前回は「トラ・トラ・トラ〜猛攻撃続ける日本の航空部隊・大戦果と見当たらぬ米空母・声を荒げる山本長官と不安な宇垣参謀長・大喜びの永野総長と及川大臣と東條首相〜」の話でした。
「いるはず」なのにいなかった米空母:愕然とする山本長官
なぜ、
敵空母は真珠湾にいないのだ?
静かに、宇垣参謀長に尋ねる山本長官。
・・・・・
なぜ、
空母はいないのだ?
私にも
分かりません・・・
なぜ?
なぜこういうことが起こるのだ・・・
米国に暗号が全て傍受・解読されていた日本。
我が諜報部隊によると、
米空母は「いるはず」なのですが・・・
なぜか、空母だけが
いないのです・・・
ところが、日本も負けじと真珠湾にスパイを配置して、事前に真珠湾の状況を報告させていました。
米空母の停泊するタイミング:ハワイにおける日本軍の諜報部隊と吉川猛夫
ハワイに駐在し、
米太平洋艦隊を見守れ!
真珠湾のスパイは複数いましたが、有名なのは吉川猛夫です。
はっ!
「森村正」という偽名でハワイに滞在して、真珠湾の基地の情報をつかむよう奔走していました。
ほぼ毎日、真珠湾の見える店に通って、米海軍の戦艦・空母の在泊を確認していました。
米海軍の停泊している艦船にも、ある一定の規則がありました。
どうも米国の艦船の動きには、
一定の決まりがありそうだ・・・
われら日本人よりも、
週末を大事にする傾向が強い米国人・・・
近海を動いた後に、
週末に戻ってきて、真珠湾に停泊していることが多い・・・
綿密な調査をもとに、米艦船の動きをチェックし続けた吉川。
そして、「米艦船の動き方・米空母の停泊するタイミング」をしっかり把握していました。
実際に、米空母は週末に真珠湾に停泊することが多かったのです。
米空母は、
多くの場合、週末に真珠湾に停泊しています・・・
よくやった!
軍令部に伝えよう!
そして、軍令部では、例年の真珠湾近海の海の荒れ具合、月の見え方などを含めて、攻撃日を決定しました。
もちろん、「空母が在泊する可能性の高い日」を選んで攻撃しました。
米空母不在の理由:暗号解読を夢にも想定しなかった日本軍
唇を噛み締めながら宇垣参謀長は、山本長官に応えます。
数日前までは、
諜報員の無電により・・・
空母エンタープライズとレキシントンが、
真珠湾在泊しているのを確認しているのですが・・・
それは、吉川らが報告したことです。
そして、このことは「事実」だったのです。
確かについ先日まで真珠湾にいた、米空母。
そして、それまでの米海軍の活動傾向から、奇襲攻撃の日に「いるはず」の米空母レキシントン・エンタープライズ。
だが、二隻とも、攻撃当日に真珠湾に見当たらなかったのです。
なぜだ・・・
一隻不在ならば、
まだ分かるが・・・
なぜ、こちらの出方を
知っていたかのように・・・
「いるはず」の米空母二隻が、
二隻ともいないのだ・・・
大いに訝しがる宇垣参謀長。
論理的に、
「偶然」はあり得ぬ!
なぜだ・・・
まさか、日本の電文が傍受・解読されていたとは、夢にも思わなかった宇垣参謀長でした。