前回は「真珠湾奇襲攻撃 46〜ブルの反撃〜」でした。

真珠湾奇襲攻撃において、数多くの戦艦などを撃沈して、大興奮の第一航空艦隊司令部。
一航戦の南雲司令長官・草鹿参謀長も大興奮です。

特に、調子に乗りやすい性格の草鹿参謀長。


してやったり!
と草鹿は瞳を輝かせます。
内地(日本)で戦果報告を受け、空母不在にガッカリするも、奇襲攻撃の成功にまずは一安心する山本司令長官。





米空母不在は残念だ。
しかし、奇襲攻撃がうまくゆき、
よかった。
しかし、大幹部の中でただ一人、唇をかみ苦悩続けていたのが山口司令官です。
後世有名な巨大戦艦大和は、海軍内部でも非常に限られた人間しか知りません。
軍隊の秘密事項は「軍機保護法」によって定められ、機密ランクが定められていました。
ランクの上から「軍機」「軍極秘」「極秘」「秘」「部外秘」の5ランクに分かれていました。
この上に「国家機密」がありますが、この「国家機密」は政府の外交上極めて重要な事項で「例外的扱い」です。
「極秘」は基本的に「超秘密」という意味ですが、上から3番目。


そして、巨大戦艦大和・武蔵建造に関する機密度は、なんと最上ランク「軍機」扱いだったのです。
もちろん、山口司令官は「軍機」である戦艦大和・武蔵の存在を知る立場。





我々、空母機動部隊が敵空母を叩かずに、
戦艦を攻撃してしまっては、
戦艦大和・武蔵は何と戦うのだ?
山口は俯いて、飛行甲板を凝視しながら考えます。





米太平洋艦隊の戦艦を倒すのは、
戦艦大和・武蔵の役目だ。
それを我々が撃沈してしまった。



そして、我々機動部隊が
倒さねばならない敵空母は不在。





南雲さんも、草鹿もバカだ。
これでは何もならない。
何のために奇襲攻撃したのか。



この攻撃自体の意味が
なくなってしまうのではないか・・・・・
一人絶句する山口司令官を、幕僚たちは見守るしかありませんでした。



戦艦大和・武蔵は
一体何を攻撃するのだ?



戦艦は、敵艦・敵基地に砲弾を
喰らわせることは可能だ。
一人空を見つめ続けて、考えて続ける山口司令官。



しかし、敵基地・敵空母から発艦した航空隊の
猛烈な攻撃を受けては、たまらない。
奇襲攻撃に喜ぶ南雲司令長官・草鹿参謀長らを横目に、悩み続ける山口司令官でした。



分厚い装甲に守られた巨大戦艦大和・武蔵といえども、
航空機の攻撃には、保たないだろう。



いつかは必ず撃沈されてしまう・・・

