石油タンク攻撃を主張する山口司令官〜誤解から生まれた強襲・第二次攻撃隊の準備完了・完全にずれた思惑・南雲長官と草鹿参謀長vs山口司令官〜|真珠湾奇襲攻撃49・太平洋戦争

前回は「スターク海軍作戦部長の「米空母保全」司令〜キング司令官の「馬鹿なハルゼー」への懸念・怒髪天をつくハルゼー司令官〜」でした。

目次

石油タンク攻撃を主張する山口司令官:誤解から生まれた強襲

山口多聞 第二航空戦隊司令官(WIkipedia)

米空母が
不在なのか・・・

真珠湾に米空母が不在であることに、苦悩する山口司令官。

本来、米空母を叩き潰したいが、
止むを得ん!

ならば、真珠湾基地の石油タンクなどを
叩き潰すのだ!

これは、奇襲作戦計画時から、
私が主張し続けてきたことだ。

真珠湾の戦艦群、飛行機への猛攻撃は、順調に進んでいました。

淵田美津雄 第一航空艦隊赤城飛行長(Wikipedia)

攻撃隊指揮官の淵田美津雄 第一航空艦隊赤城飛行長。

事前の訓練通り、
バッチリだ!

真珠湾を
叩き潰すのだ!

ほぼ事前の作戦計画通りに、真珠湾の攻撃を続けていました。

真珠湾攻撃(歴史人2021 年8月号 ABCアーク)

第一波・第二波の攻撃を続け、真珠湾の陸軍・海軍航空基地に猛烈な空襲をしたのです。

実は、淵田第一航空艦隊赤城飛行長の乗る淵田機の信号弾の誤認による齟齬がありました。

よし、
信号弾だ!

放った信号弾が一発のつもりが、雲の影響もあり、

まずいな・・・
今の信号弾を我が航空部隊が気づかないかもな・・・

よし、もう一度
信号弾を発する!

実は淵田飛行長の懸念とは裏腹に、しっかりと「一番目の信号弾」に気づいていた僚機の隊員たちは、

淵田隊長から
二弾目の信号弾だ!

これは、隊長からの
「強襲」の指令だ!

淵田隊長の指示を「信号弾二発」と考えたのでした。

行け!
強襲だ!

そして、飛行場を強襲する結果となりました。

これを見た淵田隊長は、

むっ!
信号弾二発と誤解してしまったか・・・

しかし、やむを得ん!
戦場では臨機応変に対処せねば!

このまま、真珠湾を
強襲する!

誤認・誤解から生まれた、米陸海軍施設の強襲。

実は、この強襲の効果は大きかったのです。

真珠湾攻撃(歴史人2021 年8月号 ABCアーク)

第二次攻撃隊の準備完了:奮起する山口司令官

沈没する戦艦アリゾナ(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

米海軍の戦艦アリゾナなどを沈没させ、基地航空機を壊滅状態にしました。

ある意味、連合艦隊・軍令部の幹部全員の想定を上回る戦果が、次々と報告されます。

沈没する米戦艦ウェスト・バージニア(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

戦艦を次々と
撃沈しています!

米太平洋艦隊は、
壊滅したも同然です!

草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

これは、
大戦果だ!

二波の第一次攻撃の結果は、非常に大きな戦果を上げたのです。

よし!
とにかく、続けて第二次攻撃の準備だ!

第二次攻撃隊、
準備完了!

赤城の南雲長官に
「第二次攻撃準備完了」の発光信号送れ!

はっ!
了解です!

そして、山口司令官の乗る飛龍から、南雲長官座乗の赤城へ発光信号を発信しました。

第二航空戦隊 空母飛龍(Wikipedia)
第一航空艦隊旗艦 空母赤城(Wikipedia)

我、
第二次攻撃準備完了!

了解。

完全にずれた思惑:南雲長官・草鹿参謀長vs山口司令官

南雲忠一 第一航空艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

山口司令官から催促きたが、
どうする?

もう十分
戦果大です!

これ以上攻撃して、
反撃受けるのを避けるべきでは・・・

うむ、
そうかもしれんな・・・

赤城の第一航空艦隊司令部は「もう戦いは終わった」雰囲気です。

対して、まだまだヤル気満々の山口司令官。

空母の代わりに、真珠湾基地の石油タンクを
叩き潰す!

二航戦司令官であり、「立場上は、南雲長官の次席」に相当する山口司令官の具申。

これを「一方的に無視」は本来出来ません。

赤城司令部の幕僚は、

山口司令から「石油タンク攻撃」の
具申が届いていますが・・・

と草鹿参謀長に伝えるも、

作戦指導は、
こちらに任せてもらおう!

海軍兵学校卒業期名前専門役職
32山本 五十六航空連合艦隊司令長官
36南雲 忠一水雷第一航空艦隊司令長官
37小沢 治三郎航空南遣艦隊司令長官
40宇垣 纏大砲連合艦隊参謀長
40大西 瀧治郎航空第十一航空艦隊参謀長
40福留 繁大砲軍令部第一部長
40山口 多聞航空第二航空戦隊司令官
41草鹿 龍之介航空第一航空艦隊参謀長
連合艦隊幹部の専門・役職・海軍兵学校卒業期(1941年12月)

「先任順序」が軍令承行令で定められていた日本海軍。

40期の山口司令官に対して、41期の草鹿参謀長は「明らかな後任」でした。

さらに、40期次席卒業の山口司令官に対して、41期14番卒業の草鹿参謀長は「山口の下」です。

ところが「一期違い」の反発心もあり、草鹿参謀長は、

俺は、航空の
プロ中のプロだ!

こう考えて、山口司令官の具申を退けました。

一方、テキパキと作戦指導を続けて、「第二次攻撃隊発艦」の指示を待つ山口司令官。

「了解」の赤城から、発艦の命令を待つ山口司令官でした。

とにかく、石油タンクや工廠を
攻撃しなければ!

戦機を逃しては、
ならん!

完全に思惑がずれる赤城の南雲長官・草鹿参謀長と山口司令官でした。

新歴史紀行

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