「水と油の仲」だったルーズベルトとマッカーサー〜極めて優秀だったマッカーサー元帥・フィリピン防衛と極東米陸軍司令官・スティムソン陸軍長官の強力な推薦〜|真珠湾奇襲攻撃14・太平洋戦争

前回は「マッカーサー登場〜米領フィリピンの鍵を握る男・ルーズベルト大統領の視線・米国に依存していた日本の軍需物資・軍令部の目指す南方資源地帯の原油〜」の話でした。

目次

極めて優秀だったマッカーサー元帥

Douglas MacArthur陸軍元帥(wikipedia)

当時、日本が攻撃する可能性の高いフィリピンで米陸軍を率いていた人物。

のちにGHQ連合国軍最高司令長官となり、日本統治の責任者となったマッカーサー将軍でした。

大変優秀でウェストポイント陸軍士官学校を首席卒業し、将来を嘱望されたマッカーサー元帥。

第一次世界大戦で数々の勲功をあげ、多くの勲章をもらい、米国で大変な人気がありました。

自慢じゃないが、俺は
かなり優秀で優れた軍人なのだ!

Franklin Roosebelt米大統領(Wikipedia)

ところが、マッカーサー元帥はルーズベルト大統領と大変折り合いが悪い仲でした。

もともと共和党であるマッカーサー元帥に対して、ルーズベルト大統領は民主党。

そして、海軍次官を務めたルーズベルト大統領は、生粋の海軍軍人でした。

We(米海軍)・・・

They(米陸軍)・・・

米海軍を”We”と呼び、米陸軍を”They”と呼ぶほど海軍に入れ込み、米陸軍は「敵に近い」存在。

それだけでなく、二人は「考え方が根本的に合わない仲」で、非常に険悪でした。

私はMacArthurが
大っ嫌いなのだ!

異例の大出世を遂げたマッカーサーは、かつてフィリピンのマニラ地区司令官などを務めます。

そして、フィリピン駐留アメリカ軍総司令官にもなったことがあります。

「水と油の仲」だったルーズベルトとマッカーサー

1941年ヨーロッパ・アジア支配圏(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

米軍最高司令官であるルーズベルト大統領と険悪な間柄であるマッカーサー。

MacArthurは、
有能かもしれないが、大嫌いだ!

嫌いな人間は
いらない!

一度は米陸軍を辞めさせられて予備役となります。

この俺様が、
予備役か・・・

ルーズベルト大統領は、かなり好き嫌いの激しい人物でした。

海軍内でも、「自分が海軍次官の時に不快感を感じた人間の名前」を発見すると、

おいっ!
私はJackは嫌いだ!

し、しかし・・・Jack大佐は極めて有能で、
経歴的にも昇進するのが妥当ですが・・・

私が評価しない人物は
昇進する必要はない!

「嫌いな人間の昇進人事」を絶対に承認しなかったのです。

大日本帝国の進出(第二次世界大戦全史 洋泉社MOOK)

マッカーサーは、フィリピン・フィリピン人に大変好意的でした。

Philippineは
第二の故郷だ。

アメリカ軍を予備役となったあとは、フィリピン陸軍元帥となりフィリピンの国防に全力を尽くしていました。

Philippineのために、
尽くそう!

「日本との戦争間近」と判断したルーズベルト大統領。

フィリピン防衛と極東米陸軍司令官:スティムソン陸軍長官の強力な推薦

Henry Stimson陸軍長官(Wikipedia)

嫌いなものの、極めて有能なマッカーサーの極東米陸軍司令官への任命を検討するルーズベルト大統領。

MacArthurは
嫌いなんだが・・・

この人事を推進・承認した人物。

それは、こちらもフィリピンに馴染み深い「前フィリピン総督」のスティムソン陸軍長官でした。

Roosebelt大統領が、
MacArthurを嫌っているのは知っている・・・

だが、我がUS陸軍には
MacArthurが必要だ・・・

ここで民主党のルーズベルト大統領に対して、共和党の重鎮であったスティムソン陸軍長官。

スティムソン陸軍長官は、堂々とマッカーサーの人事をルーズベルト大統領にねじ込みました。

MacArthurは司令官として、
極めて有能です。

他に
適任者がいません!

陸軍の人事権は
私にあるはずです!

MacArthurは大嫌いだが、
止むを得ん・・・

共和党重鎮のStimsonを
怒らせる訳にはいかない・・・

そして、マッカーサー司令官に、日本からの防衛を指示します。

Philippineは
任せたぞ!

OK!
任せてくれ!俺がいれば、万事OK!

フィリピンを愛するマッカーサーは勇躍します。

Cordell Hull米国務長官(Wikipedia)

ハル国務長官は日本に先制攻撃をさせるまで「日本を攻撃してはならない」とマッカーサー司令官に命じます。

Japanは攻撃するな!
とにかく、Philippineをしっかり守れ!

大丈夫!
分かってるぜ!

日本軍を完全に甘くみていたマッカーサー司令官。

Japanが攻めてきたら、
返り討ちにしてやる!

「まもなく日米開戦」と考えていた米国。

米国は日本の暗号を解読・日本の出方を見ながら、万全の体制を考えて準備します。

Douglas MacArthur陸軍元帥(歴史人 2021年8月号 ABCアーク)

この間も、日米交渉は続けられていました。

ヨーロッパを最重視しつつも、米国は日本の暗号を可能な限り解読していました。

Japanの次の
動きは・・・

そして、じっと日本の動きを見つめていたのでした。

新歴史紀行

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