前回は「「いるはず」なのにいなかった米空母〜愕然とする山本長官・米空母の停泊するタイミング・ハワイにおける日本軍の諜報部隊と吉川猛夫・米空母不在の理由・暗号解読を夢にも想定しなかった日本軍〜」の話でした。
米空母の行方:米空母の捕捉目論む連合艦隊
なぜ、
いるはずの空母がいないのだ?
再度、静かに宇垣参謀長に尋ねる山本長官。
戦艦などの艦船を多数撃沈し、数多くの航空機を破壊した「戦果大」の真珠湾奇襲攻撃。
米空母を叩かなければ、
この作戦の意義が大いに薄まる・・・
というよりも、奇襲攻撃の
意味がない・・・
・・・・・
・・・・・
無言の山本長官に対して、宇垣は参謀長として、
機動部隊に
再度探すように命じます!
と山本長官に答えます。
うむ・・・
宇垣参謀長から機動部隊への指令:宇垣を嫌う草鹿参謀長
宇垣参謀長は、南雲司令長官に打電します。
米空母を
探せ!
山本長官が
大いに懸念している!
なんとしても
米空母を攻撃せよ!
・・・・・
草鹿参謀長・・・
宇垣参謀長から、連絡あったが・・・
異常なほど順調に進んでいた真珠湾奇襲攻撃ですが、米海軍は猛反撃をしてきています。
真珠湾を攻撃する爆撃機・雷撃機、そして掩護する直掩機・戦闘機が次々と空母赤城・加賀などから発艦します。
攻撃するだけで
手一杯だ!
こう考える南雲長官。
同じように、最前線で忙しく指揮する草鹿参謀長。
本来、司令部の命令には従わねばなりません。
この
忙しい時に・・・
六隻の空母から出撃した、大部隊の航空隊。
合計400機ほどの航空隊が、入れ替わり真珠湾を攻撃し続けています。
宇垣さんは、
うるさい!
だから、
私は宇垣さんが大嫌いなのだ!
元々「折り合いが悪い」というより「最悪の仲」であった宇垣と草鹿。
海軍兵学校卒業期 | 名前 | 専門 | 役職 |
32 | 山本 五十六 | 航空 | 連合艦隊司令長官 |
36 | 南雲 忠一 | 水雷 | 第一航空艦隊司令長官 |
37 | 小沢 治三郎 | 航空 | 南遣艦隊司令長官 |
40 | 山口 多聞 | 航空 | 第二航空戦隊司令官 |
40 | 宇垣 纏 | 大砲 | 連合艦隊参謀長 |
41 | 草鹿 龍之介 | 航空 | 第一航空艦隊参謀長 |
海兵40期の宇垣に対して、41期の草鹿は険悪な仲でした。
「険悪」というよりも、草鹿龍之介の方が「一方的に宇垣を嫌っていた」感じもあります。
1期の違いはライバル心もあり、「しっくりこない」関係になることが多いです。
「しっくりこない」以上に、この二人の関係は非常に悪く、「最悪」でした。
宇垣さんは大砲屋なんだから、
空母のことなど分かりやしない!
航空戦は私に任せて、
引っ込んでいてもらいたい!
出撃に向かった航空隊の中には、空母に戻ってくる航空機もあります。
それらの航空部隊を収容しなければならず、前線で戦っている機動部隊は大混乱です。
交錯する山本長官と南雲長官の思惑
草鹿参謀長よ・・・
どうしたものか・・・
空母探索機を出せば、
攻撃力が落ちる・・・
今は、続けて
敵に痛撃を与えるべき!
内地(日本)にいて、
何がわかる!
南雲長官・草鹿参謀長の座乗する旗艦 空母赤城には歴戦の戦士たちが結集していました。
そして、次々と真珠湾目掛けて発艦していました。
戦艦をこれだけ撃沈しているのだから、
大戦果です!
空母は、
いないのですから、しかたないでしょう!
まあ、
そうか・・・
山本長官と南雲司令長官・草鹿参謀長の意思統一の不完全さが表面化した瞬間でした。
・・・・・
次回は上記リンクです。