前回は「Yamamotoの考えを推測するキング司令官〜イラつくハルゼー司令官・不自然すぎる南雲機動部隊の動き・米海軍の猛烈な反撃・過ぎた機動部隊による第二次攻撃の戦機〜」の話でした。
大いに奮う赤城司令部:勇躍する南雲忠一長官と草鹿龍之介参謀長


ハワイの米海軍の基地を、
思い切り叩いた!



戦艦を多数沈没させ、
基地・航空機を多数粉砕した!



これは、とんでもない
大戦果だ!
第一航空艦隊参謀長であり、「事実上の南雲機動部隊の頭脳」を自負する草鹿参謀長。



この俺の
作戦立案の成果だ!
内心、「自分の功績が第一」であると考えていました。





よしっ!
大成功だな!



これほど
米海軍を叩くとは!



これは二階級特進もの
ですな!



まさに
そうだな!
調子に乗りやすい草鹿参謀長のいる第一航空艦隊・赤城司令部は「お祭り騒ぎ」となりました。



内地に戻ったら
英雄扱いですね!



草鹿参謀長は
国民の英雄です!



いや、
まあな・・・
少し調子に乗りやすい性格だった草鹿参謀長は、



我が海軍士官人生
最大の喜びだな・・・
大いに気分良く過ごしていました。
第二次攻撃を「しなかった」のは大日本帝国海軍にとってはマイナスでしたが、



なんと言っても
空母は全く損傷させていないんだ!
この「主力空母無傷」というのは、南雲長官・草鹿参謀長たちの力量によるところが大きかったでしょう。
大いに揺れる山本長官の思い





米空母は不在で、
未だ健在・・・



ハワイの基地を徹底的に叩いた、
とは言えぬ攻撃・・・



本当に、本当に
これで終了で良いのだろうか・・・





山本長官・・・
これより、機動部隊は、内地へ帰還します・・・



往路とは
異なる進路を取ります・・・





うむ・・・
そうか・・・



・・・・・
どこか浮かない表情の山本長官。



これで終了で
本当に良いのだろうか・・・



長官は
悩んでおられる・・・
「これで終わって良いのか」と山本が大いに揺れているのは、傍目の幕僚たちにもよく分かります。
「前線の総指揮官」である連合艦隊司令長官の権限は、軍令部総長・海軍大臣より劣ります。
海兵卒業期 | 職名 | 氏名 |
28 | 軍令部総長 | 永野修身 |
32 | 海軍大臣 | 嶋田繁太郎 |
32 | 連合艦隊司令長官 | 山本五十六 |
この時、海軍大臣は山本と同期の嶋田繁太郎でした。
山本の方が戦歴・職歴共に大きな成果を上げており、卒業席次も山本が上であるため、山本が先任です。
そのため、本来は海軍大臣・海軍省に対して、山本は一切の遠慮が不要な状況です。
「前線の最高指揮官」連合艦隊司令長官であるからには、山本長官が、



南雲長官に命令!
真珠湾を引き続き攻撃せよ!
第一航空艦隊へ命令すれば済むことです。



それを
やるべきか、どうか・・・



もし、背後から温存されている
米空母の艦載機が襲いかかってきたら・・・



むう・・・・・
悩みに悩む山本長官。



南雲さんに
司令を出しますか・・・



「将棋の指しすぎ」に
なっても仕方あるまいな・・・
逡巡を繰り返す山本五十六長官でした。
荒れる第二航空戦隊:唇を真一文字にして考え込む山口司令官





山口司令!
こんな不徹底な攻撃では、ダメです!



艦長の私の権限で、飛龍攻撃隊のみ、
石油タンクを攻撃します!





いや・・・・・



少し・・・
少し待て・・・



しかし・・・
このままでは・・・



緒戦で、「命令違反による軍法会議」は
避けなければ!



私はどうなっても良い。
しかし、連合艦隊全体の混乱は避けるべきだ。
ここで、山口司令官は発想を転換します。



どこか、他に具体的で戦果の大きい攻撃目標は
ないだろうか・・・



内地への帰投途中に、
米軍の拠点を叩けぬか・・・・・
一人虚空を睨み、唇を真一文字にして考え込む山口司令官でした。
次回は上記リンクです。