長官。

その後は長く海軍省にいて、いわば「軍政畑」の人間でした。

空母赤城の艦長を務める経験もしましたが、長い間「戦場には出ていない」のです。

草鹿龍之介

戦場で戦う者の気持ちにも
なって欲しい!

南雲忠一

そうだ!
常に「死と隣り合わせ」なのだ!

ミッドウェー攻撃に向かう気には、到底なれない南雲長官・草鹿参謀長でした。

草鹿龍之介

これから、ミッドウェー
なんか向かえるか!

もともと「不協和音が鳴っていた」連合艦隊司令部と赤城司令部。

すでに「不協和音」を超えて、両者の間には「猛烈な軋轢」が発生していました。

次回は上記リンクです。

新歴史紀行

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