前回は「石油タンク防衛の具体策を探る米海軍〜キンメル長官の反撃・学生時代から極めて優秀なキング司令官〜」の話でした。
赤城司令部へ直談判に向かう山口多聞司令官
南雲司令長官が第二次攻撃隊指示を出さないことに、苛立った山口司令官。
いつになったら
赤城司令部は第二次攻撃命令を出すのだ!
もたもたしていれば、
戦機が去ってしまうぞ!
山口司令!
どうやら赤城司令部は第二次攻撃をしない模様です・・・
なに!
一体なにを考えているのだ!
海軍兵学校卒業期 | 名前 | 専門 | 役職 |
32 | 山本 五十六 | 航空 | 連合艦隊司令長官 |
36 | 南雲 忠一 | 水雷 | 第一航空艦隊司令長官 |
37 | 小沢 治三郎 | 航空 | 南遣艦隊司令長官 |
38 | 三川軍一 | 水雷 | 第三戦隊司令官 |
40 | 宇垣 纏 | 大砲 | 連合艦隊参謀長 |
40 | 大西 瀧治郎 | 航空 | 第十一航空艦隊参謀長 |
40 | 福留 繁 | 大砲 | 軍令部第一部長 |
40 | 山口 多聞 | 航空 | 第二航空戦隊司令官 |
41 | 草鹿 龍之介 | 航空 | 第一航空艦隊参謀長 |
事実上の「作戦指導者」である第一航空艦隊参謀長の草鹿龍之介は山口司令官の一期後輩です。
草鹿のバカめが!
なに考えているんだ!
このように山口司令官が激昂している間にも、米海軍は着々と反撃してきました。
こうなったら、
非常手段を取るしかない!
ついに、空母赤城へ直談判へ向かおうとします。
俺が直接、赤城司令部に
言って直談判する!
ええい!
赤城へ私が参ると伝えよ!
了解!
そして、空母飛龍から赤城へ発信します。
これより、山口司令官が、
赤城ヘ向かう・・・
了解・・・
なんと戦闘中に、司令官が直接他の艦船に向かって「直談判する」という異例の事態に向かう連合艦隊。
困惑する赤城司令部:ため息つく南雲長官と草鹿参謀長
どうも、山口司令官が、
赤城へ来るようです・・・
直談判、
というつもりのようです・・・
この戦闘中に、飛行機に乗って、
こっちに来るのであろうか?
米軍の戦闘機も周辺を
飛び回っています。
流石に、
山口司令官も断念すると思いますが・・・・・
山口のことだ。
すぐに断念はしまい。
確かに
そうですね・・・
海軍の将官の中でも一際「熱血漢」として有名な山口多聞司令官。
真珠湾奇襲攻撃の作戦計画の際には、身長を超えて臆病な雰囲気の南雲長官に対して、
一体なに
考えているんだ!
と「南雲長官の胸ぐらを掴んで口論した」という説もあるほどでした。
流石に、上官に対してこんなことは出来ないでしょうから、この話は嘘と考えます。
ところが、山口司令官なら「やりかねない」と思われているほど、「熱すぎる男」だったのでした。
さて、
困ったな・・・
南雲長官・草鹿参謀長共に、大いに困惑します。
確かに、
本当に山口司令官に来られては・・・
・・・・・
・・・・・
南雲長官と草鹿参謀長は、ため息をつくばかりでした。
石油タンクと工廠の攻撃を強く主張する三川軍一司令官
山口司令官と同じく、第二次攻撃を強く主張している三川司令官。(南雲長官の次席指揮官)
南雲長官、
今こそ第二次攻撃を!
だが、
米軍も猛反撃しているし・・・
第二次攻撃は、
こちらの被害も大きいだろう。
敵の石油タンクと工廠を叩かねば、
米軍は早期に再起します!
・・・・・
次席指揮官である三川司令官の具申すら、あっさり却下する赤城司令部。
そして、イライラが募る山口司令官。
南雲長官達、
司令部は何を考えているのだ?
ここで、
徹底せずに中途半端では、後々禍根を残す!
とにかく、
私が赤城司令部に乗り込むしかない!
早く、
私の乗る航空機を用意せよ!
ははっ!
早急に!
しかし、敵戦闘機も上空におり、赤城へ行くのは、
大きな困難が・・・
いいから、
早くしろっ!!!
ははっ!
今すぐに!
空母不在ながら、大戦果に沸く内地の司令部では、宇垣参謀長が山本長官に話していました。
南雲さんは、
第二次攻撃をやるでしょうか?
ふむう・・・・・
内心、山本長官は、
南雲は
やらないだろう・・・
と感じていました。
そもそもが「投機性が強すぎた」真珠湾奇襲攻撃。
無事に真珠湾まで「米海軍などに気づかれずに」到達しただけでも、非常に大きな成功でした。
さらに、「空母不在」でも米戦艦などに大ダメージを与え、日本海軍側の被害が非常に少ない状況。
この状況は「奇跡的大成功」とも言える事態でした。
作戦計画では、「攻撃」というのは、
あくまで「第一次攻撃」とも言える・・・
実際、「攻撃=第一次攻撃」の成功を期すことで手一杯であったのでした。
第二次攻撃に関しては、
あまり話し合っていなかったな・・・
山本長官と南雲長官、二人の「意思疎通の不徹底」が招いた事態でした。
次回は上記リンクです。