前回は「遅れに遅れた宣戦布告〜猛攻撃続ける南雲機動部隊・日本を甘く見ていたルーズベルト大統領・仰天するキング司令官・苛立ちながら待つハル国務長官・山本長官の信念のゆくえ〜」の話でした。
遅すぎた宣戦布告:国務省へ駆け込む野村大使
当初、12月7日(ワシントン時間、以下同様)13時にハル国務長官に面会予約していた野村大使。
すみません!
13時の面会時間を45分後にずらしてください!
大慌てで「ハル長官との面会時間を45分後ろ倒しにした」ものの、
やっと、
文書の清書が完成した・・・
45分後にずらした13:45にすら、間に合いませんでした。
だが、約束の時間には、
もう間に合わない・・・
奇襲攻撃は、
予定通り開始しているのだろうか・・・
日本から米国への宣戦布告である「帝国政府見解」を持参した野村大使は、
やっと、
国務省に到着した・・・
14:00頃、ようやく米国務省に到着します。
野村大使は慌てふためいて、駆け込むようにハル国務長官の待つ部屋へ向かいました。
遅れて
申し訳ございません!
いえ・・・
どうぞ・・・
お入りください・・・
「いつも通りの外交儀礼」で応じたハル長官。
バカが、
待たせやがって!
Mr.Nomura,、ところで、
今日は何の御用でしょうか?
あくまで、「何も知らない」フリを貫くハル国務長官。
日本政府から
米政府への文書です。
そして、ハル国務長官に「帝国政府見解」を手渡しました。
14:20頃のことでした。
ハル国務長官の冷静な対応:万全体制だった米国の暗号解読
数日前から、この事態を想定していたハル国務長官。
真珠湾奇襲攻撃開始の13:25から40分経過後に、ハル国務長官に宣戦布告文書を手渡されます。
・・・・・
誰にも見せたことのない、非常に険しい表情をハル国務長官。
既に全文を傍受・解読・英訳された文書を読み、内容は全て事前に把握していたハル国務長官。
あたかも「初めて読んだかのように」装って、文書に目を通します。
・・・・・
この時には、米艦隊の想像を絶するような大損害が、次々とハル長官の元に報告されていました。
すでに「奇襲攻撃」ではなく「騙し打ち」になってしまった事実を知っている野村大使。
唇を噛んで、ハル国務長官の反応を見守ります。
もう
遅かったか・・・
事前の傍受・解読内容とほぼ一致している文章を読んで、ハル国務長官は思います。
情報部から届いた文書と、
ほぼ一緒だ・・・
我が情報部の
傍受・解読能力は万全!
大損害に胸を痛めていたところに、情報部の能力の高さにほくそ笑むハル長官。
おっと、そうだった!
Nomuraがいたな・・・
目の前のバカの相手も
しなければな・・・
そして、ハル国務長官は目の前にいる野村大使に、極めて冷ややかに告げます。
私は、
50年の公職生活を通じて・・・
これほど恥知らずで、これほど
虚偽と歪曲に満ちた文書を見たことがない!
こんなに大掛かりな嘘と、こじつけを言い出す国が、
この世にあろうとは・・・・・
今の今まで
夢想だにもしなかった!
我ながら
名セリフだな!
はっ・・・
しまった・・・
遅かったか・・・
大いに後悔した野村大使。
だが、全てが遅すぎたのです。
もう
お前には用がない!
心の内を全く表に出さず、淡々と「外交」をしたハル長官。
日本政府のご意向は理解したので、
私から大統領に報告します。
そして、ハル国務長官は、追い出すように野村大使を去らせます。
大喜びのチャーチル首相:米国という巨大ボイラー
つい先ほど、Japanから最後通牒が、
届きました・・・
我々の
想定通りの内容でした・・・
そうか!
これからだな!
ハル国務長官から連絡を受けたルーズベルト大統領。
奇襲攻撃どころか、
騙し打ちをしたJap!
どう
反撃してやろうか!
ルーズベルト大統領は、万全の手段を考えます。
Europe全土を、
我がGermanyのものに!
この頃、ヒトラー率いるドイツ軍から連日猛烈な爆撃を受け続けていた大英帝国。
首都ロンドンも壊滅的状態となり、絶体絶命の崖っぷちに追い込まれていました。
この40年ほど前までは、「世界最強国」であったはずの大英帝国。
今や「米国の後塵を拝する」立場とはいえ、「ヨーロッパ最強国」を自負していたのでした。
Europe大陸が、
ほとんどGermany・Axisとなってしまった・・・
だが、だがだ!
私の辞書に「降伏」という文字はない!
我がGreat Britainは負けん!
絶対に負けんぞ!
真珠湾で日本海軍が米海軍に猛烈な攻撃をしている間、
なにっ!ついにJapanが
USを攻撃したか!
奇襲攻撃の連絡を受けた地球の裏側のチャーチル首相。
やっと待ち望んでいた
展開になったぞ!
これで、
世界最強のUSが参戦する!
United Statesという
巨大ボイラーが動き出したのだ!
Prince of Walesで
Japanを叩き潰してやる!
よし!
これで我がGreat Britainの勝利だ!
Hitlerめ!
見てろよ!
HitlerもMussoliniも、
Japanも全て倒してくれるわ!
・・・・・
乾坤一擲の真珠湾奇襲攻撃は、山本五十六長官が予想だにしなかった方向に進みつつあったのでした。
次回は上記リンクです。