石油タンク防衛の方法を思いついたキング司令官〜米海軍きっての猛将ハルゼーへの指令・Nagumoを牽制する米海軍・ハルゼーに何度も釘刺すスターク長官〜|真珠湾奇襲攻撃56・太平洋戦争

前回は「赤城へ直談判に乗り込むことを目論む山口多聞司令官〜大きくズレる山口司令官と南雲長官の思惑・悩む山本長官と積極派の宇垣纏参謀長〜」の話でした。

目次

石油タンク防衛の方法を思いついたキング司令官

Ernest King司令官(Wikipedia)

日本海軍が工廠・石油タンクを攻撃する可能性は非常に高いです。

King

俺がNagumoだったら、
絶対に石油タンクは放っておかぬ!

まさか、赤城司令部である南雲長官・草鹿参謀長と山口司令官・三川司令官が揉めているとは、

King

一体、Nagumoたちは
何を考えているのだ!

思いもしなかった米海軍首脳部。

左上から時計回りに、南雲忠一 第一航空艦隊司令長官、草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長、三川軍一 第三戦隊司令官、山口多聞 第二航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)
山口多聞

真珠湾の石油タンク・工廠も
攻撃すべきです!

三川軍一

南雲長官、
今こそ第二次攻撃を!

南雲忠一

もう十分
だろう・・・

草鹿龍之介

もう十分に大戦果を
挙げている!

草鹿龍之介

これ以上の攻撃は、
我が軍の被害が大きくなる可能性大だ!

山口多聞

赤城に直接乗り込んで
直談判だ!

まさか、戦争の真っ只中に、司令長官・司令官の間で揉めているとは「考えもしない」のが当然でした。

King

よしっ!
HalseyにNagumoを攻撃させましょう!

ハルゼーの空母部隊に牽制させる案を思いついたキング司令官。

King

もし、日本海軍が工廠・石油タンク攻撃する場合、
Halseyに側面から攻撃させましょう!

Harold Stark米海軍作戦総長(部長)
Stark

うむ・・・
それは良い案だ!

Stark

Halseyのことを
忘れていたな!

Stark

すぐに、
Halseyに指示を出そう!

Stark

日本軍が、そこまで積極的に攻撃する
可能性は、どの程度か?

King

情報部の分析によると、
ボスのNagumoは、消極的な面があるようです。

King

しかし、事実上No.2のYamaguchiは、
大変優れた人物で、非常に意欲的です。

King

NagumoよりもYamaguchiの方が、
我が米軍にとって危険です!

King

Yamamotoが出てきていたら、
必ず工廠・石油タンクを攻撃するでしょう。

King

NagumoとYamaguchiが率いているので、攻撃の可能性は
「50%程度の確率」と考えます。

Stark

よし!
Halseyに命令を出そう!

米海軍きっての猛将ハルゼーへの指令:Nagumoを牽制する米海軍

William Halsey第二空母戦隊司令官(Wikipedia)
Stark

Halseyよ。
大至急、真珠湾へ向かえ!

願ってもない展開に、大いに奮うハルゼー司令官。

Halsey

よっしゃ!
Japに反撃します!

Stark

待て!Halsey!
勘違いするな!

Stark

戦うのではない。
お前の役目は、Nagumoの牽制だ!

Halsey

なっ、
なんですと!?

Stark

Japanの海軍が真珠湾の工廠・石油タンクを
攻撃するかもしれん・・・

Stark

それは絶対に、
避けねばならん!

Halsey

Nagumoの野郎を
攻撃しないのですか?

Stark

繰り返すが、
Nagumoの機動部隊は、かなり強力だ!

Stark

いくら、お前の空母部隊であっても、
今動かせるのは空母2隻だ・・・

Stark

対して、Nagumoの機動部隊は
6隻もの空母が出てきているんだ!

Stark

正面切って戦って、
敵う相手ではない・・・

ここまで言われると猛将・ハルゼーといえども、「返す言葉」がありません。

Halsey

・・・・・

Stark

よいか!真珠湾へ向かい、
Nagumoのさらなる攻撃を止めることがお前の役目だ!

Stark

真珠湾近海で待機し、Nagumoの動き次第で、
いつでも出動できるようにしていろ!

Halsey

・・・・・

いかにも不満そうなハルゼー司令官。

現代のように「顔を見ながら話す」のではなく、電話は「声のみ」です。

それでも、スターク長官には、ハルゼーの不満はひしひしと伝わってきます。

スターク長官は再度ハルゼーに命令します。

Stark

Nagumoの部隊は、非常に強力だ。
正面切って戦っても勝てん!

Stark

Nagumoの動きをこちらが掴み、
指示を出すまで、万全の体制で待っていろ!

Halsey

はい・・・・・
分かりました・・・・・

非常に不満なハルゼー司令官でした。

ハルゼーに何度も釘刺すスターク長官

空母Enterprise(Wikipedia)
King

Stark総長!
Halseyは攻撃的なので、釘を刺す必要があります。

King

我が軍の空母が、Nagumoにやられぬように、
手を打つ必要があります。

King

空母上空に戦闘機を多数残し、
攻撃隊を少なくするように指示した方が良いでしょう。

Stark

うむ・・・
そうだな・・・

空母Lexington(Wikipedia)
Stark

Halseyよ!
繰り返すが、目的はNagumoの攻撃ではない!

Stark

Enterprise,Lexingtonを守るために、
母艦上空には、戦闘機を多数残せ!

Stark

攻撃隊は
少数とせよ!

Stark

牽制してNagumoに工廠・石油タンクの攻撃を
断念させるのが目的だ!

Halsey

はい・・・
分かりました・・・

Halsey

上空から我が艦隊を、
見張っている訳でもあるまい。

Halsey

俺は俺流で
やるぜ!

Halsey

お任せを!
Nagumoを叩き潰します!

Stark

だから、Nagumoと
戦うのが目的ではない!

Stark

何度言ったら
分かるのだ?!

Halsey

・・・・・

Stark

Nagumoは正規(大型)空母6隻。
対して、お前の部隊は2隻だ。

Stark

分かったか!
これは命令だぞ!

何度も何度もハルゼーに対して「釘を刺す」スターク長官。

ハルゼー司令官にとっては、明確な上官であるスターク長官には表立って逆らうことは不可能です。

ところが、ハルゼー司令官は、

Halsey

なんだかんだと、
やかましいわ!

心の中でイライラしながら命令を受けていました。

そして、

Halsey

お任せ
ください!

Halsey

直ぐに
真珠湾へ急行します!

スターク長官に答えるも、ハルゼー司令官の内心は、

Halsey

遠い我がUnited States本土からの
命令は聞くが・・・

Halsey

戦いの仕方は、
俺のやり方に任せてもらうぜ!

ハルゼー司令官はこう考えていました。

そして、ハルゼー司令官は、周囲の幕僚・将校に「真珠湾への急行」の指令を下します。

Halsey

良いな!
直ちに真珠湾へ向かう!

Halsey

とにかく、
真珠湾へ急行しろ!

米海軍将校P

ははっ!

真珠湾へ急行する、ハルゼーの空母部隊でした。

次回は上記リンクです。

新歴史紀行

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