「いるはず」なのにいなかった米空母〜愕然とする山本長官・米空母の停泊するタイミング・ハワイにおける日本軍の諜報部隊と吉川猛夫・米空母不在の理由・暗号解読を夢にも想定しなかった日本軍〜|真珠湾奇襲攻撃26・太平洋戦争

前回は「トラ・トラ・トラ〜猛攻撃続ける日本の航空部隊・大戦果と見当たらぬ米空母・声を荒げる山本長官と不安な宇垣参謀長・大喜びの永野総長と及川大臣と東條首相〜」の話でした。

目次

「いるはず」なのにいなかった米空母:愕然とする山本長官

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

なぜ、
敵空母は真珠湾にいないのだ?

静かに、宇垣参謀長に尋ねる山本長官。

宇垣纏 連合艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

・・・・・

なぜ、
空母はいないのだ?

私にも
分かりません・・・

なぜ?
なぜこういうことが起こるのだ・・・

米国に暗号が全て傍受・解読されていた日本。

我が諜報部隊によると、
米空母は「いるはず」なのですが・・・

なぜか、空母だけが
いないのです・・・

ところが、日本も負けじと真珠湾にスパイを配置して、事前に真珠湾の状況を報告させていました。

米空母の停泊するタイミング:ハワイにおける日本軍の諜報部隊と吉川猛夫

吉川猛夫(ドキュメント真珠湾攻撃 古田和輝著 ダイアプレス)

ハワイに駐在し、
米太平洋艦隊を見守れ!

真珠湾のスパイは複数いましたが、有名なのは吉川猛夫です。

はっ!

「森村正」という偽名でハワイに滞在して、真珠湾の基地の情報をつかむよう奔走していました。

ほぼ毎日、真珠湾の見える店に通って、米海軍の戦艦・空母の在泊を確認していました。

米海軍の停泊している艦船にも、ある一定の規則がありました。

どうも米国の艦船の動きには、
一定の決まりがありそうだ・・・

われら日本人よりも、
週末を大事にする傾向が強い米国人・・・

近海を動いた後に、
週末に戻ってきて、真珠湾に停泊していることが多い・・・

空母Enterprise(Wikipedia)

綿密な調査をもとに、米艦船の動きをチェックし続けた吉川。

そして、「米艦船の動き方・米空母の停泊するタイミング」をしっかり把握していました。

実際に、米空母は週末に真珠湾に停泊することが多かったのです。

米空母は、
多くの場合、週末に真珠湾に停泊しています・・・

よくやった!
軍令部に伝えよう!

そして、軍令部では、例年の真珠湾近海の海の荒れ具合、月の見え方などを含めて、攻撃日を決定しました。

もちろん、「空母が在泊する可能性の高い日」を選んで攻撃しました。

米空母不在の理由:暗号解読を夢にも想定しなかった日本軍

空母Lexington(Wikipedia)

唇を噛み締めながら宇垣参謀長は、山本長官に応えます。

数日前までは、
諜報員の無電により・・・

空母エンタープライズとレキシントンが、
真珠湾在泊しているのを確認しているのですが・・・

それは、吉川らが報告したことです。

そして、このことは「事実」だったのです。

確かについ先日まで真珠湾にいた、米空母。

そして、それまでの米海軍の活動傾向から、奇襲攻撃の日に「いるはず」の米空母レキシントン・エンタープライズ。

だが、二隻とも、攻撃当日に真珠湾に見当たらなかったのです。

なぜだ・・・

一隻不在ならば、
まだ分かるが・・・

なぜ、こちらの出方を
知っていたかのように・・・

「いるはず」の米空母二隻が、
二隻ともいないのだ・・・

大いに訝しがる宇垣参謀長。

論理的に、
「偶然」はあり得ぬ!

なぜだ・・・

まさか、日本の電文が傍受・解読されていたとは、夢にも思わなかった宇垣参謀長でした。

新歴史紀行

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