前回は「「水と油の仲」だったルーズベルトとマッカーサー〜極めて優秀だったマッカーサー元帥・フィリピン防衛と極東米陸軍司令官・スティムソン陸軍長官の強力な推薦〜」の話でした。
緊迫する日米交渉と米国の思惑:近衛文麿の無念

後世の視点から見れば、「風雲急を告げる」を遥かに超えた状況だった1941年前半。
1941年前半から、日米交渉はずっと続けられていました。
日本は、米国から「中国・南部仏印からの全面撤退」などの強硬な要求を受けました。
日米衝突回避を、必死に模索していた近衛文麿内閣。

米国と
戦争して勝てるのか?



勝てないなら、
米国と戦争をすべきではない・・・



一部の占領地域からの
撤退もやむ得ないのでは・・・


超強気な強硬派むき出しの東條英機陸軍大臣。



おいっ!
何言っているんだ!
基本的に真面目な性格の東條英機陸軍大臣は、



あの領土を得るために、
我が軍の将兵が何人死んだと思っているんだ!
東條は怒り心頭でした。



大体、軍人でもない
単なる「お公家さま」の近衛ではダメだ!



近衛のやり方は、
甘すぎる!



もっと強く出なければ、
日本はナメられてしまう!



何とか、
陸軍は譲歩できませんか?



近衛首相は
弱気すぎます!



陸軍としては
中国からの撤兵は絶対呑みません!
東條英機陸軍大臣は、米国が最重視していた「中国からの撤兵」は絶対呑まない姿勢でした。



これでは、
日米交渉妥結は不可能だ・・・



陸軍の意向を無視しては、
内閣は存続できない・・・
日本陸軍と米国の間で板挟みになっていた近衞首相。



海軍は
いかがですか?





海軍は
首相に一任します!



いや、一任ではなく、
「海軍の代表者」としての意見を・・・



ですから「首相に一任」が
海軍の回答です!
ここで海軍が反対すれば、「陸海軍が足並み揃わない」ことになります。



海軍が明確に反対してくれれば、
戦争回避の方向に動けるのだが・・・
当時、日本海軍は「対米戦反対」の姿勢でしたが、



「対米戦反対」なぞ
言ったら・・・



皆から「海軍は何のために
膨大な予算を使っている?」と問い詰められてしまう・・・
戦艦でも空母でも戦闘機でも、膨大な予算を必要としていた海軍は、「対米戦反対」と言えない事情がありました。
それに加え、及川大臣の「事なかれ」主義で、



首相に全ての
責任を被せよう・・・
海軍は「首相一任」を繰り返し、「責任を放棄」したのでした。



これでは
日米交渉妥結は・・・
日米交渉妥結に絶望した近衛首相は、



内閣総理大臣を
辞任します・・・
あっさりと総理の座を投げ出してしまいました。



・・・・・
サラブレッドであり、東大(東京帝国大学)から京大(京都帝国大学)へ転学した優秀な人物であった近衛文麿。
ここで、無念を感じながらも、「日本政府最高責任者」としての責任を放棄してしまいました。
東條英機総理大臣誕生:昭和天皇からの下命





ならば、東條よ。
お前が総理となり、陸軍を抑えよ。



そして、日本の国益を保持しながら、
対米戦争を回避せよ。



はっ!
承知致しました。
代わりに東條英機前陸軍大臣が、昭和天皇から組閣を命ぜられました。



なぜ、私が総理に
選ばれたのだろうか?



天皇陛下の御下命とあらば、全身全霊で
職務に臨むのみ!
東條自身、不思議に思ったでしょう。
なんと言っても、事実上「近衛内閣を倒した張本人」でした。
海外からは「悪の権化」のように扱われる東條英機内閣総理大臣。
根は、真面目な実務肌の人物でした。
昭和天皇の命令を受け、当初東條内閣は米国との戦争と「交渉を続けて和戦」両方の道を模索していました。



なんとか
対米戦を回避できぬか・・・
大本営政府連絡会議でも、議論は紛糾します。
御前会議において1941年12月1日までに日米合意できなければ、武力発動=宣戦布告ということに決まりました。


中国やアジアで戦線を広げている陸軍は南方の米領フィリピン等を攻撃、海軍は真珠湾奇襲攻撃です。
チャーチル英首相切望の米国参戦:ルーズベルト大統領の公約と米国民の考え


米国とは協議を続けていた日本側の代表者は米国大使 野村吉三郎と二人目の大使・来栖三郎でした。
日本側は米国との交渉を重視し「米国大使を二人」という異例の重厚な布陣で臨みました。
野村・来栖両大使と交渉した米国側担当者は、ハル国務長官でした。


米国は当時、ドイツに追い詰められていた英国からの度重なる戦争への参加要請を受けていました。



Churchillの
気持ちも分かるが・・・





Hitler率いる
Nazisが、強すぎる!



このままでは、
我がUKはやられてしまう・・・



なんとか、
USも参戦して欲しい!
懸命に、米国に参戦を要求するチャーチル英首相としては、



USさえ、こちらの陣営で参戦すれば、
NazisもJapanも叩き潰せる。
「米国さえ参戦すれば」と、考えていたのです。
米国という超巨大国家の参戦を切望していたチャーチル英首相。
そして、ヨーロッパをヒトラー率いるドイツのものにさせるわけにいかない米国。
ヨーロッパを睨みながら、日本との戦争準備を着々と進めていました。


ところが、米国から日本に戦争を仕掛けるわけには行かない状況がありました。
異例の3選を遂げて、米国大統領となったルーズベルト米大統領。


選挙で、米国民に公約していました。



我がUSの若者たちを、
戦場に送らない!
厭戦ムードが強かった米国。



なぜ、EuropeやAsiaの戦争に、
USの若者が命をかけて戦う必要があるのか?



Europeなら分かるが、
AsiaはUSに関係ない!



そうだ!
そうだ!
「Europeなら、まだしも、Asiaは無関係」という姿勢だった米国民。



なぜ、はるばる太平洋の向こうのAsiaの戦地に行って、
USの若者が戦う必要があるのか。



そんな遠くは、
USとは関係ない!
米国民にとっては、「アジアなんて関係ないだろう。」というのが大勢でした。
自国民=米国民に対して「アジアの米領を日本から守る」という大義名分が必要です。
ここで、最も分かりやすい大義名分がありました。
それは「先に日本に米国を攻撃させる」ことです。
先に攻撃されれば、「自国及び自国民を守るために」大手を振るって参戦できます。



なんとか、
先に日本に米国を攻撃させられないか?



考えて
みましょう。
思案を練るルーズベルト米大統領とハル国務長官の二人。
米国は、日本側の外務省本省とワシントン大使館の間の無電を全て傍受・キャッチしていました。
そして、それらの暗号をほぼ全て解読し、手の内を読んでいました。



日本の動きは、
手に取るように分かる・・・



あとは、彼らを挑発して、
先制攻撃させれば良いですね。



どのような状況になれば、
日本は先に米国を攻撃してくるだろうか・・・



日本が、
いつ・どこを攻撃してくるか、ですね。
二人は虎視眈々と、日本を狙っていました。
次回は上記リンクです。